作品づくりのためのデジタルリソースを提供するプラットフォームCreative Fabricaが約7億円調達

Creative Fabrica共同創業者のルーミー・イレナー氏とアンカ・ステファン氏(画像クレジット:Creative Fabrica)

アムステルダムを拠点とするスタートアップのCreative Fabricaは、作品を作る人のためにフォントやグラフィックス、ミシン刺繍用デザインなどのデジタルファイルを販売、配布するマーケットプレイスとして知られている。同社は編み物や織物、子供向け作品などの分野に拡張することを計画中で、Felix Capitalが主導するシリーズAで700万ドル(約7億2500万円)を調達した。このラウンドにはFJ Labsと、以前に投資していたPeak Capitalも参加した。

Creative Fabricaがこれまでに調達した金額の合計は、2019年のシードラウンドを含めて約760万ドル(約7億9000万円)になった。

Anca Stefan(アンカ・ステファン)氏とRoemie Hillenaar(ルーミー・イレナー)氏は、2016年にCreative Fabricaを創業する前はデジタル広告代理店を運営していた。Creative Fabricaはクリエイティブな作品を簡単に作るためのデジタルファイルを簡単に見つけられるようにと始めたサービスだ。マーケットプレイスとして開始したが、現在では完成した作品のショーケース、フォントやワードアートをつくるツール、Craft Clubというサブスクリプションサービスもある。同社によれば現在のユーザー数は全世界で100万人を超え、そのうち60%は米国、20%は英国とカナダ、オーストラリアだという。

Creative Fabricaで販売するクリエイターが収益を得る方法はいくつかある。販売しているデジタルアセットが個別に売れると、価格の50%を得られる。サブスクリプションサービスでダウンロードされるファイルにはポイントが割り当てられていて、クリエイターは貯まったポイント数に応じてサブスクリプション期間終了時に収益を受け取る。

同社CEOのイレナー氏はTechCrunchに対し、ユーザーが同社のプラットフォーム上で何を共有しているかに基づいて新しい分野に広げていくと述べた。例を挙げると、デザインはダイカット用として用いられていることが多い。最近ではユーザーの関心に基づいてPOD(プリント・オン・デマンド)のファイルやデジタル刺繍に幅を広げた。

Creative Fabricaで販売されているファイルには商用ライセンスが含まれているものが多く、ファイルを使うユーザーの35%は完成した作品を積極的に販売している。クラフト制作者やデザイナー向けにデジタルダウンロードを提供しているマーケットプレイスは、EtsyやCreative Marketなど他にもある。イレナー氏は、Creative Fabricaでは自動でキュレーションをしているのでEtsyよりも著作権違反をコントロールしやすく、ユーザーは著作権の問題に触れることなく同社プラットフォームのファイルを元に作った作品を販売できる保証を得やすいと説明する。Creative Marketでもフォントやベクターグラフィックスなどのファイルを販売しているが、対象は主にパブリッシャーやウェブサイトのデザイナーだ。Creative Fabricaはクラフト制作者を対象にしているため、ダイカットマシンのSilhouetteのような家庭用機材で作れるようにデザインされたファイルが販売されている。

さらにイレナー氏は、Creative Fabricaはクラフト制作者の制作プロセス全体、つまり「フルファネル」にも注目していると補足した。たとえばバースデーパーティーの飾りを作りたいと思っている人は、このプラットフォームから着想を得て、デジタルマテリアルをダウンロードし、Creative Fabricaのチュートリアルを見て作り始めることができる。Creative Fabricaでは卓上ダイカットマシンや刺繍ミシンなどの機材を使うクラフトが多いため、制作者が作り始める際の助けになるように幅広いチュートリアルを提供している。

Creative Fabricaは編み物や織物、子供向け作品に範囲を広げているため(すでに編み物やかぎ針編みのパターンは提供を開始している)、今後は編み物をする人がパターンを探すのによく使っているRavelryなどのサイトや、子供向けに素材と作り方を提供しているKiwi Crateのようなサービスと直接競合していくことになる。イレナー氏は、さまざまな種類のクラフトを作りたい多くの人を対象としていることがCreative Fabricaのバリュープロポジションだと語る。

Association for Creative Industriesのレポートによれば、米国の63%の世帯が何らかのクラフトに関わっているという。その多くが、複数の種類の作品を作っている。

イレナー氏は「編み物をしている人はダイカットや木工など異なる種類のクラフトもする傾向があります。我々は1つの狭い分野に特化するのではなく、この市場を広く見てクリエイティブなクラフト全般について提供できると考えています」と述べた。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Creative Fabrica資金調達

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(翻訳:Kaori Koyama)

投稿者:

TechCrunch Japan

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