友人におすすめ商品を提案するソーシャルショッピングのChumsがYCデモデイに先んじて3.8億円を調達

米国時間3月23日の朝、Y Combinator(YC)のDemo Dayがキックオフされるが、今回のバッチに含まれるスタートアップ企業は、最近の成長を投資家たちに披露する前に、少しでもニュースにしようと急いでいる。そうした企業のリストには、RunwayMonoPangea、そしてFluxが含まれる。

そこにさらにChumsが加わった。Chumsは、ユーザーが友達に商品を提案するのに役立つソーシャルショッピングサービスだ。このスタートアップは、2つのプレシード投資で合計350万ドル(約3億8000万円)を調達した。

TechCrunchはChumsの創業者の1人であるNoah Elion(ノア・エリオン)氏に、このラウンドについて話を聞いた。同氏によると、同社は2020年12月に100万ドル(約1億1000万円)をクローズし、その後さらに150万ドル(約1億6000万円)を調達しようとしていたという。同社への関心が高かったため、Chumsは当初の目標額より100万ドル(約1億1000万円)多く、合計350万ドル(約3億8000万円)を調達することになった。

同社は、SAFE(Simple Agreement for Future Equity、将来株式取得略式契約スキーム)で資金を確保した際のバリュエーション・キャップについては明かさなかった。

150万ドル(約1億6000万円)という目標額は、同社が今後1年半の間に必要とする資本金の額に基づいて設定されたものだとエリオン氏は述べている。最終的な調達額は、Ludlow、Shrug、Contrary Capital、そしてFuel Capitalなどの企業や個人から出資された。【更新】BoxGroupがこのラウンドで2番目に大きな小切手を書いたことは注目に値する。

現在YCに参加している企業が、数週間前に製品を発表したばかりにもかかわらず、どうやってオールドスクールなシリーズAラウンドの資金を調達できたのか。その質問に答えるには、創業チームの経歴がヒントになる。例えば共同創業者のDick Fickling(ディック・フィックリング)氏は、Honeyの初期のエンジニアだった。Honeyもショッピングに特化したスタートアップだったが、巨額のM&Aエグジットに至った企業だ

Chumsのサービスは、ユーザーが購入したいと思う商品タイプをフォローしたり、友人のニーズに合う商品を互いに提案したりできるモバイルアプリだ。このアプリが市場に登場したのは3週間前で、エリオン氏は同社が資金調達を行う直前だったと説明している。TechCrunchが初期の牽引力について質問したところ、エリオン氏は、まだ多くを語るには早すぎるが、これまでのところ「勇気づけられる」レベルのエンゲージメントが得られていると語った。

このスタートアップは現在4人で、ウェブサイトでは友人のグループと表現されている。これはほぼ事実だ。エリオン氏とフィックリング氏は、前者がChumsの前身であるChums Referralを構築した後にチームを組み、その過程で友人になった。フィックリング氏は、チームの他のメンバーであるエンジニアリング担当ディレクターのLauren Williams(ローレン・ウィリアムズ)氏や製品担当のLena Gasilina(レナ・ガシリーナ)氏とは、以前から同僚で友人だったという。

同社チームは、デザイナーとフロントエンド開発者を募集しているが、それ以降の採用は予定していない。次のラウンドまでは、6人のままでいるつもりだという。なぜか?同社は6人のスタッフでプロダクト・マーケット・フィット(PMF)を達成したいからだ。そうすれば、余裕のある評価額でさらなる資金調達ができるはず、とのこと。このアイデアはわからないでもないが、2021年に資本を維持するために成長を抑えるというスタートアップの計画を聞くのは少し奇妙だった。

Chumsは、おすすめ商品からの手数料で収入を得て、その収入をユーザーと分けている。エリオン氏は、同社が小売業者との商業的なつながりを確保するために協力しているネットワークについては明かさなかったが、将来的にはChumsがより良い条件を確保するために直接取引を行うことになるだろうと述べた。

ラウンドをクローズし、チームのほとんどが揃い、アプリも市場に投入されたChumsはこれから、Google(グーグル)は過度に操作されており、Amazon(アマゾン)は探しているものがわかっている場合のみに最適だというエリオン氏の見解を証明できるかどうかにかかっている。同氏の考えでは、人々は「コンテンツの多様性」と「自発的な買い物」のためのスペースとしてショッピングモールを好んできた。Chumsはそうしたニッチを埋め、大きな利益を生み出すことができるかもしれない。

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Aya Nakazato)

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TechCrunch Japan

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