最も楽しく過ごせる人たちとのつながりを強くするソーシャルアプリ「Squad」、ボイスメッセージ好きならきっと気に入る

Squadは共通の関心ごとがある人をつなぎ、実際に会うためのアプリだった。ところが新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が広がった。ソーシャルアプリの多くはこの状況下で成功した。人々は以前よりもデジタルでのつながりを渇望したからだ。しかしSquadはうまくいかなかった。

創業者のIsa Watson(アイサ・ワトソン)氏には、世界がいつまで活動を止めることになるのかわからなかった。同氏は、以前の世界に戻るのを待つのではなくアプリの機能を完全に変えることにした。

米国時間6月22日、Squadはすでに友達である少数の人たちと関係を深めるオーディオベースのソーシャルアプリとして再出発した。Squadはオーディオのみのアプリだが、第2のClubhouseを目指すわけではない。親しい友達から発信されたボイスメッセージのニュースフィードのようなもので、メッセージは24時間後に消える。

最大12人の友達を自分の「スクワッド」(チーム、部隊の意)に追加でき、新しいボイスメッセージを投稿するとスクワッドのメンバーは絵文字で反応したり個人的にボイスメッセージを返したりすることができる。個人的なボイスメッセージも24時間で消えるため、率直に話しやすい。Squadは近々通話もサポートする予定だが、今のところグループ通話やグループオーディオメッセージの機能はない。しかし通話にタイトルをつけられるため、ユーザーにとっては一般的な通話よりもSquad経由で話す方が好ましいかもしれない。タイトルをつければ、スクワッドのメンバーは通話に出る前にあなたが何について話したがっているかを知ることができる。

画像クレジット:Squad

ワトソン氏は「ソーシャルの状況には大きな空白部分があります。ソーシャルのツールの大半は発見し、ブロードキャストし、個人をブランディングするプラットフォームだからです。我々は最も楽しく過ごせる人たちとの強いつながりを維持できるようにしようと考えており、大きなチャンスがあります」と述べた。

Instagramの厳選された写真やFacebookの作り込まれた近況よりも、音声で近況を投稿する方が信頼できる感じがする(そしてFacebookはZ世代やミレニアル世代にとって明らかにクールではない)。Dispoなどのアプリの人気に表れているように、若い世代はそのとき限りでリアルなソーシャルメディアエクスペリエンスに対する反応が良い。とはいえ、オーディオだけのメディアをWhatsAppやiMessageでボイスメッセージを送ったことのない人々に売り込むのは難しいかもしれない。Squadは最初に米国内のみで公開するが、このようなアプリはボイスメッセージの人気が高い他の国で成功する可能性がある。

ワトソン氏は「テキストメッセージで交わされる会話の多くが、非同期のオーディオメッセージになりつつあります。この傾向は習慣として今後もさらに浸透していくものと我々は期待しています」と補足した。

ワトソン氏は2019年にシードラウンドで350万ドル(約3億8800万円)を調達し、TechCrunchでは非白人女性がシリコンバレーでベンチャー投資を獲得した秘訣の記事で同氏を取り上げた。アプリの方向性は変わったが、 Harrison MetalのMichael Dearing(マイケル・ ディアリング)氏、BoxのAaron Levie(アーロン・レヴィ)氏、StichFixのKatrina Lake(カトリーナ・レイク)氏、AwayのJen Rubio(ジェン・ルビオ)氏、SlackのStewart Butterfield(スチュワート・バターフィールド)氏などの投資家は引き続きワトソン氏を支援する。ワトソン氏はシードラウンドの後、さらに100万ドル(約1億1100万円)を調達し、これまでにSquadが調達した資金の合計は450万ドル(約4億9900万円)となっている。

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ワトソン氏はこう語る。「私は(投資家たちから)『アイサ、あなたはソーシャルに関するこうした変化について何年も話していたけど、みんながあなたにクレージーだと言っていたよね、ソーシャルのことはすっかり理解されていて今後は何も起きない、って』と言われていました。しかし今、人々は変化を認めています」。

画像クレジット:Squad

SquadがClubhouseの競合ではないにしても、オーディオ専用メディアの台頭は飽和したソーシャルマーケットに風穴を開けることができるという良い徴候だ(だから多くのソーシャルアプリがClubhouseに挑んでいる。出会い系アプリのTinderのようなオーディオアプリがまだ出てきていないのは驚きだ)。Squadのベータテストでは、ユーザーの87.5%がオンボーディングのプロセスを完了した。ただしClubhouseや多くのClubhouseクローンが悩まされているアクセシビリティの問題は、Squadでも同様だ。これまでのところSquadにキャプションを付ける機能はないが、ワトソン氏によれば現在検討中で将来的には実装したいとのことだ。キャプションを付けられるようになればSquadの利用者が増えるだけでなく、iMessageやWhatsAppといったメッセージング大手のアプリと大きく差をつけることができるかもしれない。

グループチャットにボイスメッセージを送るのが好きな人は、自分の友達をSquadに誘いたいと考えるだろう。現在のところこのアプリは招待制で、登録を受け付けている。自分の順番が回ってきたら、友達を3人招待できる。5日連続で投稿すると、さらに3人招待できる。招待した人がサインアップすると、さらに2人招待できる。自分のスクワッドのメンバーが12人になるまで、このルールで増えていく。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Squad音声ソーシャルネットワークボイスメッセージ

画像クレジット:Squad

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Kaori Koyama)

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TechCrunch Japan

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