どの暗号資産でも店舗での支払いで使えるようにする独SALAMANTEX、店側も安心して導入可能

日々の支払いで暗号資産を手軽に活用することはできないか?ドイツのフィンテック企業SALAMANTEXはまさにそうした要望を叶えるプラットフォームを展開している。同社のCOOであるMarkus Pejacsevich(マーカス・ペヤセヴィッチ)氏は「このプラットフォームなら、どんな種類の暗号資産でも、あらゆる店で、オンラインでもオフラインでも使えます」と語る。どのように可能なのか?時代に合っているのか?店舗側に負担はかからないのか?同氏が詳しく語った。

広がる「暗号資産で支払いたい」という声

Harris PollとMasterCardが2021年2月26日から3月10日に行ったオンライン調査によると、ミレニアル世代の回答者のうち40%が今後、暗号資産で決済をしようとしているという。また75%は暗号資産をよりよく理解できたら、決済に暗号資産を使用したいと考えており、さらに93%は新しい決済方法を検討するつもりだという。

ペヤセヴィッチ氏は「コロナ禍によって非接触の決済が好まれるようになったのも、この調査結果の背景にあるでしょう」と見ている。

この他、同氏は世界の中央銀行によるデジタル通貨導入の動きにも注目している。2021年3月、欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は2025年頃にデジタル通貨を発行できる可能性に言及した。

こうした流れの中でペヤセヴィッチ氏が懸念しているのは、ヨーロッパのフィンテック企業のプレゼンスだ。現在、VISA、Mastercard、Rippleなどが世界中の中央銀行にプロトコルを提供しており、米国企業の存在感が増しているのだ。だからこそ、ペヤセヴィッチ氏はヨーロッパのフィンテック企業として一石を投じたいのだ。

暗号資産で決済するプラットフォームとは?

SALAMANTEXが提供しているのは、単純に「暗号資産を使用するためのサービス」ではない。あらゆる種類の暗号資産を使って取引・決済を行い、ユーザーが使用するさまざまなエコシステムの中でポイント還元を行うプラットフォームだ。

例えば、ユーザーが飛行機でウィーンからフランクフルトに移動し、ホテルに向かい、公共交通機関を使って買い物に行き、レストランで食事をし、その支払いをSALAMANTEXを使って行ったとする。ユーザーはここまでの移動手段、買い物や食事をした店でポイントを獲得することができ、このポイントでまた移動や買い物ができる。さらに、こうした決済にはあらゆる暗号資産を使用することが可能だ。

ここで、SALAMANTEXで実際に買い物をする場合のプロセスを見てみよう。

まず店舗など事業者が支払い内容を現地の通貨で打ち込む。その後事業者が支払いに使用する暗号資産の種類を選択する。この後支払い用のQRコードが作成される。買い物をする客はこのQRコードを自身の端末でスキャンし、取引を確認する。数秒後には決済が確定する。

ペヤセヴィッチ氏は「もちろん、当社のプラットフォームを広く使ってもらうには、事業者に安心してもらうことが重要です。そこで、特に事業者の5つの懸念点に対応しています」と自信を見せる。

1つ目はプラットフォームの管理だ。管理はSALAMANTEXが行い、透明性も担保され、規制も遵守している。事業者はこうしたことを心配する必要がない。

2つ目はボラティリティーのリスクだ。SALAMANTEXではレートが固定されているため、事業者がレートのリスクを考える必要はない。

3つ目は事業者が為替の知識に自信がない点だ。SALAMANTEXでは、事業者は受け取る通貨を暗号資産にするのか、一般的な通貨にするのかを選択することができる。したがって、事業者が暗号資産のレートやリスクに詳しくなくても、導入しやすい。

4つ目がSALAMANTEXのプラットフォームと、既存のシステムの統合だ。統合に大きなコストやリソースがかかるのであれば、事業者の負担は大きくなる。しかし、SALAMANTEXには自社開発のハードウェア、ソフトウェアがあり、それらを事業者の既存のレジシステムやチェックアウトページにシームレスにつなぐことができる。

5つ目は経理作業だ。こうしたプラットフォームでの会計をどうやって経理に反映させるのか?同社は優れたAPIとレポーティングツールを用意しており、経理データの処理はシンプルに行えるという。

「あらゆる暗号資産でお買い物」を実現するエコシステム

では、こうしたプラットフォームの全体像はどうなっているのか。

買い物をする客が取引情報のQRコードをスキャンすると、支払らわれた通貨は事業者のウォレットに送られる。この通貨は固定レートで一般的な通貨に両替され、決済銀行に送られる。ここからドイツのシステムに存在するdisagioというものを引いた額が事業者の銀行口座に送られる。事業者の決済の仕組みによって多少流れに違いが生じるが、基本的にはこのように決済が処理される。

ペヤセヴィッチ氏は「当社は『1つの国で使われるソリューション』以上のものを提供しようとしています。私たちのパートナーシップはヨーロッパの75%をカバーできます」と語る。

一方で、SALAMANTEXのようなプラットフォーム展開には、地域ごとの法令遵守も重要になる。同社はオーストリアではFMA(Finantial Market Authority、金融市場当局)の規制を受けている。また、ドイツではこうしたビジネスの展開に銀行が必要になるため、TEN31というフィンテック銀行とパートナーシップを組んで対応している。

「今、決済サービス提供企業にデジタル通貨のことを知ってもらい、協業することが必要です。お買い物をするお客さまにも、理解を深めていただけるよう働きかけが必要です。何より、ヨーロッパの暗号資産決済プレイヤーが暗号資産の可能性の扉を開くために、ヨーロッパのソリューションを提供していくことが不可欠です」とペヤセヴィッチ氏は今後の展望をまとめた。

【Japan編集部注】本記事はCrypt Asetts Conference 2021中のセッションを再構成したものとなる。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:SALAMANTEXドイツ暗号資産

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TechCrunch Japan

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