会員制ファンコミュニティアプリ「fanicon(ファニコン)」を運営するTHECOO(ザクー)は4月25日、YJキャピタル、日本ベンチャーキャピタル、みずほキャピタル、吉田正樹事務所、日本政策金融公庫から約3億円を調達したと発表した。
2017年12月のサービスリリース時にも紹介したfaniconは、YouTuberや声優などのインフルエンサーたちが自身のファンと交流するためのサービスだ。THECOOが「アイコン」と呼ぶインフルエンサーは、同サービスを利用して自身の近況を投稿したり、ライブ配信やファンとの1対1のチャット機能を利用してコミュニティを盛り上げていく。
一方のファンたちは、アプリ内に設けられたファン同士のグループチャットや、サイン入りTシャツなどの特典が当たる有料のスクラッチくじなどでアイコンを応援することが可能だ。
同サービスは月額課金が必要な会員制サービス。月額料金はアイコン自身が設定するが、500円程度の料金が一般的だ。“フリーミアム”という言葉が一般化するなか、わざわざ会員制という仕組みを採用した理由をTHECOO代表取締役の平良真人氏は以下のように語る。
「faniconはファンベースを広げるためのサービスではなく、コアなファンたちとのコミュニティを醸成するもの。月額料金を払ってでもコミュニティに参加するコアなファンを集めるサービスを作りたかった。その結果、いまではアイコンがテストマーケティングの手段としてfaniconを利用する例も出てきた」(平良氏)
コアなファンを集めることで、コミュニティ内の活気も高めることができたようだ。平良氏によれば、faniconユーザーの7〜8割が1週間のうちにサービス内で何らかのアクションを起こしている。また、半分以上のユーザーが月額課金だけではなく、従量課金をしてスクラッチくじを購入しているそうだ。現在、faniconに参加するアイコンの数は約210人。ユーザーの数は非公開だけれど、1コミュニティあたりのファン人数の平均は100人程度ということだから、単純に計算すると現在のユーザー数は約2万人というところだろうか。
THECOOはfaniconのほかにも、インフルエンサーマーケティングに特化したデータ事業、YouTuberなどが所属する事務所の運営も行っている。今のところ収益の基盤となっているのは事務所の運営事業だと言うが、THECOOは今回の資金調達によってfaniconをさらに強化。新たな収益の柱へと育てていく方針だ。
平良氏は今後の戦略について、「2017年12月のfaniconリリースで、(上の写真にある)三角形が完成し、インフルエンサー、広告主、ファンに関わるビジネスをTHECOOのサービスですべてカバーできるようになった。今回調達した資金は、イベント協賛などによるfaniconのプロモーションや、開発人員の強化に利用する」と語った。
また、従来のYouTuberや声優といった領域でのアイコンの発掘を進めつつ、スポーツ選手などの領域にもアイコンの幅を広げていくそうだ。