常套句ではあるが、データはデジタル経済の新たな石油だ。しかし、Truth{set}(トゥルースセット)の共同創業者兼CEOであるScott McKinley(スコット・マッキンリー)氏はこう問う。「なぜ誰も石油の質は気にしないのか」。
これはマッキンリー氏がNielsen(ニールセン)の経営幹部として7年間感じていた問題であり、マーケティングデータを扱うプロダクトは「すべて大量のエラーに基づいて構築されている」ことに気付いた。その証拠として、同氏は最近の調査を引き合いに、質の悪いデータはマーケティング担当者に1ドルあたり21セントを浪費させ、消費者データは多くの場合「ターゲットリストからランダムに抽出した場合のデータと同じか、それより悪い」と指摘した。
マッキンリー氏は「オクタン価の表示がないガソリンスタンドでわざわざガソリンを入れるだろうか」と主張した。同氏が創業したTruth{set}はオクタン価をマーケティング担当者に提示し「エコシステム全体に光をあてる」。
具体的には、同社はマーケティング担当者が購入する消費者データの正確性を0.00から1.00までのスコアに点数化する。Truth{set}はスコアをはじくために、独立したデータソースや自社内のデータに照らしてデータをチェックする。
「当社がこれを行うにあたり、何が真実で何がそうでないか、判断基準を確立させる必要があった」とマッキンリー氏は述べた。「そこで、独自のデータセットを構築するのではなく『もっと賢くやろう。独立した真実の情報源を使って、他人のデータを検証しよう』と考えた」。
同社は、ステルスモードから抜け出すときに、スタートアップスタジオのsuper{set}、WTI、Ulu Ventures、および戦略的エンジェル投資家らからシードで475万ドル(約5億1000万円)を調達したことを発表した。
同社はデマンドサイドプラットフォーム、データ管理プラットフォーム、顧客プラットフォームと互換性があるという。またFacebook(フェイスブック)、LiveRamp、The Trade Deskなどの主要なデータプロバイダーとも統合している。
マッキンリー氏は「プラットフォーム上でマーケティング担当者の基準を満たさない消費者IDを『抑制』して、ターゲティングに使用されないようにすることもできる」と説明した。
会話全体を通して、同氏は信頼できるスコアを提供するために「利益相反は許されない」と主張し、独立性を強調した。同時にTruth{set}は、データプロバイダーと緊密に連携してデータのスコアリングを行い、データプロバイダーの精度向上を支援している。マーケティング担当者の間に、正確なデータにはTruth{set}から良いスコアが付いているはずだという期待を形成することが目標だ。
「何かを見逃しているかもしれないという不安が存在する。つまり、スコアが付いていないデータには、何かが隠されているのではないかと」とマッキンリー氏は語った。
画像クレジット:Getty Images
[原文へ]
(翻訳:Mizoguchi)