登録者は2万人を突破。YOUTRUSTは副業・転職にとどまらない日本最大のキャリアSNSを目指す

登録者は2万人を突破。YOUTRUSTは副業・転職にとどまらない日本最大のキャリアSNSを目指す

「ずっと会社員をすると思っていたのに、まさか自分が起業するなんて」

そう話すのは、キャリアSNS「YOUTRUST」を運営するYOUTRUST代表の岩崎由夏さん。

2017年に同社を創業し、2018年4月に同サービスを正式ローンチした。SNSの口コミだけで当日に700人以上から登録が殺到し、わずか2年で登録者数は2万人に。

会社員志望だった岩崎さんがなぜ、HR領域での起業を選んだのだろうか。きっかけは採用担当をしていたとき感じた転職市場の違和感と師匠・中川綾太郎さんとの出会いだった。

岩崎由夏
大阪大学を卒業後、2012年にDeNAへ新卒で入社。新卒、中途の採用を担当する。2016年に子会社ペロリに出向し、経営企画を担当。2017年にYOUTRUSTを設立する。

「辛いところに身を置きたい」と思い、新卒でDeNAに入社

登録者は2万人を突破。YOUTRUSTは副業・転職にとどまらない日本最大のキャリアSNSを目指す

岩崎さんは2012年、「怪盗ロワイヤル」をはじめとするソーシャルゲーム事業で急成長していたDeNAに新卒で入社。同社を選んだのは、「辛そうだったから」という少し変わった理由だった。

「大学生時代にDeNA創設者である南場智子さんの講演会へ行ったとき『うちの会社は120%の力で働いても、評価されるのはフィフティーフィフティー』と話しているのを聞いて、ここで働きたい!と思ったんです。

というのも、『自分が幸せに感じることはなんだろう』と考えたとき思い返すのは『辛いことを乗り越えたとき』ばかりでした。たとえば受験勉強は辛かったんですけど、受かったあとはすごく幸せを感じたなと。だから仕事も、あえて働く環境がすごく辛そうな会社を選びました」

入社後は人事部に配属され、新卒採用を担当することに。

「予想通りDeNAでの仕事はハードでしたが、人の意思決定にずっと興味を持っていたので、『人』と密に関わる人事は肌に合っていました。1年ほど新卒採用を担当したのち中途採用に変わったのですが、人事をしているなかで、『採用市場』にある違和感を持つようになりました」

当時のDeNAは転職エージェントを積極的に利用して採用活動をしていた。熱心に求職者を提案してもらうものの、実際に面接で会うと想定とは異なる人材だったことが多々あったという。転職エージェントは紹介手数料の高い企業を優先的に紹介するため、この摩擦が起きやすい傾向にある。

「実際に知り合いが転職エージェントを介して転職する会社はことごとく紹介手数料の高いところばかりで。『求職者が働きたい企業』と『企業側が求めている人材』がマッチせず、気づかぬうちにフェアでない選択肢から人生が左右されてしまう転職市場に課題を感じていました」

中川綾太郎氏との出会いで起業を決意

登録者は2万人を突破。YOUTRUSTは副業・転職にとどまらない日本最大のキャリアSNSを目指す

転職市場に漠然とした疑問を抱いているなか、起業の転機になったペロリへ出向することに。

「グループ会社になったペロリの経営企画室へ異動となり、創業者の中川綾太郎さん(現:newn代表)の元で働くようになりました。中川さんは頭が切れて素晴らしいアイディアマンなのですが、たまにしょうもないことができない人間らしさがあって(笑)。『あぁ、こういう人が社長になるんだな』と経営者としての不思議な魅力を感じていました。

そんな中川さんに『転職エージェントしか得をしない転職市場は気持ち悪い』と愚痴を言っていたら『エージェントの仕組みを壊すか、エージェントより強いチャネルを作るか。選択肢はそのどちらかしかないよね』と言われたんです。

エージェントを潰すのは現実的ではないし、お世話になった信頼できるエージェントさんも沢山出会ったので、エージェント自体が悪なわけではない。なら、エージェントより強いチャネルを作るために起業をするしかないな、と思いつつ踏ん切りがつかず、3ヵ月は悩みましたね。最終的に、中川さんに『起業したら出資する』という約束を取り付け(笑)背中を押してもらい、2017年に独立・起業しました」

転職市場のペインを探るも、求められるのは「副業」へのニーズばかり

登録者は2万人を突破。YOUTRUSTは副業・転職にとどまらない日本最大のキャリアSNSを目指す

まずは転職市場の顧客ペインを探るために、知り合いの経営者にヒアリングを行った。しかし返ってくる答えは「優秀なら『副業』でもいいから採用したい」「『副業』でもいいから即戦力人材を採用したい」と「副業」のことばかり。

「転職について聞いているのに副業が話題になることが多かったため、そこに需要を感じました。確かに自分自身もDeNA時代に副業していたとき、副業先に『うちに転職しない?』と提案を受けることがあったんです。

そのような実体験もあり、『副業として働いたあと、その仕事ぶりやコミュニケーションの取り方を見てオファーするサービス』があっていいのでは、と事業アイディアが浮かびました。そこから構想を経て出来上がったのが『友達の友達までの副業・転職意向』を知ることができるYOUTRUSTです」

実際にサービスを開発しようと思い、知り合いのエンジニアに声をかけつつ、自身でもProgateを使いプログラミングを学習した。

「とりあえずプロダクトが形になればなんとかなると思い、エンジニアの採用をしつつ自分ができるところまで開発していたのですが、元同期のエンジニアに自分のコードを見せたところ『チュートリアルの達成度60%って感じ』と酷評されました(笑)。ただ、『もうコード書かなくていいよ』と言われて。それが『代わりに自分がサービスを開発する』という彼の入社表明でした」

エンジニアでDeNA時代の同期である山田昌弘氏を共同創業者に迎え、2018年4月にYOUTRUSTがローンチされた。

初日に700人以上が登録。「副業・転職意欲をオープンにすることに抵抗がない人が意外と多かった」

登録者は2万人を突破。YOUTRUSTは副業・転職にとどまらない日本最大のキャリアSNSを目指す

YOUTRUSTは、友達または友達の友達までのコミュニティの中で、副業・転職をしたい人と企業がつながることができるサービス。さらに、副業や転職意欲がリアルタイムで確認でき、チャット上でメッセージを送れるという特徴がある。当初は「採用したい企業側は多いけれど、副業や転職意欲をオープンにしたいユーザーは多くないのでは」と予測していたという。

「正式ローンチはSNSのみでの発信だったのですが、当日になんと700人以上の登録がありました。この数字は完全に予想以上でしたね。

さらにユーザー側には、ローンチ当初は『転職含め検討中』『今すぐ手伝える』『まずは相談から』『今は難しい』の4つのステータスを設定できたのですが、約30%の方が『転職含め検討中』または『今すぐ手伝える』という高い転職・副業意欲をオープンにしてくれました。

ユーザー側の反響があったのはうれしかったのですが、肝心の企業側の登録は実はゼロで(笑)。なので、初期は知り合いの企業に『タダでもいいから利用してほしい!』とお願いし、導入企業を獲得していきました」

大手企業の副業解禁やコロナが追い風となり、登録者は2万人を突破

登録者は2万人を突破。YOUTRUSTは副業・転職にとどまらない日本最大のキャリアSNSを目指す

熱量の高いユーザーに反して、企業側の獲得に苦戦していたものの、Yahoo!JAPANやライオンなどの大手企業が副業を解禁するようになると、企業側からの問い合わせも増加。導入企業数は300社を突破している。

さらにコロナ禍で雇用市場が冷え込むなか、人材リソースを変動費で確保できる副業の需要は伸びており、YOUTRUSTは2020年3月以降も月次MRRは前年の5倍以上に成長。マッチング数も5.5倍に達している。

「ただYOUTRUSTは、副業や転職を検討している人以外も日常的に利用できるキャリアSNSにしたいと思っています。例えば、『あの人今どういう仕事をしているんだろう?』『誰に仕事の相談をしようかな?』と思ったときに、交流できる場所にしたい。

今後は紹介コメント(他己紹介)機能で人柄をより伝わりやすくしたり、アプリをリリースして頻度高く使えるようにしたりして、より誰にとっても日常に溶け込むサービスにしていきたいですね」

関連記事
矢澤麻里子氏がシード特化型ファンド「Yazawa Ventures」を組成、女性の社会活躍の支援も
「初めて生理が楽しみになった」女性150名の声から生まれた生理用品D2C「Nagi」
きっかけは原因不明の体調不良、40代女性起業家が更年期夫婦向けサービスに込める想い
IVS LaunchPad 2020 Summerの優勝は製造業向けの異常検出AIを開発・提供するアダコテック
女性向けヘルスケアD2Cブランド「WRAY」が約4500万円調達、月経前症候群の悩みにアプローチ
「起業は甘くない、困難だらけだとわかっている」、それでもウーマンウェルネスD2Cブランドを立ち上げるまで
女性向けサプリメントD2Cのnatural tech、卵子凍結・不妊治療の福利厚生プラットフォーム「Stokk」ほか
「友人の友人」までの副業・転職意欲を確認できる「YOUTRUST」が資金調達

カテゴリー:HRテック
タグ:YOUTRUST日本

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。