米国、英国、スペインの子どもたちは、YouTubeと同じ程度の時間をTikTokで過ごしている

子どもに関するアプリの使われ方や習慣を調べた最新の調査では、YouTubeの圧倒的な優位性に大きな脅威が迫っていることが判明した。子どもたちはグーグルのオンラインビデオプラットフォーム(YouTube)と、TikTokなど他のアプリやNetflix、ならびにRoblox(ロブロックス)といったモバイルゲームで時間を使い分けるようになっている。現在4歳~15歳の子どもは毎日平均85分間YouTubeビデオを鑑賞しており、TikTokで過ごす時間は毎日平均80分に達している。同調査によると、TikTokが子どものソーシャルアプリ使用を引き上げ、成長率は2019年で100%、2020年で200%に達している。

デジタル安全性アプリの開発元、Qustodio(クストディオ)が発表した年次報告で使われたデータは、米国、英国、スペイン在住の4歳~14歳の子どもを持つ6万世帯の情報を元にしている。そのため、世界的なトレンドを反映したものではない。この調査は2019年2月から2020年4月にかけた子どもたちのオンライン行動を対象としている。新型コロナウイルス危機を考慮に入れ、4つの主要なアプリカテゴリ(オンラインビデオ、ソーシャルメディア、ビデオゲーム、教育)に焦点を当てた。

同調査によると、子どもたちが最も頻繁に利用するアプリにYouTubeが当然のごとく数えられている。

子どもたちは、4年前と比べて2倍の量のビデオを鑑賞するようになっている。YouTubeの公式アプリは13歳以上を対象としているが、それでもこの結果が得られた。これまで徹底されていない年齢制限に対して、YouTubeは2019年にFTC(連邦取引委員会)から米国の子どもに対するプライバシー規制違反を理由に、前例のない1億7000万ドルの罰金を課されている

YouTubeアプリは現在、米国の子どもの69%、英国の子どもの74%、スペインの子どもの88%に利用されている。より低年齢の子どもに向けたアプリのYouTube Kids(YouTubeキッズ)は、米国の子どものわずか7%、英国の子どもの10%でしか使用されておらず、スペインに至っては統計に値しない程度の数字でしかない。

オンラインビデオで第2位となるのはNetflixであり、米国の子どもの33%、英国の29%、スペインの28%が視聴している。

2020年初頭、米国の子どもたちはYouTubeで1日あたり86分を消費している。これは2019年の88分からわずかに下がっている。英国の子どもたちは1日あたり75分を消費しており、これも2019年の77分からわずかに下落している。スペインでは1日あたり63分となっており、同じく2019年の66分からわずかに下がっている。

予想されたことながら、新型コロナウイルスでロックダウンが続くなか、YouTubeの視聴時間は大きく増加した。例えば、4月中旬の米国では子どもたちがYouTubeに1日あたり99分を費やしている。

YouTubeの合計消費時間が減っている理由には、子どもたちがTikTokを利用する時間が増えていることも一因として挙げられている。YouTube規制の増加および関連収益の減少につれ、クリエイターがグーグルのビデオプラットフォームから中国発のこの短いビデオ専用のアプリに移動する勢いをさらに増せる可能性がある。クリエイターが増えれば、コンテンツが充実し、TikTokの魅力が高まるであろう。

昨年、TikTokはフェイスブックが所有していないアプリでは世界でベスト5に入るダウンロード数を誇り、すべての年齢層にわたって成長を続けている。

2019年5月から2020年2月まで、TikTokで子どもが過ごす平均時間は米国で116%増えて82分となり、英国では97%増えて69分、スペインでは150%増えて60分となった。

2020年2月、米国の子どもの16.5%がTikTokを使用しており、これはインスタグラムの20.4%をわずかに下回っているだけで、スナップチャットの16%をすでに上回っている。英国とスペインではそれぞれ、17.7%と37.7%の子どもがTikTokを使用している。

また、TikTokで過ごす時間はCOVID-19のロックダウン期間中に増加しており、同アプリはYouTubeで費やされる時間よりもほんの数分足りない程度にまで成長している。例えば米国では、COVID-19ロックダウン期間中に子どもがTikTokを使用する平均時間は95分に達しており、YouTubeの97分との差は2分しかない。

オンラインゲームでは、ロブロックスが圧倒的な優位を見せ、米国と英国では、それぞれ54%と51%の子どもがプレイしている。スペインでは、わずか17%にとどまるが、その代わり、スペインの子どもはBrawl Stars(ブロスタ)に熱中している。

同様に、米国の子どもの31%、英国の子どもの23%がマインクラフトを遊んでいるが、スペインではわずか15%だ。

ロブロックスは小さな気晴らしなどではない。子どもたちが画面に集中する時間を占めてきている。

2020年2月では、このゲームだけで1日あたり81分が米国で消費され、英国では76分、スペインでは64分が消費されている。平均すれば、子どもたちは他のビデオゲームアプリよりもロブロックスを約20分長く使用している。(フォートナイトはいい気味だ)

新型コロナウイルスのロックダウン中、ロブロックスで遊んだ子どもはゲームに費やす時間を延ばしており、米国/英国/スペインではそれぞれ、31%/17%/45%の増加率が見られている。ただし、ロックダウンはゲームアプリを使用する子どもの割合を増やしていないことが明らかとなった。

教育アプリ全体は、ロックダウンが始まるまでは、2019年から2020年初頭までほとんど成長していなかった。しかし、調査対象の3つの市場のうち2つでGoogle Classroom(グーグルクラスルーム)が市場を制覇し、スペインの子どもの65%がこのアプリを使用するに至り、米国では50%の子どもが使用しているが、英国ではわずか31%にとどまっている。(英国ではShow My Homework(ショーマイホームワーク)の方が人気があり、ロックダウン期間中に42%へ成長した)

報告では、増加した子どものアプリ使用率は、政府のロックダウンが解除されにつれ多少減少しても、新型コロナウイルスが蔓延する以前のレベルへ戻ることはないであろうと示唆されている。これは、Nielsen(ニールセン)社が本日発表した常時接続のTV利用に関する調査結果とも一致する。この調査でも、政府の規制が解除された後に、コロナ以前のレベルへの落ち込みは見られていない。

クストディオの報告ではこう述べられている。「今では、およそ250億台のデバイスが世界中で相互接続されている。そして、こうしたデバイスの多くが子どもたちに所有されている。」同報告はこう締めくくっている。「今日、米国の子どもは平均して毎日100分近く、YouTubeを鑑賞している。英国の子どもは毎日70分近くもTikTokで過ごし、スペインの子どもはロブロックスで毎日90分以上を費やしている。アプリの使用時間がとっくに増加し始めた世界は、もはや以前の状態に戻ることはないだろう。新型コロナウイルスはそれを加速させただけだ」。

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(翻訳:Dragofly)