サンクスギビング(感謝祭)で始まるホリデーシーズン買い物週末の最終日であるサイバーマンデーのeコマース売上高は過去最高を記録した。Adobe(アドビ)のデータによると、米国の消費者はオンラインでの買い物に計94億ドル(約1兆200億円)を費やした。
この数字を別の視点で分析すると、ピーク時に消費者は1分あたり1200万ドル(約13億円)を使っていた。スマホ経由の売上高が30億ドル(約3260億円)を超えたのは今回が初めてだ。昨年のサイバーマンデーの売上高は15億ドル(約1630億円)超だった(10億ドル超えがすごいことだった日のことを覚えているだろうか?)。また、11月初めからのオンラインショッピング額は815億ドル(約8兆8000億円)となった。
一方で、懸念された以上に消費の動向は緩やかだった。サンクスギビングとブラックフライデーのオンライン売上高はアドビの予想を若干下回り、合計ではほぼ予想通りだったが、予想を大幅に超えるものではなかった。アドビは19%近くの増加を予想していた。。なお、Salesforce(セールスフォース)の売上予測はもっと保守的なものだったことを記しておくべきだろう。同社はサイバーマンデーの売上高が米国で前年比15%増の80億ドル、ワールドワイドで12%増の300億ドルになると予想していた。
そうした予測はオンライン小売の側からすると強気なものだった。「小売業者は例年より短いショッピングシーズンに対応するためにセールの開始を早め、その一方でブラックフライデーやサイバーマンデーのような定着したセールの販促も続けた」とAdobeのMarketing and Consumer Insights責任者John Copeland(ジョン・コープランド)氏は発表文で述べた。「消費者は買い得商品に金をつぎ込み、特にスマホで買い物した。スマホでのショッピングは雪や雨の日に増えた」
サイバーマンデーで最も売れたアイテムとしては、Frozen 2のおもちゃ、L.O.L Surprise Dolls、NERFプロダクト、Madden 20、Nintendo Switch、Jedi Fallen Order、Samsungのテレビ、Fire TV、AirPods、Air Fryersなどだ。ブラックフライデーからサイバーマンデーにかけてAppleは300万セットのAirPodsを売ったという報道もある。サイバーマンデーで最もお買い得だったのはテレビだった(割引率は平均19%)。
サイバーマンデーの最終的な数字はアドビのものと少し異なるかもしれない。売上高は午前中に計4億7300万ドル(約513億円)となり、太平洋時間午後5時に50億ドル(約5400億円)を突破した。
ブラックフライデーのオンラインショッピングが実在店舗での買い物と競っている一方で、サンクスギビングでは一部の人は消費に控えめであり、そしてサイバーマンデーは多くの人がウェブでの買い物に没頭する。サイバーマンデーには仕事が始まり、人々は実在店舗にはあまり足を運ばないが、それでもホリデーバーゲンの買い物をしている。
スマホ経由での30億ドル(約3260億円)もの買い物は、全売上高の3分の1を占めた。スマホの売上高だけもすごいが伸び率は46%だ。別の言葉で言うと、スマホ経由での買い物の成長は目覚ましく、オンライン売上高全体の成長を牽引している。
ブラウジングも人気で、しかしそれほど著しい成長ではない。サイト訪問の54%がスマホからのもので、これは1年前に比べて19%増えた。人々が出先で手早く買い得商品を探すことを思えばこれはもっともなことだ。しかし、座ってクレジットカード番号や住所の入力というやっかいな作業をするとなれば、人々はより快適なキーボードと大きなスクリーンを選ぶ。
アドビがサイバーマンデーまでのセール期間中に指摘したいくつかの傾向は最後まで見られた。ここには、大きなものはさらに大きくなるということも含まれる。どういうことかというと、年間売上高が10億ドル(約1085億円)を超えるようなeコマース大手は、このショッピング期間を最大限利用し続けた。
大手の売上高は今年71%増え、かたや中小の売上は32%増にとどまった。この理由としては、大手のほうが大きな割引を提供できること、品揃えが幅広いこと、配達のオプションがフレキシブルであることが大きい。アドビはまた「オンラインで購入して実在店舗でピックアップする」サービスが昨年から43%増えたことも指摘した。
サンクスギビングとブラックフライデーの後にくる大きなショッピングデーを意味する「Small Business Saturday」と「Super Sunday」という言葉はまだ比較的新しいものだが、この週末を通して消費者は74億ドル(約8030億円)を使った。
サイバーマンデーの売上に影響を及ぼす通常の要因に加え、今年のショッピング期間は悪天候の恩恵も受けたようだ(現在、米国の各地で荒れた天候になっている)。天候が厳しくなると、人々は家にこもってショッピングする傾向にある。たとえば米国ではブラックフライデーに2インチ(約5cm)を超える記録的な積雪があり、オンラインの売上は7%伸びた。
「このホリデーシーズンのオンラインショッピングは予想以上の伸びとなった。小売業者はセール期間がいつもよりも短くなることを意味する短いホリデーシーズンを恐れ、消費者はそれに気づいた。一部のエリアでは、雪や大雨といった天候によって多くの消費者が外出を控え、オンラインでお得な買い物をすることを選んだ。ブラックフライデーだけでもオンラインで74億ドル(約8030億円)の売上があり、この数字は昨年のサイバーマンデーの79億ドル(約8600億円)に迫るものだった」とAdobe Digital Insightsの主席アナリスト兼責任者のTaylor Schreiner(テイラー・シュレイナー)氏は述べた。
「消費者は、今シーズン多用されたスマホの存在もあって、ホリデー期間中の買い物の仕方について認識を新たにしている。今年のホリデー期間中に消費者はスマホ経由の買い物で140億ドル(約1兆5000億円)を使うと予想している」とシュレイナー氏は付け加えた。
大事なことを1つ言い残したが、Amazonのような大手オンライン小売がなぜ広告事業を積極的に展開しているか、Adobeが追跡しているトレンドについて述べる。有料の検索は売上の24.4%を占め(前年比5.2%増)、実際のダイレクト・トラフィック(21.2%)を3ポイント超上回った。「ナチュラルな」検索は売上の18.8%を占め、一方で電子メールは16.8%だった(前年比8.9%増)。オンラインセールのドライブとしてソーシャルメディアの影響は最も小さかった(わずか2.6%だった)。しかしインフルエンサーとしての存在を証明し、サイト訪問の8%を占め、これは前年から17.5%のアップとなった。
画像クレジット:Klaus Vedfelt / Getty Images
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(翻訳:Mizoguchi)