【編集部注】オリジナルの英語記事は、中国におけるTechCrunchのパートナーメディアTechNodeからの転載。
Uberの中国事業買収を経て、Didi Chuxingは中国の配車サービス業界に残った唯一のプレイヤー、つまり広大な中国市場を掌握する企業になったと考えられていた。しかしDidiの成功は、同時に競合企業に新たなチャンスをもたらすことになった。たとえDidiであっても、どうやらひとつの企業が中国市場全体を支配するというのは不可能なようだ。
Didiの中国における有力なライバルUCARは、中国の銀行システムを運営しているUnionPayを含む4社から、合計46億中国元(6億7000万ドル)を調達したと今週発表した。同社の株主には、Warburg PincusやJack Maといったビッグネームも含まれている。
さらにUCAR会長のLu Zhengyaoは現地メディアに対し、追加調達資金を含めた合計調達額は70億中国元(10億2000万ドル)を超える予定だと話している。彼によれば、調達資金はマーケティングや採用、オフラインでのプレゼンス向上や車両の購入に充てられるという。
UCARは過去にも巨額の資金を調達しており、昨年10月には100億中国元(14億5000万ドル)をプライベートプレースメント(私募)で調達した。これは素晴らしい数字である一方、資金調達に関してDidiは他社に大きくリードしている。同社は最近行われた73億ドルのラウンド(Apple、Tencent、Alibaba、Softbankなど大手IT企業が参加)を含め、これまでに105億ドルを投資家から調達しているのだ。
Didiはドライバーをクラウドソースで集め、個人の車を使って営業しているのに対し、UCARは自社で車を保有し、タクシー業のライセンスを持ったドライバーが業務にあたっている。認可を受けたドライバーを売りに、UCARは今後利益を拡大できる可能性があると共に、彼らは規制面でのトラブルを回避するという重要な役割も担っている。
Shenzhou Zhuancheと呼ばれる配車サービスに加え、UCAR傘下で香港株式市場に上場しているCar. Incが提供しているレンタカーサービス、その他にも自動車のオンラインマーケットプイス、自動車ローンとUCARは現在4種類のビジネスを運営している。業務内容には既にかなり広がりがあるように見えるが、CEOのCharles Luはさらに新しい分野へ進出していきたいと言う。現状のまま行けば4つのビジネス全てが今期黒字になる予定で、新たなビジネスとしては自動車製造業という案が挙がっている。
多くの中国発テック系スタートアップ同様、UCARも中国の店頭取引(OTC)市場に上場している。彼らは昨年9月に、配車サービス企業としては初となる上場を果たし、現在の時価総額は409億3000万中国元(59億5000万ドル)に達している。一方Didiはまだ上場しておらず、具体的なIPOの計画についても発表されていない。
厳しい競争環境や政府の締め付けにも関わらず、中国の配車サービス市場を狙う現地企業は後を絶たない。LeEcoの投資先であるYidaoは、長引いているDidiのUber中国事業買収が完了したタイミングで生まれるギャップを狙っており、2015年には10億ドルの評価額で7億ドルを調達した。
他には、中国トップのネット企業Meituanも、最近自社のアプリに配車機能を追加し、自動車メーカーのGeelyは、Caocao Zhuancheと呼ばれる配車サービスの営業範囲を拡大させた。
2015年のDidi DacheとKuadi Dacheの合併や、現在進行中のDidiとUberの話など、大手企業の統合が進む中、中国の配車サービス業界における戦いは終わったというのが大方の見方だった。しかし、UCARの資金調達のニュースからもわかる通り、市場は成熟しつつありながらも、戦いはまだ終わっていないようだ。
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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter)