VergeSenseはマシンビジョンを使って企業がオフィススペースの利用状況を把握できるようにするスタートアップだ。同社は米国時間12月22日、Tola Capitalが主導するシリーズBで1200万ドル(約12億4000万円)を調達したと発表した。
同社は2020年5月のシリーズAで900万ドル(約9億3000万円)を調達しており、調達金額の合計は2260万ドル(約23億4000万円)となった。これまでにJLL Spark、Allegion Ventures、MetaProp、Y Combinator、Pathbreaker Ventures、West Venturesが投資している。
新型コロナウイルス(COVID-19)の感染が拡大している状況で、VergeSenseが自社のサービスやセンサーに多くの需要があると見込んでいるのは当然だろう。同社は2017年の創業以来着実に成長してきたが、新型コロナ感染拡大によりオフィススペースをスマート化する動きは加速している。VergeSenseのCEOで共同創業者のDan Ryan(ダン・ライアン)氏は筆者に対し、ソーシャルディスタンスを保ったり、オフィスで清掃を強化しなくてはならない場所を把握したりするのに役立つ新機能をここ数カ月で追加したと説明する。
今後感染拡大が抑えられても、オフィススペース、そしてオフィスワークは根本的に変化することが明らかになりつつある。ライアン氏は「仕事の仕方は、ハイブリッドモデルのようなかたちになっていくでしょう。感染拡大前にもすでにそのような兆しはあり、企業は実験をしていましたが、今はそれが急激に加速しています。我々はこのような事態をまったく予想していませんでしたが、現実の世界をほとんどプログラムできるインテリジェントなインフラがあらゆる場所に整備されれば役に立つという可能性を示す良い例だと思います」と語る。
2020年にVergeSenseがリリースした新機能として、今は誰も座っていなくてもバッグが置いてあるといったそのデスクが使用中であることを示唆する目印を探し、席がふさがっているようだとツールに登録する機能がある。
同社の顧客は現在29カ国に広がっている。その中にはShell、Quicken Loans、Roche、Cisco、Telusなどがある。同社のツールが監視している面積の合計は、4000万平方フィート(約371.6万平方メートル、112.4万坪)以上におよぶ。
ライアン氏が筆者に語ったように、VergeSenseは2020年に投資家からインバウンドの関心が高く、現在の傾向を利用したいと考えている。「我々は2021年に期待しています。特に現在、アジャイルなハイブリッド座席モデルへの移行はますます加速しているため、我々はその分野でも成長できるように準備し、計画を立ててきました。そのため、Tola Capitalとともにチームが次のレベルへ進むためにうかがっていたある種のチャンスとなりました」と同氏は説明する。
VergeSenseは新たに得た資金で、同社のコアであるコンピュータビジョンの機能とハードウェアに引き続き取り組んでいくが、ライアン氏が述べたように2021年に同社が力を入れる領域には新しいパートナーシップとデスクや部屋を予約するツールの統合、オートメーションシステムの構築も含まれている。そのために同社は全部門で人材を雇用し、従業員数を2倍にする計画だ。
このような分野の企業はもちろんVergeSenseだけではない。たとえばスイスのスタートアップのLocateeは2020年前半にシリーズAの資金調達を実施した。Locateeは、VergeSenseが開発しているような専用のセンサーなどを使うのではなく、ネットワークのデータからオフィスの利用状況を測定する。他にもDensity、Basking、SteerPathなどがこの分野に取り組んでいる。
カテゴリー:ハードウェア
タグ:VergeSense、資金調達
画像クレジット:VergeSense
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(翻訳:Kaori Koyama)