英国のエンジェル投資家はロックダウン中の今もアクティブだが、スタートアップたちよ急げ

新型コロナウィルス感染症(COVID-19)のパンデミックの中での、英国のエンジェル投資家たちの投資戦略に関する調査によれば、エンジェル投資家の65%以上が、ロックダウン中でもスタートアップへの投資を続けていることがわかった、ただしその内容は新規取引が中心となっている。多くの投資家が取引数を増やし、投資額も18%ほど増加しているのだ。

しかし、パンデミックはエンジェル投資家たちが2020年に投資する総資金を61%減らし、投資家の60%弱は、COVID-19が2020年の残りの期間に投資する能力に悪影響を与えると考えている。 TechCrunchがその調査開始を独占的に記事にした後、2週間のうちに250人を超えるエンジェルがサーベイに答えた。

これらは、新しい英国組織であるActivate our Angels(AoA)によって行われた調査だ。この組織は、今週中に開始される予定であるスタートアップのための英国政府の「フューチャーファンド」(未来基金)と同時に立ち上がった(なおフューチャーファンドは、エンジェルやシードステージのスタートアップのニーズには不十分だと批判されてきた)。

AoAは、昨年買収されたGiveMeSportの元CEOで共同創業者のNick Thain(ニック・タイン)氏が立ち上げた組織で、さらに7percent Ventures、Forward Partners、Portfolio Ventures、ICE、Foundrs、Punk Money、Humanity、Culture Gene、Barndance、Bindi Karia、そしてStakeholderzの代表者たちが参加している。

AoAは、創業者たちが、ロックダウンの最中そしてロックダウン後に資金調達の意思決定を行う際に役立つ実用的なデータを提供することを目的に、2週間弱前にキャンペーンを開始した。

調査によれば、エンジェルたちは現在投資を継続しているものの、出資希望の創業者たちはこうした資金を素早く確保する必要があることが示された。なぜなら調査対象となったエンジェル投資家の59%が、ロックダウンが長引くことによって将来の投資が影響を受けると答えているからだ。

これは、スタートアップの調達額が25万ポンド(約3300万円)より少ない場合には、より重要になる。

さらに同調査は、エンジェルが1取引あたりこれまでより18%多く投資しており、取引の頻度も2019年の1か月の0.27取引から、ロックダウン中の過去3か月には1か月あたり0.6取引と122%以上に増えていると結論付けている。

エンジェルたちは、より長いランウェイ(長期資金余力)と収益力のあるビジネスを求めているが、目にしているのはバリュエーションの減少とより小規模なラウンドだ。

さらに、調査によればエンジェルたちが2020年に投資する資金額は2019年と比較して61%にとどまると伝えられている。これは、エンジェルたちが「ロックダウンもとで太陽がまだ輝いている間に、干し草を作ろうとしている」ことを示唆していると、調査は結んでいる。

その結果、エンジェルたちが2020年の残りの期間に投じる資金は大幅に少なくなる。

まだ調達を済ませていないスタートアップの場合には、最初のラウンドをできるだけ早く行うべきであることを調査結果は示唆している。

すでに資金を調達しているスタートアップにとっては、この差し迫ったエンジェル資金不足は、今後立ち上がる政府支援のフューチャーファンドなどの組織を、これまで以上に重要なものにするだろうと調査は述べている。

「ロックダウンの中で投資を行っていないエンジェルは、彼らは現金を握ったまま、COVID-19が終わったことを確信できるタイミングを待っている。彼らに接触するための最良の手段は、ソーシャルメディアではなく、紹介や推薦、電子メールもしくはLinkedIn経由だ」と調査は付け加えている。

調査の結果を以下に要約する。

● エンジェル投資家の66.7%はロックダウン中でもまだ投資している
○ そのうちの77%が新しい取引に投資している
○ 既存のポートフォリオへの投資は23%にとどまる

● エンジェルの33.3%はロックダウン中に投資を行っていない
○ 71%が取引のレビューを行っている
○ 29%まはったく投資していない

● ロックダウン中は各取引ごとに17.6%以上多く投資している
○ ロックダウン中の1取引あたりの投資金額は2万3071ポンド(約300万円)
○ 2019年は1取引あたりの投資金額は1万9620ポンド(約260万円)

● エンジェルはロックダウン中に平均1.81回の取引を完了したが、2019年全体では平均3.24回の取引を行っている
○ 2020年3月23日のロックダウン以降、おおよそ3〜4週間ごとに1取引
○ 過去1〜3か月間は約7〜8週間ごとごとに1取引
○ 過去4〜12か月間は3〜4か月ごとに1取引
○ 2019年は約3〜4か月ごとに1取引

● エンジェルのうち、Covid-19が2020年における自身投資能力にマイナスの影響を与えると考えているのは58.1%、変化なしは27.2%、そして14.7%はプラスの影響を与えると述べている

● 調査したエンジェルのうち、51.4%は2020年の投資額は少なくなるだろうと回答
○ その人たちは、2019年と比較した2020年の投資額は61%少なくなると回答

● エンジェルの33.3%はロックダウンの中で投資をしていない
○ そのうちの47.6%はCovid-19の危機が終わったと確信できるまで投資はしない
○ また28.6%は投資再開を計画していない

● エンジェルの64.9%は、対象とするビジネスセクターを変えている。対象となるのはヘルスケア、フィンテック、ゲームなどだ

● エンジェルの54.1%が投資要件を変更した。その中では、より長いランウェイ、収益力、定期的収益が最も重視されている
○ エンジェルの46.9%は投資要件を変更していない

● エンジェルの68%はCovid-19の結果、取引条件における評価額の減少を見ており、35%はより少額の投資ラウンドを見ている。

● エンジェルとの連絡に関しては、72%のエンジェルが推薦や紹介を通じて連絡を取りたいと考えている。
○ 54%が電子メールも受け入れ
○ 32.6%がLinkedIn
○ 30.9%がエンジェルネットワークも可としている
FacebookとTwitterはエンジェルに連絡する手段としては最も効果が薄く、この手段を受け入れるのは3%以下だった

● エンジェルの70%は、SEIS/EIS(英国のエンジェル投資向け優遇税制)が投資決定にとって重要、または非常に重要、もしくは決定的であると答え、そのうち58%は、SEISの上限額が現在の10万ポンド(約1300万円)から20万ポンド(約2600万円)に引き上げられても、これ以上投資しないと答えている。

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(翻訳:sako)

投稿者:

TechCrunch Japan

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