起業家がNASAと提携してパンクしない形状記憶合金のタイヤ商業化に注力中

今回はThe SMART Tire Companyの共同ファウンダー、 CEOのアール・コール(Earl Cole)氏のインタビューを紹介しよう。コール氏は以前リアリティTV番組Survivorで100万ドルの賞金を獲得したことで知られているが起業家に転じてNASAが開発した金属タイヤの商業化を目指している

NASAが開催したスタートアップ・コンペで同氏はパートナーに選定された。このプロジェクトは起業家とNASAの科学者、エンジニアと協力し、 宇宙プロジェクトを実施する過程で得たイノベーションやノウハウを地球上で民生品して活かそうとするもので、人々の生活を向上せると同時に維持可能な新たなビジネスを生み出すのも狙いだった。

この提携が生み出したのがThe SMART Tire Companyというスタートアップだ。NASAは宇宙探査機用の耐久性がきわめて高くパンクしない画期的なタイヤを開発した。これは弾性があってさまざまな形状を取れるがある条件で元の形に戻るSMA(形状記憶合金)の特性をタイヤに活用したものだ。このタイヤは膨張のために空気注入の必要がなく、岩だらけの火星の表面を長期間にわたって走破できるという。

コール氏のスタートアップはこのテクノロジーを利用して世界で1000億ドルといわれるタイヤ・ビジネスに参入しようとしている。まず手掛けているのが自転車のタイヤだが、将来はもっと大きい車両のタイヤにも事業を拡張していくとしている。

TechCrunchのインタビューでコール氏は「NASAとの提携は非常に時間がかかるプロセスでひとつの署名をもらうだけで3週間もかかった」と述べた。大組織に特有のそうした問題はあっても最先端技術にアクセスなどにアクセスできることのメリットきわめて大きかったという。コール氏は数十年にわたる経験から「他の人と違った見方をする」ことが起業家精神のなかでがなにより重要だと述べた。一方、伝統的なベンチャーキャピタルから資金調達するためにはいくつもハードルがあった。「すべての金が好ましい金ではない」という。「伝統的なベンチャーキャピタルは収益性を最優先するためにスタートアップの長期的ビジョンを歪めてしまうことがある。それが自分のスタートアップの資金を調達を新たに登場したエクイティ・クラウド・ソーシングで行った理由だ。これならスタートアップの目的に共感した人々なら誰でも少額から投資できる」という。コール氏は、リアリティーショーのSurvivorで優勝した(しかも審査員満場一致の優勝は初めてだった)ことがファウンダーとしてのみならず、会社経営やリーダーシップの面でもさまざまな要な教訓を与えてくれたと述べた。

 

このインタビューの全文は起業家をテーマにしたポッドキャストFoundで聞くことができる。もちろんApple、Spotify、Googleのポッドキャスト・アプリからも聞ける。

画像:The SMART Tire Company

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(文: 翻訳:滑川海彦@Facebook

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TechCrunch Japan

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