起業家たちのスマホの中身:いま使われているアプリはSlack、Eight、FiNC

TechCrunch Japan読者のみなさんであれば、普段からスマホアプリを使いこなしているという人も多いことだろう。ところで、本誌の主人公とも言える起業家たちのスマホの中身はどうなっているのだろうか。それを解明するのが、この「起業家たちのスマホの中身」シリーズだ(前回の記事はこちら)。

今回取材に協力してくれたのは、TechCrunch Tokyo 2018の卒業生であるEco-Pork、JobRainbow、POL、MUSCAを率いる4人。では早速、新進気鋭の起業家が持つスマホの中身を覗いてみよう。

Eco-Porkの神林隆氏

2017年11月創業のEco-Porkは、“養豚×最新テクノロジー”で問題解決を目指す畜産業スタートアップだ。世界で最も消費されている食肉である豚肉の生産性を高めることを目指す。具体的には、農家の経営改善を支援する養豚経営支援システム「Porker」などを提供している。

神林氏がよく使うアプリは、Facebookの「Messenger」だ。社内の開発におけるコミュニケーションは「Slack」を使っているが、それ以外のコミュニケーションはMessengerで済ませているという。「昔はLINEが主流でしたが、妻との連絡もMessengerがメインです。共働きで2歳の子供がいるので、子育ての申し送り事項交換や緊急の保育園お迎え連絡などは、仕事でも使っていて常に見ているMessengerの方がラク」と話す。

神林氏のスマホの中身には、どちらかというと仕事用のアプリがズラリと並んでいる印象だ。名刺管理の「Eight」やダイエットアプリ「FiNC」など、日本のスタートアップが開発するアプリも入っている。

トップページの中でもひときわ目を引くのが、「Ghost Call〜鬼から電話DX〜」というアプリ。僕も知らなかったけれど、これは童話などに登場するサンタやランプの魔神から電話がかかってくる子育てアプリなのだそう。ランプの魔神から友達の大切さを伝えてもらったり、言うことを聞かない子どもに自分に代わって赤鬼から喝を入れたりすることができるんだとか。2歳の子どもをもつ神林氏ならではのアプリだと言える。

JobRainbowの星真梨子氏

JobRainbowは、LGBT求人情報サイトや企業や行政機関向けのLGBT研修・コンサルティングを行うスタートアップ。求人サイトには月間で約11万人のユーザーが訪れる。今回の取材ではCOOの星真梨子氏にスマホの中身を見せてもらった。

そんな星氏がプライベートでよく利用するのは、「Hulu」や「YouTube」などの動画アプリやニュースアプリの「NewsPicks」だという。一方で、仕事でよく使うのは既出のSlackや、かんばん方式のタスク管理アプリ「Trello」、ノート型ストレージサービスの「Evernote」だ。ちなみにTechCrunch Japan編集部も取材案件を管理するアプリとしてTrelloを利用している。

スマホの中身を見てみると、星氏も神林氏と同じく名刺管理にはEightを利用していて、ダイエット管理にはFiNCを利用しているみたいだ。その他にも、2018年の大型キャンペーンで話題となったスマホ決済の「PayPay」、コスメの口コミアプリ「LIPS」、マネー管理の「Moneytree」などを利用している。星氏によれば、なかでも最近ダウンロードして一番良かったのは、「どん兵衛仕様の0円タクシー」で話題になったDeNAのタクシー配車アプリ「MOV」だったという。

POLの加茂倫明氏

POLは研究者版LinkedInとも言える「LabBase」や、産学連携を加速する研究者DBの「LabBase R&D」などを提供するスタートアップだ。東大工学部生の加茂倫明氏と元ガリバー専務取締役の吉田行宏氏により2016年9月に共同創業された。

加茂氏がプライベートでよく利用するのは、音楽アプリの「Spotify」やKindle、YouTubeなど。「YouTubeは最近課金したのですが、広告がなくなるのとバックグラウンド再生可能になるのとでユーザー体験が大幅に向上しました」と話す。

仕事のコミュニケーションで使うのは、先の2人と同じくSlackだ。そのほかにもEvernoteや、時間管理アプリの「Toggl」、習慣記録アプリの「Momentum」、タスク管理の「Todoist」などをよく使うアプリとして挙げた。加茂氏は特にTogglとMomentumを気に入って使っているそうで、「Togglではタイムトラッキングを行い自分の時間配分を可視化して調整し、Momentumでは毎日続けたい習慣がどれくらい徹底できているかを記録&可視化してます」と話した。

スマホの中身も覗いてみよう。加茂氏も、ダイエット管理にはFiNCを利用している。もしかしたら、スタートアップ界隈のダイエット管理といえばFiNCというように業界に浸透しているのかもしれない。また、TechCrunch Tokyo 2016の卒業生でもあるスマホブラウザの「Smooz」をメインブラウザとして利用している。他にも、ビジネスマッチングアプリの「yenta」やニュースアプリの「SmartNews」、インスタントビデオ通話アプリの「appear.in」などを利用していることがわかった。

MUSCAの流郷綾乃氏

旧ソビエトの時代から約45年の歳月をかけて選別交配を重ねたイエバエにより、有機廃棄物を1週間で堆肥化する技術をもつMUSCA。TechCrunch Tokyo 2018のスタートアップバトルでは、見事最優秀賞を獲得した。

そのMUSCAを暫定CEOとして率いる流郷氏がプライベートでよく使うのは、TechCrunch Tokyo 2017卒業生のボイスメディアアプリ「Voicy」だという。僕も個人的によく聞いていて、スタートアップ業界にまつわる話もよくアップされているので、この業界に興味のある人は一度聞いてみるのも良いだろう。最近ダウンロードしたアプリの中で良かったものとして挙げたのは、ユーザベースのグループ会社であるジャパンベンチャーリサーチ(JVR)が開発した起業家とサポーターをつなげるライブ配信アプリ「ami」だという。

スマホの中身も覗いてみると、流郷氏が名刺管理で使っているのも、もはやお馴染みとなったEightだ。Trelloにメモや写真を送信できるサードパーティアプリの「TrePost」を利用しているので、タスク管理にはTrelloを使っているようだ。一方で、先述の3人とは違い、社用コミュニケーションには国産ビジネスチャットアプリの「Chatwork」を利用している。ロボホン用アクセサリのデザインアプリである「リアコレR」や、「ロボホンリンク」がトップページにあるのは、自称「ロボホンエバンジェリスト」を名乗る流郷氏ならではだ。

これでTechCrunch Tokyo2018卒業生の4人の起業家のスマホの中身が出揃った。前回に引き続き、Slack、Eightは多くの起業家にも利用されており、他を圧倒するポジションを築いているように思える。また、昨年は登場しなかったがダイエット管理アプリのFiNCが多く登場したことにも注目したい。2019年も始まったばかりだが、今年はどんな新しいアプリが生まれるのか。今から楽しみだ。

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。