都市のデータ収集ツールのReplicaがSidewalk Labsから独立

Sidewalk Labsが作ったReplicaは、都市部における人の動きをマッピングするデータ収集ツールだ。このReplicaが会社として独立した。Sidewalk Labsは、Googleの親会社であるAlphabetが所有するスマートシティテクノロジー企業だ。

新会社のReplicaを率いるのはNick Bowden(ニック・ボーデン)氏で、同社は米国時間9月12日にシリーズAで1100万ドル(約11億9000万円)を調達したことも発表した。このラウンドではInnovation Endeavors、Firebrand Ventures、RevolutionのRise of the Rest Seed Fundが投資した。今回の資金は、現在13人いる従業員の増員、新しい都市への拡大、テクノロジーへの投資にあてられ、Replicaの成長を加速させる。

ReplicaとSidewalk Labsの関係は継続される。Sidewalk LabsとInnovation EndeavorsがReplicaの取締役会に加わる。

Replicaの本社はカンザスシティで、エンジニアリングのオフィスはサンフランシスコに置かれる。そして、さらにいくつかの地域で事業を始める計画だ。同社はすでにカンザスシティ、ポートランド、シカゴ、サクラメントと連携しており、年内にさらに連携する都市が増える。

Replicaのツールは、2年前に始まったModel Labというプロジェクトから生まれた。Model Labは、都市が抱える問題を解決する方法としてのモデリングを研究するプロジェクトだ。Replicaのツールは、一部のプライバシー擁護者からは怒りを買っている。Replicaは、最初のうちは世界中の公的機関と話をして、そこで使われているデータやプロセス、ツールを知ることに集中した。

その結果、次のようなことがわかった。同社によれば、公的機関は交通と土地活用の関連や相互依存性を理解するために必要な情報をすべて持っているわけではない。したがって都市内の人の動きに関する全体像を完全には把握しておらず、公的機関は土地をどう活用するか、どんな交通機関がどこに必要かを決定できる状況になっていない。Replicaのプランニングツールは、こうしたことを踏まえて作られた。

ボーデン氏は次のように書いている。「誰が、どんなふうに、なぜ通りを利用しているかといった疑問に答えることは、交通網を作り、効率的で持続可能な土地活用を考える上で不可欠だ。しかし都市計画のために現在利用できるリソースは、都市部での人の動きを分析するには不十分だ」。

Replicaのモデリングツールは、個人を特定しないモバイルの位置情報データを使って、人々がどのように、いつ、なぜ移動しているかの全体像を公的機関に提供する。移動のモデルは、人口統計データのサンプルを使って作成された人工的な集団と照合され、実際の人口を統計的に幅広く表す新しいデータセットが作られる。その結果、プライバシーに配慮しつつ、公的機関にとってはきわめて有用なモデルになるとボーデン氏は言う。

ボーデン氏は米国時間9月12日に公開したブログで、プライバシーに関する懸念を鎮静化しようとしている。ブログでは、データは「個人を特定しない」、つまり個人の位置情報データは特定されないことを強調している。Replicaは個人の移動に関心を持っているのではなく、モデリングツールは移動パターンを発見し理解するために使われるという。

ボーデン氏はこう書いている。「このため、我々は個人を特定しないデータのみを使用する。その後このデータは、移動の行動モデル、つまり基本的には特定の場所における移動を表すルールのセットをトレーニングするために使われる」。

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(翻訳:Kaori Koyama)

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TechCrunch Japan

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