日本版ライドシェア実現へ、ロイヤルリムジン運営のアイビーアイが4億円調達

モビリティーや不動産に関する事業を展開するアイビーアイは9月18日、グロースポイント・エクイティとXTech Venturesが運営するファンドを引受先とした第三者割当増資により、総額4億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

アイビーアイは2001年2月の設立。現在の主力は設立時から手がける不動産事業と、2008年に立ち上げたグループ企業「ロイヤルリムジングループ」を通じて展開するモビリティー事業の2つだ。同社では今回の調達を踏まえ両事業においてITの活用を推進し、数年以内のIPOも視野に入れながらさらなる成長を目指すという。

不動産関連では中古マンションのリノベーションを軸に「iReno」ブランドでアフターサービス保証付き物件を提供。近年はITの導入により業務効率の改善を推し進め、年間100件超の物件を提供するまでに成長中だ。

アイビーアイ代表取締役の金子健作氏によると「特に都心の中古マンションに関してはかなり細かいデータベースが蓄積できてきている」状態なのだそう。これまで社内で蓄積・活用してきたノウハウやデータを今後仲介事業者などにも一部有料で提供しながら、物件をリフォームして販売するまでの期間の短縮を狙う。

もう1つの核となるモビリティ事業ではタクシーベンチャーのロイヤルリムジンを通じて「ロイヤルリムジン」や「ジャパンプレミアム」、「東京シティエスコート」など複数のタクシーブランドを保有。東京および神戸にてグループ企業7社で約350台の車両を抱える。

これらのタクシーインフラのほか、配車アプリ「RoyalTaxi配車」を自社で開発。海外ライドシェア企業の「DiDi」や「Uber」との提携も積極的に進めてきた。

金子氏の話ではVCなどからの本格的な外部調達は2001年の設立以来初めてとのこと。すでにグループ全体では2017年12月期、2018年12月期と売上100億円を超えている中での増資は「レバレッジをかけながら、IPOを見据えてもう一段階事業の成長スピードを加速させたい」という思いからだという。

「特に力を入れていきたいのがモビリティ領域数年前から国内外でライドシェアが注目され日本にも一部の事業者が参入してきているが、(規制などの影響もあり)消費者視点で大きくプラスになったプロダクトはまだ生まれていない。決済において使いやすくなった側面はあるものの、基本的に料金や利便性の面における質はそこまで上がっていないと考えている。だからこそ、そこを何とか変えていきたいという思いが強い」(金子氏)

日本のタクシー業界は歴史のある業界であり、近年なかなかベンチャー企業が生まれてこなかった。アイビーアイは2008年にこの業界に参入しタクシー10台からスタート。直後に規制が厳しくなるなど逆風に直面しながらも、M&Aなどを通じて事業を拡大してきた。

金子氏の構想はこの自社インフラ、つまり自社で保有するタクシーブランドも活かした「日本版ライドシェアの実現」だ。

「現在日本で事業を展開する場合、基本的に(白タクではなく)緑ナンバーの車を配車することになるが、料金が顧客の希望する価格帯まで下がっていかないと最終的に支持を集められない。当社で今考えているのは旅行業の免許を取得して、法に沿った形でダイナミックプライシングを実現すること。配車アプリを通じて従来のタクシーよりも安い価格帯で利用できるモビリティの提供をゴールに、プロダクトの開発に投資をしていく」(金子氏)

現在も配車アプリ「RoyalTaxi配車」を運営しているが、これを大幅に拡張したライドシェアアプリを計画しているという

金子氏が考えるプロダクトを成立させるためには、当然需要に応えられるだけの供給(タクシー)が必要になる。アイビーアイでは今回調達した4億円とは別に追加の調達も予定しているそうだが、その資金を活用してテクノロジーへの投資だけでなく、タクシー事業者のM&Aによるインフラの拡充も進めていく方針だ。

「顧客視点では良質なサービスの車が配車されるということ、そして料金が需給に応じて最適な価格へきちんと変動することがポイント。インフラを持つ会社が高い志の下、法規制に沿った方法で業界の中からチャレンジをすれば、現状を変えられる可能性もある」(金子氏)

タクシーのインフラを保有するベンチャーとしては日本交通のグループ会社であるJapanTaxi累計で100億円以上の資金を調達済み。またモビリティ領域では過去に紹介したNearMeAzit(CREW)電脳交通など独自のアプローチで事業を拡大するスタートアップも出てきているだけに、アイビーアイを含めた各社の今後にも注目だ。

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TechCrunch Japan

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