電子商取引ビジュアル検索プラットフォームのSyteが、米国とアジアでの拡大のためにシリーズCで31.4億円を調達

Syteの共同創業者、最高経営責任者Ofer Freyman(オファー・フレイマン)氏、最高収益責任者 Lihi Pinto-Fryman(リヒ・ピント=フライマン)氏、最高執行責任者Idan Pinto(アイダン・ピント)氏

イスラエルのテルアビブを拠点とする、ビジュアル検索ならびにプロダクト発見プラットフォームのSyte(サイト)は、Farfetch(ファーフェッチ)やFashion Nova(ファッション・ノバ)といったブランドですでに使用されており、今回の資金調達終了後に米国およびアジア太平洋地域へと拡大する予定だ。スタートアップは米国時間10月21日、3000万ドル(約31億4000万円)のシリーズC調達を行い、さらに1000万ドル(約10億5000万円)の借入を行ったことを発表した。

このラウンドは、Viola Venturesによって主導され、新規の投資家としてLg Tech Ventures、La Maison、MizMaa Ventures、Kreos Capital、および既存の投資家としてMagma、Naver Corporation、Commerce Ventures、Storm Ventures、Axess Ventures、Remagine Media VenturesおよびKDS Media Fundが参加した。Syteの最後の資金調達ラウンド、2150万ドル(約22億5000万円)のシリーズBが公表されたのは2019年のことだ。スタートアップはこれまでに合計で、7100万ドル(約74億2000万円)を調達している。

洋服のビジュアル検索に焦点を当てて2015年に立ち上げられた(未訳記事)Syteの技術は、今ではジュエリーや家の装飾のような他の品目をカバーし、Farfetch、Fashion Nova、Castorama(キャストラマ)、Signet Jewelers(シグネット・ジュエラーズ)などのブランドで使用されている。Syteによれば、そのソリューションを使うことでコンバージョンが平均177%上昇するという。

同社のプラットフォームは3つの主要プロダクトで構成されている。1つめのVisual Discovery(ビジュアル・ディスカバリー)は企業にビジュアル検索、レコメンデーションエンジン、そしてディスカバリーボタンを提供する。2つめの「Searchendising」(サーチエンディジング)は検索ならびにレコメンデーション結果を改善するために、ビジュアルAIに基きタグを自動生成する。そして出版社、スマートデバイスメーカー、ソーシャルプラットフォームによって使われる3つめのDiscovery Marketplace(ディスカバリー・マーケットプレイス)はプロダクト広告のリーチを広げる役割を果たす。

Syteは、2020年の初頭に比べて、顧客基盤が38%成長していると述べている。この理由の一部には、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)に伴う移動制限によるeコマーストラフィックの増加も挙げられる。

同社のプレス発表で、CEOで共同創業者のOfer Freyman(オファー・フレイマン)氏は、Syteはパーソナライズされたレコメンデーションを生み出すために、「視覚、テキスト、音声など、私たちの感覚の全範囲にまたがる」プロダクト発見技術の開発または買収に焦点を当てると述べた。

Syteの現在の顧客の多くはヨーロッパ、中東、アフリカにいるため、米国およびアジア太平洋市場でのプレゼンスを高めるためにも新しい資金が使われる。

ますます多くのソーシャルメディアプラットフォームや、Amazon(アマゾン)、Target(ターゲット)、IKEA(イケア)、Walmart(ウォルマート)、eBay(イーベイ)、Snap(スナップ)、Pinterest(ピンタレスト)などのeコマースプラットフォームは、ユーザーにキーワード検索の代替手段を提供するために、ビジュアル検索ならびに認識技術を利用している。検索プロセスを簡素化したり、タグを自動的に生成したりすることで、ビジュアル認識技術は検索結果や製品レコメンデーションを改善し、より多くのコンバージョンが可能になる。

電子商取引のためのAIベースのビジュアル認識と検索技術に取り組んでいる企業は他にもある。ベンチャーキャピタルの資金を調達している、同じ分野の他のスタートアップには、Donde Search(ドンデサーチ)、ViSenze(ビセンゼ)、Slyce(スライス)などがある。

Syteのマーケティング担当副社長にGal Fontyn(ギャル・フォンティン)氏はTechCrunchに対して、同社の技術は、以前CERN(欧州核研究機関)で物理学者として働いていた、共同創業者で最高技術責任者のHelge Voss(ヘルガ・ボス)氏によって開発されたビジュアルAIアルゴリズムによって差別化されているのだと語った。

ボス氏のニューラルネットワークと機械学習のバックグラウンドによって、Syteは1秒未満で95%以上の精度のオブジェクトマッチング結果を生成できる、ビジュアル検索ソリューションを構築することができたのだとフォンティン氏はいう。そのアルゴリズムは、世界中のベンダーの何百万もの製品についても訓練されていて、それをSyteは「最大の特定業界向け辞書」だと主張している。これにより、画像内の複数のオブジェクトを認識し、詳細なタグを割り当てることができるのだ。

Syteを使用するブランドは、ROIの平均として423%の増加を見ている、とフォンティン氏は付け加えた。

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(翻訳:sako)

投稿者:

TechCrunch Japan

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