オックスフォード大学の物理学科の科学者たちが、SARS-CoV-2を高精度で検出できる新しいタイプの新型コロナウイルス試験法を開発した。患者から採取した検体から直接検査し、機械学習ベースのアプローチを用いて、試験供給の限界を回避に役立つ可能性がある。またこの検査は、抗体やウイルスの存在の兆候ではなく、実際のウイルス粒子を検出する場合にも利点がある。これらの兆候は必ずしも、活動的な感染性のある症状と相関しない。
オックスフォードの研究者たちが作り出した試験はまた、スピードの点でも大きな利点があり、検体の前処理を必要とせず5分以内に結果を出すことができる。これは、現在の新型コロナウイルスパンデミックに対処するためだけでなく、将来の世界的なウイルス感染の可能性に対処するためにも必要不可欠なものであり、大量検査を可能にする技術のひとつになり得ることを意味している。オックスフォード大学の手法は、多くのウイルスの脅威を検出するために比較的簡単に構成することができるため、実際にはそのためにも十分に設計されている。
これを可能にした技術は、採取したサンプルに含まれるウイルス粒子を、マーカーとなる短い蛍光色のDNA鎖で標識づけすることで実現している。顕微鏡でサンプルとラベル付けされたウイルスを画像化した後、チームが開発したアルゴリズム解析を用いて機械学習ソフトウェアが自動的にウイルスを識別し、物理的な表面構造、大きさ、個々の化学組成の違いにより、それぞれのウイルスが発する蛍光光の違いを利用してウイルスを識別する。
研究者らによると、この技術は検体収集装置、顕微鏡画像、蛍光体挿入ツール、コンピューターシステムを含めて、企業や音楽ホール、空港など、あらゆる場所で使用できるほど小型化できるという。現在の焦点は、すべてのコンポーネントを統合したデバイスの商業化を目的としたスピンアウト会社を設立することだ。
研究者は、起業し来年初めまでの製品開発をスタートを目指している。デバイスの実用認可と流通の整備にその後約半年かかるだろう。新しい診断デバイスの開発としてはタイトなスケジュールだが、パンデミックに直面してすでにスケジュールは変更されており、新型コロナウイルスは近い将来に消え去るとは考えづらいため今後続けられるだろう。
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カテゴリー:ヘルステック
タグ:オックスフォード大学、新型コロナウイルス、機械学習
画像クレジット:オックスフォード大学
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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa)