マイクロサービスオーケストレーションプラットフォームのTemporalが19.8億円を調達

オープンソースのステートフルなマイクロサービスオーケストレーションプラットフォームを開発している、シアトル拠点のスタートアップTemporal(テンポラル)が、米国時間10月15日、Sequoia Capitalが主導するシリーズAラウンドで1875万ドル(約19億8000万円)を調達したことを発表した。既存の投資家であるAddition VenturesとAmplify Partnersも、新しい投資家であるMadrona Venture Groupとともに参加した。これにより、同社のこれまでの調達額は、総額2550万ドル(約26億9000万円)となった。

Temporalは、オープンソースのCadence(ケイデンス)オーケストレーションエンジン(GitHubレポジトリ)をUber在籍当時に開発したMaxim Fateev(マキシム・ファティーフ)CEOとSamar Abbas(サマール・アッバス)CTOによって設立された。その狙いは開発者とオペレーターが、本番環境でのマイクロサービス実行をより簡単に行えるようにすることだ。現在のユーザーには、Box(ボックス)やSnap(スナップ)などが含まれている。

TemporalのファティーフCEOは「マイクロサービス以前は、アプリケーションのコーディングははるかに単純でした」と私に語った。「リソースは常に同じ場所、つまり単一のDBとともに一枚岩のサーバー上に配置されていました。つまり、開発者は何がどこにあるかについての多くの推測コードを書く必要はありませんでした。ところが、マイクロサービスは、高度に分散されているため、開発者は物理的に異なる場所にある多数のサーバーの間での変更をまとめる必要があります」。

そうしたサーバーは、常にダウンする可能性があり、エンジニアはこれらのサービスを呼び出すための個別の信頼性コードの開発に、多くの時間を費やすことが多い。ファティーフ氏が主張するように、それは必要なことではあるものの、それ自身が開発者に真のビジネス価値を生み出させる役に立つことはない。Temporalは、そうした開発者たちに対して、同社が「信頼性プリミティブ」と呼ぶ、こうしたユースケースを扱うための基本的な仕掛けを提供する。「つまり、この仕かけを使うことは、開発者はビジネスを差別化するためのコードを書くことにはるかに多くの時間を費やし、自分自身で開発するよりも信頼性の高いアプリケーションを作成できるようになることを意味するのです」とファティーフ氏は語る。

Temporalがターゲットにするのは、マイクロサービスを使用し、そしてそれらの信頼性を確保したい、ほぼすべての開発者である。このため、システムを管理および監視する読み取り専用のウェブベースのユーザーインターフェイスを同社は提供してはいるが、それはここでは主な焦点ではない。同社はまたノーコード/ローコードのワークフロービルダーを作成する計画もない、とファティーフ氏は私にいう。とはいえ、それはオープンソースであるため、かなりの数のTemporalユーザーがその上に独自のソリューションを構築している。

同社自身は、クラウドベースのTemporal-as-a-Serviceの提供をまもなく開始する予定だ。興味深いことに、ファティーフ氏は私に対して、チームは近い将来の企業向けのサポートやライセンスの提供は検討していないと語った。「長い時間をかけて考えた結果、オープンソースコミュニティとビジネスの長期的な成長のためには、ホストベースの提供が最適だという結論に達しました」と彼はいう。

当然のことながら、同社は新しい資金を使って既存のツールを改善し、クラウドサービスを開発する予定であり、2021年には一般提供を開始する予定だ。同時に、チームはオープンソースのルーツに忠実であり、イベントを開催してより多くのリソースをコミュニティに提供することを計画している。

「Temporalを使用することで、Snapchatは複雑な状態管理インフラストラクチャを必要とすることなく、堅牢な非同期APIシステムのビジネスロジックの開発に集中できます」と語るのは SnapのテクニカルリードでありスタッフソフトウェアエンジニアであるSteven Sun(スティーブン・サン)氏だ。「これによって、Snapchatコミュニティ向けのサービスをローンチする効率が向上しました」。

関連記事:ウェブサイト構築にマイクロサービスを導入したNetlifyが約57億円調達

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Temporal

画像クレジット:Artur / Getty Images

原文へ
(翻訳:sako)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。