AIでレストランの電話注文を受けるKeaが10.5億円調達

Keaはレストランが注文を受ける昔ながらの方法を変えようとしている新しいスタートアップだ。その昔ながらの方法とは、電話だ。

Keaは米国時間11月20日、シリーズAで1000万ドル(約10億4500万円)を調達したと発表した。このラウンドはMarbruckが主導し、Streamlined Ventures、Xfund、Heartland Ventures、DEEPCORE、Barrel Ventures、AVG Fundsが参加した。エンジェル投資家で、Lyftの最高戦略責任者であるRaj Kapoor(ラージ・カプール)氏、Panera Breadの創業メンバーの1人であるCraig Flom(クレイグ・フロム)氏、WingstopのフランチャイジーであるTony Lam(トニー・ラム)氏、 Five GuysのフランチャイジーであるJonathan Kelly(ジョナサン・ケリー)氏も参加した。

Keaの創業者でCEOのAdam Ahmad(アダム・アフマド)氏は、レストランは常に人手不足で電話応対に割ける人員はいないと語る(その結果、おそらく多くの人がレストランに電話をかけたらすぐに保留にされてしまった経験があるだろう)。

同時にアフマド氏は、特に新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大により多くのレストランにとってテイクアウトやデリバリーが最大の収入源になっている現状では、電話はいまも重要な注文手段であるとも指摘する。New YorkerのHelen Rosner(ヘレン・ロズナー)氏は、レストランを応援したいと思うなら「面倒でもレストランに直接電話をかけよう」と端的に提案している(New Yorker記事)。

同様にアフマド氏も、レストランがすべての注文に対して他社に多額の手数料を支払うのは「長く継続できる戦略ではない」と語る。そこでKeaは、レストランが電話でもっと多くの注文をさばけるようにするテクノロジーを提供する。アフマド氏が「バーチャルキャッシャー」と呼ぶように、最初に顧客に対応し、注文のルーティンを処理し、必要な時には従業員が対応にあたるというものだ。

自動音声アシスタントと聞くと、銀行などのカスタマーサービス部門に電話をかけた不快な記憶が蘇るかもしれない。しかしアフマド氏は、既存の電話システムは「スマートではない」がKeaのAIはそれとはまったく違う、なぜならレストランの注文に特化しているからだ、という。

「我々は極めて狭い分野に取り組んでいます。ピザであれば、順列組み合わせはたかだか数千です。我々は辞書全体を開発するわけではありません。限定的なモデル、特定のメニューを開発するだけです」と同氏は語る。

筆者はKeaからシステムを試用する電話番号を教えてもらった。プロセスはわかりやすく簡単で、住所と注文したいピザを話すだけだった。そして繰り返しになるが、いつでも従業員に電話に出てもらうことができる(実は試している間にうっかり従業員に転送されてしまい、あわてて電話を切るはめになった)。

Papa John’s、Donatos、Primanti Brothersなど250以上のレストランでKeaがすでに稼働している。Keaによれば、導入したレストランでは週あたり平均10時間分の仕事が減り、注文数は平均で23%増えたという。今回調達した資金で、2021年中に米国の37州、1,000カ所のレストランへの導入を目指す。

カテゴリー:人工知能・AI
タグ:Kea資金調達

画像クレジット:Fernando Trabanco Fotografía / Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)

投稿者:

TechCrunch Japan

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