AmazonのFire TVが「ライブ」のチャンネル拡大とAlexa対応を発表

Amazon(アマゾン)は、そのFire TVプラットフォームに無料で視聴可能なストリーミングやライブコンテンツをより重視した新たな展開を開始する。同社は米国時間3月3日、Fire TVの「ライブ」カテゴリに、XUMOや同社傘下のIMDb TV、そしてAmzonニュースアプリなど、いくつかの新しいサービスを統合すると発表した。また、近日中にPlexも追加される予定だという。

Amazonによると、これら4つのサービスはすべて広告付きで無料で利用でき、サブスクリプションを必要としないという。これらのチャンネルとそのコンテンツは、Fire TVの「ライブ」タブにある「On Now」の列に表示される他、Fire TVアプリの「Universal Channel Guide(ユニバーサルチャンネルガイド)」にも表示される。

今回の追加により、20のプロバイダからライブストリーミングされる400以上のチャンネルが、Fire TVのライブチャンネルガイドで見られるようになったとAmazonは述べている。これらのサービスには、YouTube TV、Sling TV、Tubi、Pluto TV、Philo、Prime Video Channels、Prime Video Live Events(Thursday Night Footballなど)などが含まれる。

Amazonはまた、それらのチャンネルのうち200以上が広告付きで無料で視聴でき、サブスクリプションが必要ないことも強調している。

無料のライブストリーミングコンテンツは、米国ではストリーミングメディアプラットフォームの上位2社であるAmazonとRoku(ロク)が競い合う場となっているが、フォーマットにおいて両社のアプローチはそれぞれ異なる。

Amazonの無料ライブコンテンツを紹介するセクションは、Fire TV全体のインターフェースの一部となっており、それぞれ別のチャンネルを起ち上げなくても一覧を見ることができる。これは、Fire TV全体が1つのストリーミングサービスのように感じられるというAmazonのデザイン哲学を物語っている。

「私たちは、Fire TVをデザインする際に、常にコンテンツフォワードのアプローチをとってきました。テレビの電源を入れると、アプリが並んでいるのではなく、番組や映画、スポーツなどのコンテンツが表示されます」と、Amazon Fire TVのVP兼GMであるSandeep Gupta(サンディープ・グプタ)氏は述べている。「この哲学は、ライブコンテンツへのアプローチにも及んでいます。私たちはライブTVに多額の投資を続けており、コンテンツパートナーも同様です。今回は、新たなサービス統合やAlexa(アレクサ)対応、強化されたコンテンツ発見メカニズムを加えることで、それをさらに拡大します」と、同氏は続けた。

一方で、Rokuは「The Roku Channel」と呼ばれる常時無料の映画やテレビ番組を配信する独自のハブを提供しており、従来の有料テレビを見捨てた後に観るものを探しているコードカッター(ケーブルテレビの契約を打ち切る消費者)が最初に利用する出発点としての機能を果たしている。しかし、Fire TVとは異なり、Rokuのインターフェイスデザインは、実際には「アプリが並んでいる」だけだ。だが、このシンプルにまとまっていてごちゃごちゃしていないインターフェイスを、使いやすいと好む人も多い。The Roku Channelは単独のアプリとして起動し、Rokuのインターフェースに統合されているわけではない。

またRokuは、The Roku Channelを他の無料ストリーミングサービスと同様、ウェブサイトやスタンドアロンのモバイルアプリとしても提供している。先週、同社はより多くの消費者にリーチするために、The Roku Channelの無料コンテンツのほとんどを、メインのRoku.comのウェブサイトに統合した。

Fire TVも独自のアプリを提供しているが、こちらはライブコンテンツに限定されており、オンデマンドの広告付き番組や映画は観ることができない。

Amazonは今回、ライブTVの新たな統合に加えて、ライブTVのプログラムがAlexa対応になることも発表した。

つまり「アレクサ、『グッド・モーニング・アメリカ』を映して」とか「アレクサ、シーホークスの試合を映して」というように、特定の番組名をいうと観ることができるようになったということだ。これは、Fire TV CubeのAlexa Voice Remoteや、Echo(エコー)デバイスとペアリングされたFire TVで動作する。

ライブTVの番組は、新たにアップデートされたFire TVインターフェースの「App Peak」(ホバー)機能にも表示される。この機能は、メインナビゲーションでチャンネルにカーソルを合わせると、そのチャンネルで何が放映されているかを表示するもので、当面の間はFire TV Stick(第3世代)とFire TV Stick Liteで動作する。

ライブTVの統合や拡大によって(新型コロナウイルス感染流行の影響で人々が自宅でエンターテインメント楽しむようになったことはいうに及ばず)、Fire TVによるライブストリーミングアプリの利用は、過去12カ月間で2倍を超える130%以上も増加したという。

Amazonによると、今回発表された新機能は、米国では同日よりFire TVに展開が始まっているという。

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画像クレジット:Amazon

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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TechCrunch Japan

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