Amazon(アマゾン)は米国時間11月12日、10人以上のインフルエンサーやその他の業者を含む厄介者に対して訴訟を起こしたことを発表した(Amazonリリース)。彼らは、高級ブランド品の偽物をTikTok(ティックトック)やInstagram(インスタグラム)などのソーシャルメディアサイトと個人のウェブサイトに陳列し、アマゾンの出品者用アカウントを使って販売処理を行うという方法で、アマゾンの詐欺防止策を迂回していた。
訴訟では、被告のKelly Fitzpatrick(ケリー・フィッツパトリック)氏とSabrina Kelly-Krejci(サブリナ・ケリー=クレイチ)氏は販売業者と共謀して詐欺行為を働いたとされている。彼女らは、アマゾンに表示される平凡なノーブランド品と偽高級ブランド品の写真を並べて投稿していた。そこには「これを注文」「これが買える」と書かれている。
アマゾンで嘘の商品として示されるノーブランド品の写真の横には「Order This(これを注文)」とあり、実際に客が受け取る偽ブランド品の写真の横に「Get This(これが買える)」とある。
アマゾンのサイトには平凡なノーブランド品の写真だけを提示し、別のソーシャルメディアやウェブサイトで偽ブランド品の宣伝を行うことで、被告と販売業者はアマゾンの詐欺防止対策を回避しうようとしていた。また、Instagram、TikTok、個人サイトなどで動画を使ってその偽ブランド品の品質の高さを示し、アマゾンや、DHgate(ディーエイチゲート)などのその他の電子商取引サイトに客を誘導して、そこで取引を行っていた。
驚くべきことに、フィッツパトリック氏は、偽ブランド品の販売を行っていた最中もアマゾンのインフルエンサープログラムのメンバーだった。2019年11月23日から2020年3月6日まで、彼女はKellyfitz02-20というユーザー名でこのプログラムに参加していた。アマゾンは詐欺行為を発見するや彼女をプログラムから追放し、彼女のアソシエイトアカウントを停止した。
その後も彼女は、新しいアソシエイトアカウントを開設して、ソーシャルメディア上で偽ブランド品の宣伝を継続。フォロワーを彼女自身のウェブサイトや別の電子商取引サイトに誘導し、販売を行っていた。
Instagramはフィッツパトリック氏の以前のアカウントを停止したが、停止されるごとに彼女は新しいアカウントを開設している。
現在、フィッツパトリック氏はInstagramアカウントを非公開にしているが、彼女のウェブサイトはまだ存在しており、偽高級ブランド品が買えるアマゾンの「秘密のリンク」が示されている。
同じようにケリー=クレイチ氏も、自身のウェブサイトでコピー商品が買えるアマゾンへの「秘密のリンク」を示していた。ある動画の中で彼女は、「秘密のリンクで注文するのは怪しい感じがするだろうけど、ここなら素晴らしいものが手に入る」と話している。
この訴訟によれば、被告たちは2019年11月ごろから訴状が提出されるまで、この手法で不正行為を行っていたと主張する。
アマゾンが依頼した調査人たちは、問題のリンクを通じて注文を行うと、宣伝されていた偽ブランド品が入手できることを確認した。裁判所に提出された資料には、その品物のサンプルが数点示されている。これには財布、パース、サングラスなど、Gucci(グッチ)やDior(ディオール)のデザイナーもののコピー商品が含まれていた。
今回提訴された被告の中には、彼女たちの他に、コピー商品の調達に関わった中国の企業や販売業者も含まれていた。一部の事例では、アマゾンに対して偽名、偽の連絡先、架空の企業名を使って自身の正体と所在を何段階にも隠している業者もあったとアマゾンは話している。
この数年間、アマゾンは同オンラインストアの消費者からの信頼を傷つけるものと認識して、偽造品には強い態度で臨んできた。2017年、同社は「アマゾンブランド登録」を立ち上げ、ブランドオーナーに、違反商品の特定と通報を積極的に行うツールの提供を開始した。その翌年、商品のシリアル化サービス「Transparency」(トランスパレンシー、透明化)を開始し、登録された商品の偽造品の排除に協力している。
そして2019年、アマゾンはセルフサービスの偽造品削除ツール「Project Zero」(プロジェクトゼロ)の提供を開始した。アマゾンに出品された偽造品をブランドオーナーが即座に削除できるというものだ。現在、1万件以上のブランドが登録している。
またアマゾンでは、偽造品訴訟の件数も増やしている。偽造品の商売に手を出さないよう人々に思いとどまらせるのが狙いだ。
今回の訴訟では、被告たちによるアマゾンでの広告、宣伝、販売の禁止、アマゾンのベンダー、セラー、アソシエイトの各アカウント開設の禁止、偽造品業者の支援と幇助の禁止、損害賠償、弁護士費用、その他の保全を求めている。
カテゴリー:ネットサービス
タグ:Amazon、ネットショッピング、詐欺
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(翻訳:金井哲夫)