新しく発表された新しいiPhone 7でAppleはほとんど140年間続いたテクノロジーに別れを告げた。このテクノロジーは十分に役立ってくれたが、Appleはすでに役割を果たし終えたと結論したようだ。その後継者はBluetoothとLightningケーブルだ。
といってもAppleはレトロなテクノロジーを完全に捨て去る勇気はなかったとみえ、出荷されるiPhone 7にはヘッドフォン・ジャック用のドングルが同梱される。フィル・シラーは「〔これにより〕旧来のアナログ・デバイスも接続できる」と強調した。
ジャックは巧妙なデザインだった
3.5mmジャック(ミニジャック、ヘッドフォン・ジャック、TRSジャックとして知られる)は4分の1インチ・ジャックの子孫だ。ジャックという接続テクノロジーは1870年頃、巨大なスイッチボードで通話を接続していた電話交換手の仕事をやりやすくするために発明された。シンプルなデザインながら確実な接続を実現できることが証明され、時の試練に耐えて今日まできた。
毎日使われている140年前のテクノロジーというのは珍しい。
ジャックの先端のすぐ下に設けられた凹みでジャックはソケットに固定される。簡単に外れないと同時に繰り返しの抜き差しに耐える。この4分の1インチ〔標準〕ジャックも現役だ。オーディオマニアやギタリスト、ベーシストにはお馴染みだろう。高級マイクをアンプに接続するのにも用いられている。
この発明は画期的だった。完全に円筒形であるため、どの角度であろうと問題なく挿せる。普通のUSBプラグだと特定の角度でしか正しく挿せないことにお気づきだろう。ジャックが採用されたおかげで電話交換手はいちいちスイッチボードのプラグを見ずにジャックを抜き差しできた。
1960年代になると、標準ジャックと同じデザインで直径が3.5mmのミニ・ジャックが開発された。 大型の標準ジャックほどの強度はなかったが、トランジスター時代に適合し、可搬性が高くなっていた。やがてオーディオ・テクノロジーの発達にともない、ジャックはステレオ接続が必要になった。メーカーはコネクター部分にもうひとつリングを追加することでこれを可能にした。これが今日われわれがTRRS〔ステレオミニジャック〕とよぶ堅牢なシステムで、今日まで使われ続けることになった。
TechCrunchの読者2500人の意見が参考になるのであれば、過半数(55%)はヘッドフォン・ジャックのポートがなくてもiPhoneを買いたいと考えている。しかし45%は「それならいらない」という意見だ。
時代は新テクノロジーへ
しかし、時代は進歩する。新テクノロジーの普及も大きく進んだ。Bluetooth接続のヘッドフォンは市場に広く出回っている。ヘッドフォンだけでなく数多くのアクセサリーがBluetoothやApple独自のLightningケーブルで接続される。Appleは時代おくれになったとみなしたテクノロジーを思い切りよく切り捨ててきた。これは古いポートが場所を塞ぎ、デザインと利用法を煩雑化することを防いできた。たとえば現在のMacbookシリーズにはたった2つのポートしかない。USB-Cとd…何を隠そう、ヘッドフォン・ジャックだ。
一部のユーザー(読者かもしれない)は、ヘッドフォン・ジャックがなくなることによって被害を受けるかもしれない。たとえば私の例でいば、最近かなり高価かつ優秀な有線接続のヘッドフォンを買ってしまった。そういう個人的な事情を別にしても、多くのスタートアップがスマートフォンでミニジャックが利用できることを前提にデバイスを開発、販売している。
残念ながらミニジャックの時代は去っていくらしい。親愛なるミニジャック。われわれはきみのことを忘れない。きみはいい仕事をした。
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)