ArmがHPCやデータセンター、エッジ向けの最新チップデザインを披露

米国時間4月27日、Armは2つの新しいプラットフォーム「Arm Neoverse V1」と「Neoverse N2」のローンチと、それらの新しいメッシュ相互接続を発表した。その名前からもわかりのようにV1は完全な新製品で、Armのこれまでのデータセンター用の意欲的な製品の中ではおそらく最良のものであり、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)と機械学習の分野を狙っている。N2はArmの次世代汎用コンピュートプラットフォームで、そのユースケースはハイパースケールクラウドやSmartNICs、そしてエッジのワークロードなどとなる。それはまた、同社の新しいアーキテクチャArmv9に基づく最初の設計でもある。

少し前まではハイパフォーマンスコンピューティングは少数の企業によって独占されていたが、最近ではArmのエコシステムがかなりのシェアを獲得しており、韓国、インド、フランスのスーパーコンピュータがそれに賭けている。V1で約束されているのは、古いN1プラットフォームを大幅に超える性能を発揮することで、例えば、浮動小数点演算性能が2倍、機械学習性能が4倍向上する。

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Armのインフラストラクチャ事業担当上級副社長Chris Bergey(クリス・バージー)氏は「V1は私たちがどこまで行けるかという究極の限界を示すもので、いわば目標でした」と述べている。バージー氏によると、V1はArmのこれまでで最もワイドなアーキテクチャだ。つまり、V1はHPC市場を特に意識した製品ではないが、ターゲットの1つであることは間違いない。そして現在のNeoverse V1プラットフォームは新しいArmv9アーキテクチャをベースにしていないが、次の世代ではそうなるという。

一方、N2は1ワットあたりの最大のパフォーマンスを目指している、とバージー氏は強調する。「目指すエネルギー消費効率では明らかにN1の一族だが、性能ではN1より上になる」という。Arm自身によるテストでは、NGPNXは前世代機の1.3倍の性能アップを示したという。

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多くの点で今日のリリースは、Armが最近の顧客の勝利を強調する良い機会だ。AWSのGraviton2プロセッサーは、当然のように好調だ。しかしOracleはまた、同社のクラウドインフラストラクチャに関しては、AmpereのArmベースのCPU、Altraに賭けている。

Oracle Cloud Infrastructure Computeの上級副社長であるBev Crair(ベブ・クレア)氏は、次のように述べている。「Armはエッジからクラウドまで、どこにでもあるものだと考えている。私たちが見てきたのは、N1ベースのプロセッサーが堅実なパフォーマンスとスケーラビリティと、顧客がクラウドインフラストラクチャに求めるセキュリティを提供し続けたことだ。Ampere Computingと上位のISVたちとのパートナーシップによりOracleは、Armのサーバーサイドの開発を、コスト効率が良くて使いやすい第一級のソリューションにしている」。

またAlibaba CloudやTencentも、そのクラウドサービスでArmベースのハードウェアに投資しており、さらにMarvellはNeoverse V2のアーキテクチャを同社のネットワーキングソリューションOCTEONに利用する気だ。

カテゴリー:ハードウェア
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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hiroshi Iwatani)

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TechCrunch Japan

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