Blue Apron、上場初日は空振り――IPO価格からほぼ動かず

Blue Apronの株主は今頃泣いているかもしれない。もちろんこれは、彼らの商品に含まれる玉ねぎのせいではない。

会員制の食材宅配サービスを提供しているBlue Apronは、1株あたり10ドルをかろうじて上回った(四捨五入すると10.01ドル)あたりで初日(現地時間6月29日)の取引を終えた。これは、当初IPO価格を15〜17ドルに設定しようとしていた同社だけでなく、10ドルのIPO価格でBlue Apron株を購入した株主にとっても大変残念な結果だ。

市場に良いイメージを与えるため、新規上場企業は取引初日に少なくとも20%程度の値上がりを狙う場合が多い。その一方で、Blue ApronはIPO価格を引き下げた上、取引初日の結果も思わしくなかったため、今後が心配される。

さらに現在の時価総額は20億ドルを少し下回っており、上場前最後の投資ラウンドで20億ドルのバリュエーションをつけた投資家はさぞ落ち込んでいることだろう。ベンチャー投資家にとって、ブレイクイーブンは失敗と同じだ。というのも、彼らは一握りの投資先の大規模なエグジットから得た収益で、その他の企業のマイナス分をカバーしているのだ。

レーターステージで株主になった投資家の中には、ラチェット条項と呼ばれるもので保護されている人たちもいる。レーターステージの投資でよく見かけるこの条項では、エグジットの際のリターンに関して最低額が保証されており、ときには他の投資家がその影響を受けることさえある。IPOに特化した調査会社のRenaissance Capitalは「Fidelityの投資の一部には、IPO価格から7.5%割り引いた金額でラチェット条項が設定されている」とツイートに残している。

逆にBessemer Venture PartnersやFirst Round Capitalは、Blue Apronの株価が数セントくらいの頃に投資していたため、IPOでかなりのリターンを得ることができた。

Bessemer Venture PartnersのパートナーであるBob Goodmanは、CEOのMatt SlazbergがいるからこそBlue Apronのことを信じていると話す。Goodmanは「市場で生き残れるビジネスをつくるためなら努力を惜しまない彼の姿勢には驚かされました」と話し、さらにBlue Apronのチームは「食品の無駄や、高品質な食材へのアクセスといった実在する問題に取り組んできました」と付け加えた。ちなみに、SalzbergはかつてBessemer Venture Partnersでアソシエイトとして働いていた。

しかし、Blue Apron以外にも食材宅配サービスを提供している企業はたくさんあり、中でもSun BasketやPlated、HelloFreshは着実にトラクションを伸ばしている。投資家の中には、AmazonによるWhole Foods買収の影響がBlue Apronにも及ぶのではと心配している人もいる。Amazonは食材宅配に関しては何も発表していないが、少なくとも生鮮食料品の配送サービスには手をだしてくるだろう。

また、IPOに際して公開されたBlue Apronの数字を見ると、リテンションに問題があることに気付く。売上額はかなりの勢いで伸びており、昨年には8億ドル近い売上を記録したが、彼らのマーケティングの費用対効果はマイナスで、チャーンレートはBlue Apronにとって大きな問題になり得る。

とはいっても、IPOにたどり着けただけでも大きな快挙だというのも事実だ。しかも、ニューヨークに拠点を置くBlue Apronは設立から5年しか経っておらず、IPOを目指すスタートアップとしてはかなり早い段階でエグジットを果たすことができた。

なお、今週はテックIPOにはなかなか不利な週のようで、ストレージサービスのTintriは本日予定していた上場を延期することにした。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

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TechCrunch Japan

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