Dropboxが今日(米国時間6/10)、企業の社員が、ファイアウォールで保護されてる会社のデータに安全にアクセスできるためのサービスMobileSpanを買収した。MobileSpanは2014年の終わりに閉鎖されるが、開発活動はただちに停止される。Dropboxはこれまでの約1年半、同社のDropbox For Businessプロダクトのセキュリティ強化に邁進してきた。MobileSpanのBYOD関連の技術と知識が、その努力の一環として加わることになる。
MobileSpanの4人のチームは全員Dropboxに入るので、これは技術と人材合わせての本格的な買収だ。Dropboxは先週、 DropTalkを買収したばかりだが、それはこのところ同社が、プロダクトの機能充実を内製ではなく企業買収でまかなおうとしているためだ。
2011年にスタートしたMobileSpanはこれまで、True VenturesとK9 Venturesから230万ドルの資金を調達している。ユーザ企業は自分のオンプレミスのWindowsサーバにMobileSpanのゲートウェイをインストールし、社員たちにはアプリ/アプリケーションMobileSpan for iOSやMobileSpan for Windows desktopを配布する。そしてIT部門が承認を与えた社員は、サーバ上の、仕事に必要な一定の文書やフォルダ、アプリケーションなどにアクセスできるようになる。
これはユーザのデバイスを遮断するのではなくむしろ安全な接続を与えよう、という考え方なので、よりシンプルなBYODを実施できる。とはいえ、社員たちが個人的に使っているデバイスはいまどきものすごく多様化しているので、MobileSpanのようなやり方も対応の拡大が難しい。しかしここにDropboxというクラウド上の統一的なインタフェイスとリソースが現れると、デバイス多様化へのMobileSpanの対応という難題の解決が一挙に楽になる。多様なオペレーティングシステムに対するアプリ/アプリケーションの開発も、比較的短い期間でできるようになる。社員は、自分がどんなデバイスを使っていても、会社のファイルを見られるようになる。
買収を発表する声明文の中でMobileSpanはこう書いている:
“…ビジネスコンテンツがデスクトップ中心型のルーツから解放され、現代的なモバイルデバイスの上でセキュアな可用性をもつためには、まだまだやるべきことがいろいろある。このたびのDropboxとの合体もその一つであり、それにより、その夢の実現に向けての歩みが一挙に加速されるだろう。
しかしクラウド上の統一的なインタフェイスと統一的なリソースを企業に提供しうるのは、Dropboxだけではない。企業のためのクラウドストレージと、それらへのアクセスによるコラボレーションは、BoxもMicrosoftもGoogleもその他大勢も、虎視眈々とねらっている大きな市場だ。その激しいせめぎあいの中でむしろDropboxは、消費者指向のプロダクトというマイナスイメージを持たれてしまうかもしれない。そのことが、今一挙に大きくなろうとしているDropboxの成長痛だ。たとえばDropboxにはまだ、大企業が一人一人の社員に、アクセスレベルやアクセス許容ファイルを適切に設定しながら交付する、セキュリティやパーミッションの仕組みがない(というか、なかった)。
しかし本誌のエンタプライズ担当ライターRon Millerが先週書いていたように、今同社は、企業間の流行語で“Dropbox問題”と呼ばれている否定的なイメージの払拭と、企業から信頼され尊敬されるソフトウェアプロバイダになるべく努力している。今の企業では、社員たちのほとんどがDropboxの個人アカウントを持ち、彼らの一部が会社の仕事関連のファイルをそこに保存したりして、CIOたちのセキュリティ不安をかきたて、やきもきさせているのだ。
Dropboxのプロダクト/モバイル/企業担当部門の長Ilya Fushmanは、Millerにこう語っている: “結局のところ、CIOたちはぼくに‘Dropboxを怖がってはいない’と言う。ぼくは連中に、‘みんなDropboxが好きなんだ’と言ってやりたい。でも、企業とそんな仲になるためには、まだまだやるべきことがたくさんある”。
MobileSpanを買収したことは、Dropboxを企業が絶対的に求める「鍵付き箱」にすることに、大きく貢献するだろう。
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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))