先月になって突然急に大ブレイクした、広告のないソーシャルネットワークEllo.coが550万ドルのベンチャー資金を調達し、また、同社は今後も(買収された場合でも)広告およびユーザデータを売ることを収入源にしない、という法的制約を自らに課した。
すなわち同社は(会社登記料の安い)デラウェア州でPublic Benefit Corporation(公益法人)としての登記を行った。合衆国の法律では、公益法人の投資者はそれに対して、広告を表示したり、データを売ったり、またこれらの条件に違反するであろう買い手に会社を売ることを要求できない。
ElloのCEO Paul Budnitzによると、彼は今のインターネットが“巨大なビルボード”になってしまっていることに対する批判としてElloを作った。Elloには偽名(芸名など)でアカウントを作ってもよいが、市民としての一般常識に反した会員は破門される。
残念ながら、本誌のSarah Buhrも書いているように(以下に部分引用)、同社は早すぎた成功の犠牲者かもしれない:
[注: Elloへの参加は既存ユーザからの招待のみ。]
ベータだから完璧を期待すべきではないが、このところの招待ユーザ数の急増を見ると、ほとんど一般公開になったのと等しい。これだけの急拡大は、むしろ悲劇だ。提供している機能はなかなかクールだが、どれもまだ完成度が低い。
これだけユーザ数が増えると、検索機能が重要だが、ElloのUIは出来が悪くて、それがなかなか見つからない。やっと見つけても、その検索機能は使い物にならない。たくさんの人を紹介してくれるのだが、“なぜこの人たちを?”という文脈が全然分からない。友だちを(Elloの登録名)で探しても、見つからない。
Alexaのトラフィック統計(概略だが一応の参考にはなる)を見ても、Elloのトラフィックは9月の急増期に比べると落ち込んでいる。
でも9月には1時間に40000という、ものすごい数の招待リクエストだったから、投資家たち(Foundry Group、Techstars Bullet Time Ventures、FreshTracks Capital)もElloを無視できなくなった。
広告のないことが今や法的義務になってしまった同社は、個人化機能などのちょっとしたサービスを有料にすることで売上を得たい、としている。AppleのApp Storeを真似たそのためのオンラインストアを作るそうだ。
Elloに投資しているSeth Levineはブログの記事で、広告を載せないしユーザデータを売らないことを義務化したElloを、今後VCたちがどこまで支援するか、そのあたりが不安だ、と述べている。
それに対し、Budnitzはこう答えている:
弊社はサードパーティの広告やユーザデータの販売に依存しないビジネスを構築していく。Elloの今後のプロダクトや機能の中には、ユーザが喜んでお金を払うものがある、と弊社は信じている。それらの単価は小さくても、数百万の人びとから成るユーザの大きなエコシステムが弊社を支援し、今後の投資を誘いうる経済モデルを提供するだろう。
なお、Elloに投資する投資家は、以下のような、綱領文書(ミッションステートメント)に署名しなければならない。
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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))