どっこいまだ死ななかった!…広告のないソーシャルネットワークElloがiPhoneアプリをローンチ

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Elloをおぼえておられるだろうか? 広告を載せない、を約束しているこのソーシャルネットワークが、明日(米国時間6/18)、iPhoneアプリを出す。ElloのWebサイトのホームページでは、”Coming June 18th”という大きな白抜き文字が点滅している(上図)。

同社は今日(米国時間6/17)、メディアの記者や編集者に(この私にも)謎のような品物を送ってきた。木で作ったパンのようなものと、Tシャツと、iOSアプリの発表声明文が記録されているUSBメモリだ(下図)。

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Elloは2014年の秋に、Facebookに代わるモアベターなSNSとして人気者になった。誰もかれも、招待されて会員になりたいと欲した。同社によると、当時は招待リクエストが毎時3万通以上殺到した。

その後、誰もかれも、Elloのことを忘れた。

協同ファウンダのPaul Budnitzは、声明文の中で、現在のEllo(Web版)のユーザは数百万、と言っているが、ユーザ数の伸び率などの数字は明かされていない。でもこれまで、公益企業として550万ドルの資金を獲得しているから、けっして、短命で終わったわけではない。

Elloはこれまで、その資金を使ってサイトのデザインを一新したり、iOSアプリを作ったり、Androidアプリの準備をしたり、してきた。

でも、‘Facebookに代わる’とうたったわりには、実際の乗り換えはあまり発生していない。今でも、Elloに関する話は主に、Facebook上にポストされている

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[LGBTQのコミュニティサイトにも参加しているが、家族が多いからFacebookはやめられない。]

本誌のTechCrunchのライターJosh Constineは、Facebookに挑戦することはドン・キホーテが風車ではなく厚さがレンガ10億個ぶんの壁と戦うのと同じだ、と言っている。

Facebookから王座を奪おうとトライして失敗したソーシャルネットワークは数多い(Google+もかな?)。高い理想を掲げたElloも、人びとにFacebookを去る動機は与えていない。Facebookの広告がいやなら、それをブロックするソフトがある。

Elloも、ソーシャルネットワークとしての機能は(最初のころはバグもあったが)Facebookなどと同じで、友だちを見つける、人を検索する、リアルタイムのアラート機能、プライベートなメッセージング、プライベートなグループ作り、そしてFacebookのLike(いいね!)に相当するLove。Loveしたポストはストリームにまとめられるから、そのすべてを一望にできる。

Elloのモバイルアプリも広告なしで、アドレスをインポートする機能がある。でも、くどいようだが、全体的な機能もデザインも、そのほかの多くのソーシャルネットワークと大きく変わるものではない。SNSは既成勢力があまりにも巨大だから、一つや二つの差別化要因だけで戦うのは、相当難しい。

〔訳注: Facebookオルタナティブとして本誌上で大きく扱われたDiasporaもまだ生存する。こちらはFacebookの一極集中巨大化に対し、完全な分散化〜分散システムを売りにする。今は、サブシステムが、各ユーザのWebサイトにもぶらさがる形になっているらしい(?)。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Elloが$5.5Mを調達、公益法人として登記し、広告なし+データを売らないを義務化

先月になって突然急に大ブレイクした、広告のないソーシャルネットワークEllo.coが550万ドルのベンチャー資金を調達し、また、同社は今後も(買収された場合でも)広告およびユーザデータを売ることを収入源にしない、という法的制約を自らに課した。

すなわち同社は(会社登記料の安い)デラウェア州でPublic Benefit Corporation(公益法人)としての登記を行った。合衆国の法律では、公益法人の投資者はそれに対して、広告を表示したり、データを売ったり、またこれらの条件に違反するであろう買い手に会社を売ることを要求できない。

ElloのCEO Paul Budnitzによると、彼は今のインターネットが“巨大なビルボード”になってしまっていることに対する批判としてElloを作った。Elloには偽名(芸名など)でアカウントを作ってもよいが、市民としての一般常識に反した会員は破門される。

残念ながら、本誌のSarah Buhrも書いているように(以下に部分引用)、同社は早すぎた成功の犠牲者かもしれない:

[注: Elloへの参加は既存ユーザからの招待のみ。]

ベータだから完璧を期待すべきではないが、このところの招待ユーザ数の急増を見ると、ほとんど一般公開になったのと等しい。これだけの急拡大は、むしろ悲劇だ。提供している機能はなかなかクールだが、どれもまだ完成度が低い。

これだけユーザ数が増えると、検索機能が重要だが、ElloのUIは出来が悪くて、それがなかなか見つからない。やっと見つけても、その検索機能は使い物にならない。たくさんの人を紹介してくれるのだが、“なぜこの人たちを?”という文脈が全然分からない。友だちを(Elloの登録名)で探しても、見つからない。

Alexaのトラフィック統計(概略だが一応の参考にはなる)を見ても、Elloのトラフィックは9月の急増期に比べると落ち込んでいる。

でも9月には1時間に40000という、ものすごい数の招待リクエストだったから、投資家たち(Foundry Group、Techstars Bullet Time Ventures、FreshTracks Capital)もElloを無視できなくなった。

広告のないことが今や法的義務になってしまった同社は、個人化機能などのちょっとしたサービスを有料にすることで売上を得たい、としている。AppleのApp Storeを真似たそのためのオンラインストアを作るそうだ。

Elloに投資しているSeth Levineはブログの記事で、広告を載せないしユーザデータを売らないことを義務化したElloを、今後VCたちがどこまで支援するか、そのあたりが不安だ、と述べている。

それに対し、Budnitzはこう答えている:

弊社はサードパーティの広告やユーザデータの販売に依存しないビジネスを構築していく。Elloの今後のプロダクトや機能の中には、ユーザが喜んでお金を払うものがある、と弊社は信じている。それらの単価は小さくても、数百万の人びとから成るユーザの大きなエコシステムが弊社を支援し、今後の投資を誘いうる経済モデルを提供するだろう。

なお、Elloに投資する投資家は、以下のような、綱領文書(ミッションステートメント)に署名しなければならない。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


広告のない(ユーザデータを利用しない)ソーシャルネットワークElloが突然急成長

Facebookとは逆のビジネスモデル、つまりユーザデータを利用する広告には依存しないで有料機能を収益源にする、と約束する新しいソーシャルネットワークが3月にローンチした。そのElloは、やがてあとかたもなく人びとの忘却の底に沈んでしまったが、昨日(きのう)〜一昨日(おととい)あたりから急にこのサイトが爆発的に賑やかになった。ここは独自の機能など何もない、ごくベーシックなソーシャルネットワークだ。一体、何が起きたのか? それには、いろんな要因がある。

まずそれは、本名と‘ペルソナ’名の両方を持つLGBTユーザに対する、Facebookの厳しい態度だろう。Facebookが、本名でなく芸名で登録しているおかま芸人のアカウントを無効にしてから、ElloにはLGBTのコミュニティが集まるようになった。ミュージシャンも一般に本名ではなく舞台名で世の中に知られているから、Facebookを非難している。

ドラァグクイーンの大スターRu Paulが、この件をツイートしたからか?

誰も真相を知らないが、でも、親ぐらいしか知らない本名ではなく、一種の愛称名で友だちなどに呼ばれている人たちは、この記事を読んだあとに、招待制オンリーのElloに招待されるための方法を、きっとあちこちに尋ね回るだろう。

ElloはTwitterと同じく、本名は要請されない。

ただしこのネットワークはFacebookのような排除の仕組みがないから、誰でも会員になって何でも言える、という欠点(?)がある。プライバシーを厳しく維持することは、不可能だ。ただしElloが最近ユーザに送ったメールによると、今後は悪質なユーザを取り締まるそうだ。

これまで、Diasporaをはじめ、Facebookよりも良いと称するSNSが、いくつも、現れては消えていった。Google+のように、消えないけど低迷しているSNSもある。

Elloは、今後自然に定着していくのだろうか。Diasporaは、たしかにちょっとギークすぎたし、登場のタイミングが早すぎた

今日(米国時間9/25)、Elloの協同ファウンダPaul Budnitzは、今後も“広告なしでポルノOK”を続ける、と述べた。

まともなVCは寄り付かないかもしれないが、それがどうした。人が集まれば、それで十分じゃないか。

kidrobotのファウンダでもあったBudnitzは、Elloの目標は“シンプルでビューティフルで広告のないソーシャルネットワークだ”、と言ってる。

Elloは最初、7名のアーチストとプログラマのグループだけが利用する非公開のネットワークだったが、立ち上げから1年後に改装して、招待制のサイトとして一般公開した。

彼によると、今ではユーザ数が3〜4日ごとに倍増しているそうだ。

Budnitzが言うには、“今われわれが経験している大きなにぎわいの原因は、Elloのシンプルでエレガントなインタフェイスと、広告がないことの魅力だ。広告がないと、ユーザのためだけの機能を自由に設計できる。広告主に気兼ねする必要がない。データも売らないし、ユーザセッションの追跡調査を、ユーザがわざわざオプトアウトしなければやる、なんてこともない”。今後もデザイナーやアーチストやクリエイターを主なターゲットとし、ネイティブのモバイルアプリは“いずれそのうちに”だと(Web中心主義)。

今のところ、将来性についてはなんとも言えないが、短期間にユーザが急増したことは、きっと何かを意味しているのだ。でもFacebookやTwitterと同じ土俵に立とうとしたら、負けは必至だろう。

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[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))