Facebookは今度は、政治的な要求ができる機能を展開する。ニュースフィード上で請願が行えるコミュニティ・アクションと呼ばれる機能を明日開始するにあたって、Facebookは多くの新たな難題に直面するだろう。コミュニティ・アクションは、地元あるいは国レベルの役人や政府機関にリクエストするために近所の人たちを結束させることができるかもしれない。しかしまた、主張をしたいグループの威張った説教者が極端論で政治家や官僚に圧力をかけることになるかもしれない。
コミュニティ・アクションはFacebookが直面している主要な課題を体現している。ポジティブな表現や結びつきのためにデザインされた全てのツールは、対立や誤情報で次第にその力を失うことになるかもしれない。Facebookの会員は、最悪の人間性を伴う利己的な利用の格好のターゲットになってきた。攻撃的で危険ですらあるが、一部の人は合理的と考えている“(マイノリティグループの)弾圧”のような誤使用を思い浮かべることがきるだろう。問題は、Facebookがこの新ツールに適切なポリシーと節度でもってその前後にセーフガードを敷けるかだ。
コミュニティ・アクションは明日、米国で提供が始まり、数週間のテストののち、さらにいくつかのマーケットでも展開される。ユーザーはタイトル、目的、そして画像をコミュニティ・アクションに加え、関連する政府機関や政治家をタグ付けできる。最終目標は、コミュニティ・アクションが口コミで広まり、人々に“サポート”ボタンをクリックさせることにある。コミュニティ・アクションには議論のフィードがあり、そこで人々はコメントしたり、資金を募ったり、FacebookイベントやCall Your Rep(代議士に電話しよう)キャンペーンを組織したりできる。Facebookはコミュニティ・アクションのサポーター数も表示するが、ユーザーは自分と友達の人の名前、ページ、有名人だけを目にすることになる。
Facebookは、無作為要因で暴走している政府の動きにこれまで以上に集中できるよう、意図的にコミュニティ・アクションにフォーカスしようとしている。これは、Facebookが一般的なものから不条理なものまで扱うChange.org請願をすぐには置き換えないことを意味している。しかしニュースフィードから直にできるサポートのクリックは、サインアップという壁を劇的に減らすかもしれず、それゆえに動員する人の数を最大限にしたい団体や個人をひきつける。
コミュニティ・アクションのサンプルをチェックしてほしい。ここでのサンプルは、コロラドの非営利団体Colorado Risingが石油・ガスの採掘停止を政府に要求するものや、市民がフロリダの市長や州の役人に舞台芸術センター建設を求めるもの、フィラデルフィアの町内会が図書館横に横断歩道設置をリクエストするものなどだ。私はコミュニティ・アクションの最初の大きなものの一つは、ソーシャルネットワークユーザーが上院議員にFacebookの閉鎖またはMark Zuckerbergの退陣を求めるものになる、ということを期待している。
今回の機能の導入は、Town Hallや、政治家の資質を扱うCandidate Info、災害後に援助を探すためのCommunity Help、ローカルニュースダイジェストのToday Inに続くものだ。コミュニティ・アクションの初見の画像を我々に提供したFacebookの広報は以下のような声明文を出した。
「見聞の広い、市民参加型のコミュニティの構築はFacebookのミッションの基幹だ。政治家に接触を図ったり、募金を募ったり、グループを形成したりと、人々は懸念を主張するためにFacebookに毎日集う。これらおよび他のツールを使って人々はサポートを獲得し、自身にかかわる問題についての結論を得ている。コミュニティ・アクションはコミュニティの改善を主張したり、政治家や行政当局と共に解決を探ったりするための別の手段となる」。
疑問なのは、Facebookのモデレーターたちがコミュニティ・アクションとして何が適当なのか、どこで線引きをするのかということだ。線引きが引き起こすバイアスがその後に続く。Facebookはこの機能の管理に、要注意ユーザーの監視やプロアクティブなアルゴリズム感知、監視人の配置などの組み合わせで対応する。しかしそれでもハラスメントがあったり、表現の自由を求める声も出てくるかもしれない。もしFacebookが物議をかもすような主張のコミュニティ・アクションを許せば、キャンペーン展開者と共謀したとみなされるかもしれない。しかし、そうした主張を除外したら、検閲だとして批判されるかもしれない。フェイクニュースや人気の話題のように、この新機能はFacebookの「まったく価値のないもの最新版」となる可能性がある。
Facebookは、地域のメンバーが真剣に取り組むローカルのアクションを優先させるつもりだ。ユーザーに“選挙権を有する”というバッジをつけさせ、これによりユーザーの地元選出の代議士は自らが民衆扇動家に近い存在であることを知ることになる。ゆえに、Facebookはコミュニティ・アクションでは大統領ドナルド・トランプや副大統領マイク・ペンスがタグ付けされることがないようにする。しかし、見てお分かりの通り、ヌード・パークの要求に全ての州議会議員をタグ付けするのは自由だ。
別の問題は、人々がいかにコミュニティ・アクションに対して立ち上がれるかということだ。サポートを表明した人だけが議論のフィードに参加できるが、これはコメントでトラブルを煽動するためだけに偽ってサポートを表明することにもつながりかねない。さもなければ、ユーザーはコミュニティ・アクションを自分のフィードで不賛成のメッセージ付きで扱ったり、抗議のアクションを立ち上げたりしなければならなくなる、とFacebookは説明する。私の懸念は、煽動されたニッチなグループがFacebookグループやメッセージスレッドを使って、多くのサポートが集まっているように見せかけるために嘘に近いあいまいな表現を展開することだ。政治家は隅に追いやられ、怠慢だと見られないよう過激論者または不誠実な人物だと認めさせられるかもしれない。
最初のテストではさほどトラブルはなかった、とFacebookの広報は言うが、同社は安全性と効率のバランスを取ろうとしている。そして新たに起こる動きへの対応として、いかに新機能を展開するかを検討する。問題なのは、オープンアクセスには社会を崩壊させる方策を探している輩やペテン師を伴うことだ。Facebookはこのプロダクトの見張りという困難の多い責任を引き受けなければならないだろう。もしこれが成功すれば、市民が政府に民意を示すために結束する素晴らしい機会となる。一人で声高に言うより共に訴える方が状況を打開できる。
(原文へ 翻訳:Mizoguchi)