Facebookがタイ君主制に批判的なページへのアクセス制限強要に法的措置で対抗

Facebook(フェイスブック)はタイの君主制に批判的な内容の投稿を行った人気のグループのページへのアクセスを制限したが、同社は不法なものとしてコンテンツを制限することを強制されたとしてタイ政府に対して法的措置を取る構えだ。

米国時間8月24日にRoyalist Marketplaceへのアクセスがタイ国内で遮断されているとロイターは報じた。Royalist Marketplaceはメンバー100万人超を抱えるが、タイ国内から同グループのFacebookページにアクセスしようとすると、アクセスは「デジタル経済社会相からの要請によりタイ国内では制限されている」とのメッセージが表示される。

TechCrunchに電子メールで送られてきた発表文の中で、フェイスブックの広報担当は「注意深くレビューを行い、当社はタイ政府が不法だと考えているコンテンツへのアクセス制限を強制されたとの結論に至った。今回のような要請は著しい国際人権法侵害であり、表現の自由に萎縮効果を及ぼす。当社は全インターネットユーザーの権利を守るために働いており、今回の要請に対し法的措置を準備している」。

広報担当はまた「今回のような政府の過度な行為は、オフィスの維持や従業員の保護、フェイスブックに頼っている事業者の直接的なサポートを含め、タイにおける当社の投資活動を阻害するものだ」と付け加えた。

Royalist MarketplaceはPavin Chachavalpongpun(パビン・チャチャバルポンプン)氏が2020年4月に立ち上げたグループだ。パビン氏は反体制として日本に亡命し、現在は京都大学の東南アジア研究センターで准教授を務めている。

同氏はロイターに対し、Royalist Marketplaceは「民主化プロセスの一部であり、表現の自由のためのスペースだ。これ(アクセスの制限)を行うことでフェイスブックは権威主義の体制に協力して民主化を阻害し、タイに独裁主義を根づかせている」と語った。

Royalist Marketplaceの地域限定の制限は、バンコクで何千もの抗議者(Yahoo! News記事)が厳格な不敬罪法(BBC NEWS記事)などを含む君主制の改革を要求したことを受けてのものだ。不敬罪では、君主一族の名誉や尊厳を害した者は最高15年の禁固刑を受ける。

パビン氏はタイの君主制を大っぴらに批判してきた。2020年8月初めに国際関係機関のウェブサイトで公開された文書(CFR投稿)の中で、同氏は「何十年もの間、タイの立憲君主制はたびたび憲法規範と規則が定めるもの以上の力を誇示してきた」と書き、現在の国王であるMaha Vajiralongkorn(マハー・ワチラロンコーン)氏が軍部と近しい関係を築いて政治に干渉しているとも指摘した。

2014年にニューヨークタイムズ紙に寄せたオピニオンで、パビン氏は民主的に選ばれたYingluck Shinawatra(インラック・シナワトラ)政権を同年に転覆させた軍事政権によって、自身に対して逮捕状が出ていることを明らかにした。パビン氏はまた、京都にあるアパートで侵入者に襲われた。この事件について同氏は「考えを引き続き表明するという私の立場に対する警告だった」と確信している。

タイユーザーのRoyalist Marketplaceへのアクセス制限の3週間前には、タイのデジタル経済社会相のPuttipong Punnakanta(プティポン・プンナガン)氏が、政府のコンテンツ制限要求に素早く応じていないとしてフェイスブックに対して措置を取ると脅していた(REUTER記事)。

2016年にタイはコンピューター関連犯罪法を制定した。この法律については、人権NGOのヒューマン・ライツ・ウォッチが「言論の自由を制限し、監視や検閲を可能にし、活動家に報復する過度な力を政府に与える」と警告している(Human Rights Watch投稿)。

フェイスブックはまた、同社にとって最大のマーケットであるインドでも厳しい調査の対象となっている。インドで公共政策の責任者を務める同社のAnkhi Das(アンキ・ダス)氏がヘイトスピーチ規則をNarendra Modi(ナレンドラ・モディ)首相率いる党のメンバーに適用することに反対した、とThe Wall Street Journalは報道している。

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(翻訳:Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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