Facebookは独自の仮想通貨であるLibra(リブラ)の2020年発行を目指し、Libraで使えるツールの整備を進めている。TechCrunchが確認したところによると、Facebookがその1つとしてServicefriend(サービスフレンド)を買収した。Servicefriendは顧客サービスチームを支援するボット(人工知能に基づくメッセージアプリのチャットクライアント)を開発するスタートアップだ。
Servicefriendが拠点を置くイスラエルで最初に報じられた。同社の株主の1人であるRoberto Singler(ロバート・シングラー)氏がイスラエルのウェブサイトThe Markerに示した。共同創業者の1人であるIdo Arad(イド・アラド)氏にTechCrunchが接触したところ、同氏がTechCrunchの質問をFacebookに送付した。Facebookは買収を認めたが、Appleがよく使うような詳細を特定できない声明になっている。
「我々は小規模なテクノロジー企業を買収することがある」とFacebookの広報担当者は述べた。
LinkedInを見ると、アラド氏と共同創業者のShahar Ben Ami(シャハール・ベン・アミ)氏、少なくとももう1人を含む数人が、Libra向けのデジタルウォレットを開発するためのFacebookの子会社であるCalibra(カリブラ)デジタルウォレットグループにいるようだ。今月Facebookで働き始めたということは、買収がここ数週間以内にクローズしたということだ。まだ数人がServicefriendに残っているようにみえるが、同様にFacebookに移った可能性がある。
Facebookは買収目的を明らかにしていない。すぐ思いつく領域は、開発中のCalibraデジタルウォレットのカスタマーサービスレイヤー用のボットだが、もっとありそうなのはボットのネットワーク構築だ。
Facebookの狙いは、CalibraでLibraの支払いと受け取りができる一連の金融サービスを構築することだ。連絡先への送金、請求書の支払い、Libraの補充、買い物などが考えられる。
こういったサービスのプロバイダーとしてFacebookは信頼できるのか。「人間」の出番はここにある。顧客がアクセスしやすい環境づくりも欠かせない。
「あなたのために我々はここにいる」とCalibraはウェルカムページで 、WhatsAppとMessengerによるユーザーへの24時間年中無休のサポートを約束している。
ServicefriendはFacebookのプラットフォームに関わってきた。具体的には、Messenger用に「ハイブリッド」ボットを構築した。企業がメッセージングプラットフォームでサービスを提供する際に、ボットが人間のチームを補完し、企業がサービスを拡大しやすくする。ServicefriendがフィリピンのGlobe Telecom向けに開発したMessengerボットでは、人間が使う時間を顧客とのセッション1000回あたり20時間未満に短縮した。
ボットはFacebookにとって比較的問題の多い分野だ。2015年にMというパーソナルアシスタントサービスを開始し、2016年にはMessengerでユーザーがサービスプロバイダーと話せるボットを大々的に発表した。フタを開けてみると何も約束通りに機能せず、今までで一番ひどいサービスもあった。
AlexaなどのAIベースのアシスタントは、コンピューターが会話を通じて人間に情報提供する方法として定着した。一方ボットは完全に人間に取って代わるのではなく、人間を補完するサービスとするほうが機能するというのが最近の見方だ。
Facebookの場合、Calibraのカスタマーサービスをよいものにすれば、信頼を得るだけでなく強固なものにできるはずだ(編集部注:Servicefriendが開発を進めるもう1つの分野は、カスタマーサービスをマーケティングチャネルとするサービス)。よいサービスにできなければ、顧客だけでなくLibraのパートナーや、場合によっては規制当局との間で問題が発生する可能性がある。
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(翻訳:Mizoguchi)