Facebookはこのほど@facebook.comのメールアドレスを無効にしたが、でもその、今や使えないアドレスは、世界中でiOSのアドレス帳(コンタクト)に載っている。ご存知のようにiOS6とそのFacebookコンタクトシンク機能が登場する直前に、Facebookは誰もが友だちと共有しているユーザの本当のアドレスを強制的に隠した。そこでiOS 6がシンクするのも、残された@facebook.comのアドレスだけになってしまった。
2012年6月のそのときにぼくはこれをナンセンスな愚行と呼び、Facebookがユーザの許可を得ずに行ったアドレスの可視性の変更を元に戻すよう求めた。ユーザが自分の意思で@facebook.comのアドレスを共有することを選び、メールが自分のFacebook MessagesのInboxへ行くのならよろしい。しかしFacebookがユーザとメールアドレスを争いたいのなら、それをユーザを無視して強権的に行うのは許されない。
ユーザのメールアドレスに競合他社のGoogleやYahooやMicrosoftの名前があるからといって、それをユーザに無断で勝手に隠してしまうのは、あきらかに不正行為だ。某情報筋は、@facebook.comをiOS 6に焼き込む条件としてAppleはFacebookに、ユーザのGmailアドレスを隠せと圧力をかけたようだ、とすら言っている。
理由が何であれ、それはユーザに対する背信行為だった。
そして、それは失敗した。誰も、@facebook.comのメールアドレスを使わなかった。Facebookはユーザに、個人的なメールを読む場所を作ってあげたつもりだった。コミュニケーションシステムを統合して、チャットとメッセージとメールを総合化したつもりでいた。でも、最後の牛一頭(メール)は、Facebookが作った人為的な柵(さく)に入ることを嫌がった。
そこで今日(米国時間2/24)同社は、@facebook.comのメールアドレスのための墓を堀り始めた。同社は本誌への説明で、“ほとんどの人が自分のFacebookのメールアドレスを使っていないし、今後はユーザのモバイルメッセージング体験の改善に集中したいから”、今回の変更を行った、と述べている。今後ユーザのFacebookアドレスに送られてきたメッセージは、そのユーザのメインのメールアカウントへ転送される。
いろいろ調べると、この転送を無効にする方法はある。でもそれをしない場合は、自分のFacebookプロフィールのURL中にあるユーザ名を@faceboook.comの前にくっつけたメールアドレスに来たメールは、そのユーザの本当の(本来の)メールアドレスに行ってしまう。Facebookは、明らかにスパムと分かるメールは転送しない、と約束しているが、でもユーザのFacebook Messagesの “Other Inbox”に入ってしまう知らない人からのpingなどは、そのままユーザのメインのメールアドレスに行ってしまう。げぇっ!!
Facebookのメール支配の試みは挫折したが、その死臭はもうしばらく残るだろう。Facebookは、ユーザのプロフィール中の可視性の設定はいっさい変えないし、iOSのコンタクトのシンクも変えない、と言った。ということは、ユーザの本当の個人的メールアドレスは、友だちから見ると依然として隠されたままだろう。一方iOSのアドレス帳には、シンクされたFacebookプロフィールと@facebook.comのアドレスが山のように残る。彼らの本来のメインのメールアドレスに、自動的に変わるわけでなない。
今回の愚行に懲りたFacebookが、今後ユーザプロフィールの重要な部分を勝手に変えないようになることを、祈りたい。もちろんWhatsAppのように、買収によって得たユーザに関しても、だ。Facebookはユーザのメールアカウントに請求書やレシートやマーケティングスパムが殺到しないように、親切のつもりで@faceboook.comを考えたのかもしれないが、でもその権力を濫用して、越えてはならない一線を越えてしまった。ユーザのコンタクトブック(アドレス帳)には、その傷跡が残る。
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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))