Fordが車載カメラの特許を申請していた―と聞けば自動運転車関連と思うだろうが、そうではなかった。スピード、移動方向その他のデータを自動車から取得して「いちばんいい写真を撮る」のに使うのだという。
Ford特許は2015年に申請されたもので、Patent Yogiが発見した。記事によると、このシステムは人々が自動車の走行中に(多くの場合、自分が運転しているにもかかわらず)スマートフォンや通常のカメラで周囲の写真やビデオを撮ろうとする問題を解決するという。フォードの新システムはドライバーの操作、介入を必要とせず、自動的に撮影が行われる。このカメラは可動式で車外に装着されるが運転者の視界を妨げず、運転操作の障害にもならないという。
Fordのシステムではユーザーはどのような種類の写真、ビデオの撮影を望んでいるかを事前にシステムに教えておくことができる(おそらくはドライバーの見渡せる視界が対象となるのだろう)。しかし実際にシャッターを切るのはシステムが自動的に行う。これは撮りたい写真を指定しつつドライバーが撮影に気を取られないようにするのに良いアイディアだ。
大企業は常に大量の特許を申請するものだ。実際の製品に搭載されるようになるのはそのうちごく一部だ、しかしこの特許が面白いのは、メーカーはすでに自社の多くの自動車ですでに車外にカメラを搭載しているという点だ。これはもちろん自動運転ないし高度な運転補助のためだ。また自動車産業はモバイルデバイスの普及にともなって走行の安全性を確保する必要に迫られている。
自動車が「つながった」デバイスになるに従い、周囲の景色をインターネットを通じてソーシャル・メディアにアップしたいという欲求は強まっている。これが自動的かつ安全に行われるなら便利だろう。しかし同時にわれわれはいったい人生のどれほどの部分を「つながって」過ごしたいのかという疑問も呼び起こす。このシステムはまだ特許申請の段階ではあるものの、自動車メーカーがモバイル・デバイスがドライバーの注意をそらす危険性を認識していることを示すものとして興味深い。
[原文へ]
(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)