Googleが提供する写真保管用スペース兼共有サービスのGoogleフォトを利用している人は多いだろう。このサービスはこれまで、デジタル写真ないしデジタルビデオを管理するためのツールとして利用されてきた。しかしGoogleは、新たに「フォトスキャン」なるツールを投入して、印画紙に出力した写真を、簡単に高画質なデジタル写真として取り込むことができるようにした。昔の家族写真や、スマートフォン時代を迎える前に撮り溜めた写真を簡単にデジタル化してGoogleフォトで管理できるようになったのだ。
GoogleフォトのプロダクトリーダーであるDavid Lieb曰く、昔はフィルム代や現像プリント代なども馬鹿にならず、写真を撮るのにも慎重な態度をとった人も多かった。
「しかしせっかく撮った貴重な写真も、いつの間にやらどこかに失くしてしまうことが多かったのです」。Googleによれば、地球上には何兆枚にもおよぶ、プリントされた写真が存在するらしい。そうした写真を簡単にオンライン化できるようにしようと考えたわけだ。
もちろん、これまでにもプリントした写真をデジタル化する方法がないわけではなかった。スキャニングサービスを利用することもできたし、スキャナを購入してせっせとスキャンすることもできた。あるいはスマートフォンのカメラで撮影してデジタル化することもできた。
「Throwback Thursday」が流行したりしたことからも、昔の写真をスマートフォンで撮影するというのは、多くの人が実行していることではあるようだ。
しかしそうしてデジタル化した写真は、クオリティ的に劣るものだった。たとえば部屋の灯りがうつりこんでしまったりもしていた。画像が歪んでしまうこともふつうだし、トリミングしなければ無用な背景まで写ってしまっていた。
そうしたすべてを解決するのがGoogleの「フォトスキャン」だ。
「フォトスキャン」はモバイル用のアプリケーションとして提供されている。アプリケーションを起動すると、直ちに写真撮影モードとなる。そして写真の上には白い円形のものが4つ表示される。全景を撮影したのちに、カメラをこの白い円形部分にあわせていくと、アプリケーションが自動で複数の角度からの写真を撮影するようになっている。歪みを補正すると同時に、グレアもおさえてくれるようになっているのだ。
フォトスキャン操作中の様子
こうして「フォトスキャン」はグレアのないきれいな写真を生成する。回転や歪みの補正、背景(机など)の除去なども自動的に行なってくれる。また、アプリケーションには編集ツールも同梱されている。必要であればそうしたツールを使うこともできる。写真はデバイスに保存され、いつでもシェアすることができるようになる。
なお、「フォトスキャン」と同様のツールもいくつか存在する。たとえばPhotomyneやAncestry.comのShoebox、あるいはHeirloom、Memoriesなどの名前をあげることができるだろう。ただ、こうしたツールでは不要部分のトリミングや歪みの修正に際して、複数の写真を自動的にまとめるような仕組みはとっていないのだ。
ちなみに「フォトスキャン」は、写真を自動的にはGoogleフォトにアップロードしないようになっている。もちろんGoogleフォトのアプリケーションをインストールしてあれば、設定によって自動的にアップロードされるようにはなる。
Googleフォトにアップロードすれば、編集機能を活用することができる。「自動」で補正をする機能もあれば、明るさや色調を調整するためのツールも揃っている。さまざまのフィルターも使ってみると面白いかもしれない。フィルターには機械学習の仕組みも加えられていて、写真の明るさや色調によって、最適の効果を発揮するようになっているそうだ。
「フォトスキャン」はiOS用およびAndroid用が無料で提供されている。
[原文へ]
(翻訳:Maeda, H)