先日行われた収支報告の席にて、Google、およびそのパートナーはこの四半期で教育機関向けに100万台のChromebooksを販売した旨を発表した。同四半期における世界中でのPC販売台数が7600万台であった(Gartnerレポートによる)ことを考えれば、教育機関限定とした場合での100万台はなかなかの数字だということができよう。
Chrome OSはその登場当初、多くの人が失敗するに違いないと考えていた。ブラウザしか動作しないデバイスを誰が欲しがるだろうか、と言われたものだった。しかし十分な収入を他から得ていたGoogleは、このプロダクトへの予算投入を全く躊躇わなかった。ダメだと言われる時代にも、あくまでもChrome OSプロダクトにこだわっていたのだ。そうこうするうちにウェブアプリケーションでできることは増え続け、Chromebookの使い道も増えていった。今日にいたっては、ほぼすべてのことをウェブアプリケーションで実行することができるようになっている(もちろんPhotoshopなど、従来型のアプリケーションを必要とするものも少なくはない)。「ウェブしか使えない」という制限も、さほど大きな欠点とはみなされなくなってきているのだ。
これまでは、多くの教育機関がiPadを購入してきたし、また生徒たちもChromebookよりもiPadに興味を示すことが多いだろう。しかしChromebookに比較すればiPadの値段は高価であり、管理も難しいとい面もある。Googleは多数のChromebookを一括管理する方法も構築している。少なくともこの面に関していえば、Appleが遅れを取っているといっても過言ではあるまい。
先月のI/Oデベロッパー・カンファレンスでもGoogleは、Google Play for Educationアプリケーションや電子書籍をAndroidタブレットのみならず、Chromebookからも利用できるようにするとアナウンスしていた。これに注目した人は意外に少なかったようだが、Googleの教育分野への本気度を示す発表であったと受け取るべきだろう。Googleは教育機関を、そのエコシステムのひとつとして取り込むことを決意したのだ。
Google Play for Educationのプロダクトマネージャーを務めるRick Borovoyは、カンファレンスの席上で、タブレットとChromebookの双方を用意する学校が多いのだとも話していた。
教育関連マーケットではこれまで、Appleがその強さを発揮していた。しかしハードウェア的な優位性はAppleにあるものの、価格面では他デバイスに軍配が上がっていたことは事実だ。iPadを導入するためには、教育機関としても必死の予算獲得戦略を練る必要があった。しかし200ドル程度のChromebookであれば、はるかに容易に導入できるわけだ。
ちなみにAppleのみならずMicrosoftもGoogleの教育分野への進出意図をうけて対策を練ろうとしていた。Chromebookの悪口を伝えようと努力していて(Pawn Stars広告を打っていた)が、それは結局将来性豊かな教育市場をGoogleに荒らされることを危惧していたわけだ。さらにMicrosoftは、Chromebookへのカウンターとしてローエンドかつロープライスなノートブックを市場に送り出そうとしている。しかし、Chrmebookがアピールする「エコシステム」は、「価格」以上の重要なポイントであり、これが教育機関におけるChromebookの存在感を増すことにつながったものと思われる。Microsoftも教育機関向けの教材アプリケーションを提供しようとしているものの、GoogleはGoogle Play内に教育専門の猟奇を設ける等、教員ないし生徒に対しても、アプリケーションや書籍の充実ぶりをアピールし続けている。
MicrosoftおよびAppleの双方ともに、Googleの教育分野での成長ぶりを意識していることは間違いない。このままGoogleが教育分野における存在感をましていけば、Googleの利用を第一に考える成人の比率をあげることにつながってしまう。AppleやMicrosoftはそうした面での意識は十分に備えていて、これまでは教育機関向けの割引などをいろいろと用意して対処してきていた。しかしどうやらGoogleはAppleやMicrosoftのやり方に学び、本気で両者に対抗しようとする意志を固めたのだというようにも見える。
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(翻訳:Maeda, H)