今日(米国時間6/16)、IBMは自動運転分野に大々的に参入したことを明らかにした。ただし実際に自動車を作るのではなく、自動運転に興味深い機能を提供する頭脳としての役割だ。
IBM Watsonの人工知能が電気自動車のOlliの乗客インターフェイスのベースとなる。Olliは12人乗りのミニバスで、アリゾナの自動車メーカー、Local Motorsが開発した。
Olliの製造にあたっては3Dプリントなどの最新のテクノロジーが利用され、これまで少量生産に付きものだった高コストが克服された。このミニバスは当初ワシントンDCで走るが、今年中にマイアミ・デイド郡、ラスベガスに運営が拡張される予定だ。 IBMによれば、マイアミ・デイド郡は自動運転車を利用して乗客をマイアミの各所に実際に移動させるパイロット・プログラムをスタートさせるという。
Local Motors、IBM、それにIntelは以前もRally Fighterというコンセプト・カーの開発などで協力したことがある。Olliはこの提携が産んだ最初の商用プロダクトのようだ。
詳しくいえばOlliは自動運転車のアプリ向けに最適化されたカスタム版のWatsonを用いており、自動運転機能のすべてを担当しているわけではない。IBMの声明によれば「乗客の利用体験を改善する」ことに主眼が置かれている。
「WatsonとWatson IoTを含むIBMのテクノロジーはOlliの操縦やナビゲーションではなく、乗客の体験を改善することに用いられている。Watsonによって乗客はバスと自然に意思疎通ができるようになる」と声明は述べている。
ただしこれは第一歩にすぎないようだ。Local Motorsの共同ファウンダー、John B. Rogersは声明でこう述べている。
「長年待ち望まれてきたスマート、安全、かつビジネスとして長期に運営可能な公共交通機関をOlliは実現する。Watsonを利用するOlliはわれわれの考える自動運転車の世界へのドアだ。パートナーとLocal Mortorsのコミュニティーはこの1年、静かに開発を続けてきた。ごく近い将来、われわれが開発したテクノロジー・ポートフォリオはあらゆる自動車に適用できるようになるだろう。われわれは採用のための努力を加速していく。高度な自動車テクノロジーの分野において、われわれのオープン・コミュニティーが貢献を行うことができる大きな可能性には興奮させられる」
Olliは4つのWatson APIを利用している。具体的にいえば、音声をテキスト化するSpeech to Text、自然言語のクラス分類を行うNatural Language Classifier、 固有表現を抽出するEntity Extraction、逆にテキストを音声化するText to Speechだ。これらの機能を用いて、Olliは車内の30以上のセンサーから収集される膨大な情報を適切に処理することができる。
IBMによれば「A地点からB地点に移動中に、乗客はOlliと自然な会話を行うことができる。乗客はOlliにバスの目的地だけでなく、作動の仕組や今なぜそのような運転操作を行ったのかを尋ねることができる」という。さらにOlliは食事をするのに適したレストランや付近の観光地に関する情報も教えてくれる。ただしWatsonは自動運転そのものを担当するわけではない。
【IBMの声明は原文参照】
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)