IKEA(イケア)は、狭い空間を住み易いものにするという同社のアプローチが、地球以外の星にも応用できると考えている。Fast Companyによると、同社は火星の居住地に似た施設を地球上に作って研究する機関と協力して仕事に取り組んでいるという。当初IKEAは、デザイナーをその施設に送り込んで、狭く区切られた部屋用の機能的な家具を造るためのインスピレーションを得ようとしていた。しかし、それはすぐに双方向のコミュニケーションとなった。ということは、将来、他の惑星へ入植する人の生活方法に関して、IKEAが発言権を持つようになったということかもしれない。
FastCoによれば、IKEAのデザイナーであるChristina Levenborn(クリスティーナ・レベンボーン)氏は、ユタ州にあるMars Desert Research Station(火星砂漠研究ステーション)で、実際に生活してみたという。このステーションは砂漠の中にあり、現実の火星での生活と作業に近い体験が味わえるように設計されている。このようなタイプのシミュレーションに基づく研究プロジェクトは、常にいくつも同時に進行している。志願した人を、シミュレーション用の作業/生活環境の中に入れて、宇宙飛行士が実際に体験する準備を事前に整えようというもの。NASAは2024年までに、人類が月に恒久的に居住できるよう準備しようと考えている。つまり、こうしたシミュレーションが実際に宇宙で役立つ日も、意外に早く訪れる可能性があるということになる。
レベンボーン氏は、その居住空間で過ごした時間に触発されたIKEAの製品を実際にデザインすることができた。しかし、彼女を含め、IKEA側でもちゃんとお返しをしている。かなり狭い場所でも、プライバシーと個人的なスペースが確保されていると感じられるような整理整頓の技術と、インテリアのレイアウトを考え出したのだ。そこではIKEAの棚のユニットと、キャスターの付いたモジュール式の家具を使い、フレキシブルで、さっと片付けができるように工夫されている。暖色系の照明や、屋外用の機器を室内で使うことも、居住空間をより住みやすくするために役立っている。
地球上の狭い空間をより住みやすいものにするというIKEAのアプローチが、地球以外でも有効だというのは、別に驚くべきことではない。むしろそれは、人間が研究、実験用の施設を月や火星、さらにその他の星に設置するための継続的な取り組みに貢献できるという好例なのだ。
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(翻訳:Fumihiko Shibata)