Initialized Capitalが約245億円の第5ファンドを組成、新ジェネラルパートナーも就任

米国時間8月14日未明、Initialized Capitalが総額2億3000万ドル(約245億円)で最新のファンドをクローズしたことが明らかになった。共同創業者のGarry Tan(ガリー・タン)氏がにMedium上で発表した。Initialized Capitalにとっては5番目のファンドで、同社の運用資産は7億7000万ドル(約820億円)になった。同社は、約10年前にY Combinatorの内部でスタートを切り、約5年後に分離独立したアーリーステージのベンチャーキャピタルだ。

タン氏はInitialized Capitalに新たなジェネラルパートナーとしてBrett Gibson(ブレット・ギブソン)氏が加わったことも発表した。ギブソン氏はタン氏と過去に何度も事業を立ち上げた人物だ。具体的には、タン氏と共同でブログプラットフォームのPosthavenとPosterousを設立した。両氏はのちにY Combinator向けの内部ソフトウェアシステムも構築している。

Initialized Capitalは最近注目されているVCだ。先月、TechCrunchが有料会員(Extra Crunch)読者のために開催したイベントでタン氏と話す機会があり、スタートアップが犯しがちな最大の間違い(未訳記事)について話し合った。

さらに3月には、タン氏とAlexis Ohanian(アレクシス・オハニアン)氏とも話をした。オハニアン氏は、Redditの共同創業者でのちにY Combinator(YC)のパートナーとなった人物。元YCパートナーだったタン氏とInitialized Capitalを立ち上げた。

2人は当時、新型コロナウイルスの流行にはしばらく時間がかかることを想定して、18カ月のランウェイ(資金が底を突くまでの残り時間)を乗り切る方法を見つけることの重要性について話していた(未訳記事)。そのころは彼らが袂を分かつ兆候は見られなかった。しかし、オハニアン氏は1億ドル(約106億円)以上を目標にしていると報じられている(Theinformation記事)自身のプレシードステージファンドの設立を決定し、タン氏はInitialized Capitalでの投資事業を進めた。

先月、オハニアン氏についてタン氏に尋ねたところ「アレクシスは会社を完全に去るのではなく取締役会のパートナーに就任したので、既存の投資先企業は引き続き彼が関与することになる」。そして「アレクシス以外で、アイデアとチームだけで製品が存在しない有望なスタートアップを特定した人を見たことがない」と続けた。さらに今回のアレクシス氏の離脱は「お互いに成功するための準備」とも付け加えた。

この話の続きがあるとしても投資家は特に気にしていないようだ。暗号通貨プラットフォーム開発のCoinbaseや食料品宅配サービスを手掛けるInstacartなど著名企業への初期投資のおかげで、早期のリターンが見られる可能性があるからだ。またInitialized Capitalは、遠隔医療のスタートアップであるRoとHRシステムを提供するRipplingという2つの企業の急成長を見てきましたが、両社はいまではいわゆるユニコーン企業と呼ばれている。

新型コロナウイルスの感染蔓延が収まらない不安定な日々の中でも、Initialized Capitalは積極的に投資活動を続けているようだ。例えば、サンフランシスコ拠点でシリーズAラウンドを終了したばかりの心臓病の検出と管理に特化したデジタルヘルス企業のBodyportや、カリフォルニア州サンマテオ拠点でこちらはシリーズBラウンドを終了した遠隔医療に進出したオンライン薬局であるTruepillへの追加投資を実施している。

同社は最近、スーパーマーケットや食料品店の棚の在庫管理を最適化するシアトルを拠点とする創立5年の企業であるShelf Engineのための資金調達ラウンドも共同で進めている。

ちなみにInitialized Capitalは、2年前に2億2500万ドル(約240億円)で4回目のファンドをクローズ(未訳記事)している。

画像クレジット:Garry Tan

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(翻訳:TechCrunch Japan)

投稿者:

TechCrunch Japan

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