セレブ起用で有名なオンライン募金プラットフォーム運営のOmazeが約32億円を調達

有名人を起用した募金活動で有名になったスタートアップのOmazeが、シリーズBラウンドで3000万ドル(約32億円)を調達したことを明らかにした。同社は、慈善活動を支援するキャンペーンや商品を提供するオンライン募金プラットフォームを運営している。

同社の最も有名なキャンペーンには、Michelle Obama(ミシェル・オバマ)氏に会える機会「スター・ウォーズ」のキャストに会える機会「スター・トレック ビヨンド」のセットを訪問できる機会などがあった(実はスター・トレックのキャンペーンに応募したことを告白しておく)。しかし、共同創業者兼CEOのMatt Pohlson(マット・ポールソン)氏によると「近年のOmazeのモデルは『タレントキャンペーン』から、高級キャンピングカーのAirstream Caravelのオーナーになる権利や、南太平洋のボラボラ島にあるフォーシーズンズリゾートへの旅行などの賞品を提供する募金活動を含むようになった」とのこと。

ポールソン氏は、Daniel Craig(ダニエル・クレイグ)氏に会うチャンスとアストンマーチンを獲得するチャンスを組み合わせたキャンペーンを発表した後、賞品モデルに興味を持つようになったそうだ。「アストンマーチンだけで十分に募金を調達できるのではないか」と考えたという。その直後の2018年、同氏は手術中に臨死体験をしたことで会社を新たな方向に向かわせたいという信念が強まったそうだ。

同氏は当時担当した外科医から「4分半ほど昏睡状態で生存の可能性が極めて低かったこと、彼と一緒に部屋にいた家族からの『愛と楽観主義』があったからこそ乗り切れた」と伝えられたことを思い出したそうだ。

「私は200万人に1人の幸運を得られました。できるだけ多くのことを世の中に出したいと思っています」と同氏。「その方法として各種キャンペーンで資金を調達し、楽観主義を広めることです。これを人材を活用して進めると拡張性が制限されます」と続ける。

さらに独自のキャンペーンを組織することでOmazeのチームは、有名人が支援したいと思う内容に限定されるのではなく、自分たちが関心を寄せている内容を選ぶことができるようになる。

同時にポールソン氏は「Omazeがこのような方向に進めたのは、多くのユーザー層を魅了したスターの助けがあってこそ」と付け加え、「同社はタレントキャンペーンも引き続き進めていく」と説明した。もちろん大規模な戦略の一部にすぎないが。

新型コロナウイルスの感染蔓延の影響で、Omazeではいくつかの賞品の贈呈や実施を延期せざるを得なかった。また、いまとなっては有名人との会合や手の込んだバケーションはあまり人々を引きつけない。しかし同氏は「人々はそれを理解している。そして新型コロナウイルスの流行は我々の事業についての関心を高め、人々に『社会還元をしたいという欲求』を与える一方で『これまで以上に夢を見たい』と思わせるようになった」と語る。

ポールソン氏によると「Omazeの平均的なキャンペーンのパフォーマンスは過去18カ月間で4倍になり、収益は500%増加した」とのこと。

Omazeは以前、シリーズAラウンドで1200万ドル(約12億7900万円)を調達した。今回の新規ラウンドはFirstMark Capitalがリードし、Causeway Media Partners、BDMI、Tusk Ventures、Inherent Group、Gaingels、Penni Thow(ペニ・タウ)氏が創業したCopper、Guy Oseary(ガイ・オセアリー)氏が参加した。タウ氏とNBAのBoston Celtics(ボストン・セルティックス)のオーナーであるWyc Grousbeck(ウィック・グラウスベック)氏がOmazeの取締役会に参加する。

タウ氏は声明の中で「Omazeは、体験型の資金調達と社会的インパクトのリーダーとして、世界を変える慈善団体に力を与えるという点でほかに類を見ないものです」と述べている。「私はOmazeの取締役会に参加し、単年度で10億ドル(約1060億円)を慈善団体に寄付する初の営利企業になるというビジョンの実現に貢献できることを光栄に思います」と続けている。

ポールソン氏によると、Omazeの事業が拡大したのが車が始まりだったが、最近では高級住宅のキャンペーンも開始したという。新たな資金を使ってこれらのキャンペーンを拡大する一方で、キャンペーンのカテゴリーを追加していく予定だという。また、同社は最近英国でもサービスをローンチしたほか、西ヨーロッパとアジアへの拡大も計画している。

Omazeはすでに1億3000万ドル(約138億円)以上の資金を集めているが、ポールソン氏は「(タウ氏が言及したように)大きな目標の1つは、Omazeを営利企業として初めて1年間で10億ドルを集める企業にすることだ」と説明する。

ポールソン氏は「我々は他の社会起業家のために道を開きたいのです。世界でなにか良いことをすることと、多くのビジネスチャンスを待つことの間に、誤った選択があるようです。我々の文化では良いことをした人が必ずしも報われないことが、人々の善行を妨げていると考えています」 と語る。

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カテゴリー:フィンテック

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画像クレジット:Omaze

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(翻訳:TechCrunch Japan)

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TechCrunch Japan

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