ITで建設業界の「人」と「お金」の課題解決へ、ローカルワークスが住友林業などから約2.1億円を調達

建設・リフォーム業界の課題解決に向けて複数のサービスを展開するローカルワークス。同社は4月10日、日本ベンチャーキャピタル住友林業SMBCベンチャーキャピタルオークファンを割当先とする第三者割当増資により、総額約2.1億円を調達したことを明らかにした。

ローカルワークスは2014年2月の創業。2015年9月にCOENT VENTURE PARTNERSから約4000万円を、2016年7月に日本ベンチャーキャピタルとニッセイキャピタルから約1億円を調達。今回の調達により同社の資本金は3.6億円になるという。

ローカルワークスではリフォーム・修理事業者の価格比較サービス「リフォマ」、建設事業者同士のマッチングサービス「Local Works Search」、施工業者向けの決済代行サービス「Local Works Payment」という3つのサービスを手がける。

これらのサービスを通じて、施工業者の稼働状況や信頼性、施工単価、取引実績といった情報をデータベースに集積。建設業界の2大課題である「人手不足」と「中小零細施工店が抱える資金繰り問題」の解決を目指している。

2016年2月にリリースしたリフォマには約1000店の施工店が加盟。リフォームや修繕依頼をしたいユーザーは、エリアやメニューから該当する施工店を比較し見積もりが可能。リフォマは双方をマッチングする役割を果たす。

ローカルワークス代表取締役の清水勇介氏によると「テクノロジーとアイデアで建築業界の非効率を変える」というテーマで事業を開始。約2年間リフォマを展開する中で業者とのネットワークも徐々に構築してきた。その過程で事業者間のマッチングや、決済のニーズを強く感じ、Local Works SearchやLocal Works Paymentに着手したという。

もともと清水氏はリフォーム関連のベンチャー企業で副社長として事業に携わってきた人物。現場での経験から建設業界が抱える課題を解決したいという思いがあったそうだ。

「特にこの業界は小規模の事業者が多い一方で、一件あたりの単価は大きくなりがち。報酬の未払いや支払いの遅延が原因で連鎖倒産が起こることもある。また4次受けや5次受けのように何社も介在するケースが多く、発注の内容があいまいだとトラブルも発生する。それを解決するためには、決済代行やバックオフィス部分のサポートが必要だ」(清水氏)

Local Works Paymentではローカルワークスが施工元請け事業者と下請け事業者に間に入り決済を代行する。報酬の未払いや遅延を防ぐほか、工事瑕疵保証をパック化して提供。2017年10月より取引顧客を限定した上で運営したところ、11月半ばまでで数千万円の利用申込実績もあったという。

同サービスは人手不足を解消するLocal Works Searchとともに、現在クローズドで展開中。正式なリリースは9月ごろを予定している。

これから同社が目指していくのは施工会社のデータベースの構築と、それを活用したサービスの展開だ。たとえばLocal Works Paymentを通じて蓄積される取引データや決済データ、信用情報。このデータを基に「建設業界に特化したレンディングサービス」などFinTechサービスの開発を考えているという。

今回のラウンドにはVCやIT系の事業会社に加えて、業界大手の住友林業が株主に加わった。今後は住友林業とも協業しながら、業界の課題解決に取り組む意向だ。

「建設業界は52兆円の規模があるといわれる大きな市場だが、まだまだテクノロジーの活用が進んでいない。その点では住友林業のような業界を代表する企業にも出資をしてもらい、一緒にチャレンジをしていけるのは大きい。先方からも『従来整備されてこなかったデータベースで、いろいろな展開ができる』と期待してもらっている。すでに顧客の紹介など連携は進めているが、今後もデータベースの活用や事業上の連携も深めつつ、業界の課題解決に取り組みたい」(清水氏)

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TechCrunch Japan

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