KDDI∞Labo 4th MEETing、最優秀賞はソーシャルチケットサービスのtixee — ∞Labo第4期の募集も開始

本日、渋谷ヒカリエでKDDIのインキュベーションプログラムであるKDDI∞Labo 4th MEETingが開催された。今回イベントに登壇したのは∞Labo第3期に参加した5チームで、それぞれ3カ月間の成果を発表した。

KDDI∞Labo第3期参加チームのサービス概要は採択時にも掲載したが、もう一度サービスの説明と今回発表された賞について簡単の紹介しよう。

mana.bo:スマートデバイス賞、オーディエンス賞

第3期から新設された学生枠での採択となったmana.boはオンラインの学習プラットフォームだ。mana.bo Inc.代表取締役社長の三橋克仁氏は講師として働いたことがあるそうで、その時に感じた問題点ーメールで質問をしたり、わからない点があってもすぐに聞くことができないーを解決することがサービスを思いついたきっかけだという。

オンラインでの学習、いわゆるEdu Tech市場は日に日に成長しており、シリコンバレーではEdu Tech事業への投資額が4年で4倍にも伸びている。この状況の中で他のサービスと差別化するのは難しい。そこでmana.boでは手書きのホワイトボード、チャット、写真の共有はもちろん、現在数式認識エンジンを開発しているそうだ。数式認識エンジンは画面に数式を書くと、プログラムが文字を認識し、「√」や「log」といった関数も読み込んでくれる。さらにそれらの数式をグラフ化する機能も提供予定だという。

なお、mana.boはイベント会場でオーディエンスがお気に入りのサービスに投票するオーディエンス賞も受賞している。

LogTown:Advanced Technology賞

SNSでの活動ログを独自の表現方法で実現するのがLogTownだ。

Facebook、Twitter、Foursquareといった複数のSNSを利用しているユーザーにとって、自分のログを管理するのは大変だ。というのも、いくつものサービスを使っているとログが分散してしまい、それらを見直すことは困難になるからだ。

そこで、LogTownでは情報をひとつにまとめてくれる。とはいえ、SNSのログをひとまとめにするサービスはすでに存在するので、LogTownではログを街として記録していく。

例えば、Foursquareでイタリアンのレストランにチェックインしたら、LogTown上でもイタリアンレストランが建つ。Facebookに記事をシェアすれば、LogTownにオフィスが建つといった具合だ。こうして作られた街は自分で見直すのも良いし、友達に公開することも可能になっている。

LogTownは本日ブラウザ版リリース、Androidアプリは3月の公開を予定している。

Morning Relay:クリエイティブ賞

∞Labo第3期参加チームの中で最もエンターテイメント性に富んでいたのはMorning Relayだろう。早起きしたいのに寝坊をしてしまう人達を手助けするためのアプリで、名前の通りリレーのバトンを渡すように人を起こすのだ。

Morning Relayに参加するユーザーは、自分が起きなくてはならない時間になると、他のユーザーから声援が来る。起きていないユーザーはアプリ内で目立つようにデザインされているため、何度でも起こされるように設計されている。起きたユーザーは声援をくれたユーザーに御礼をし、今度は自分が他のユーザーを起こす。こうして、世界中のユーザー同士で早起きを実現するという。

Morning Relayは2月にiPhoneアプリ、4月にAndroidアプリを公開予定だ。

Close:ベストエンジニア賞

本誌でサービスリリース時にも掲載したが、CloseはPathのようなクローズドなSNSだ。FacebookやTwitterでは上司や恋人を意識してしまい、好きなことを投稿できないことが多い。ジャストシステムの調査では実に84%のユーザーが上司や恋人の目を気にしており、68%のユーザーがSNSの利用でストレスを感じているそうだ。

こうした問題を解決するには、友達申請・認証、フォローといったフレンドシステムを廃止することが必要だと考え、Closeにはこうしたプロセスは存在しない。お互いが友達に追加した場合のみ、コンテンツが共有され、さらにお互いに追加しているかもわからなくなっている。

その他、2人だけの思い出を共有するページを作る機能やライフログとしての機能も用意されている。

CloseはすでにiOS・Androidで利用可能だ。

tixee:最優秀賞、Coolデザイン賞

tixeeはイベント探しから、チケット購入、イベント会場への入場までを管理するチケットアプリだ。携帯やスマートフォンが普及し、イベント会場では紙のチケットだけではなく、QRコードを読み取って入場できるようになったが、QRコードでは紙のチケットよりも時間がかかってしまう。

そこで、スマートフォン上で紙のチケットのエクスペリエンスを実現した。デバイスに表示されるチケットをスワイプすると紙のようにモギることができ、スムーズに入場管理ができるのだ。

tixeeはすでにJリーグ・FC東京のホーム試合で使用されているし、Mr.Childrenのツアーでも使用が決まっているそうだ。

tixeeを運営するLive Styles代表取締役社長の松田晋之介氏はチケット販売は過去に店舗からWebへと進化してきた。そして、今年はスマートフォンへと進化すると語っていた。

以上がKDDI∞Labo第3期参加チームのサービスだ。

これらのサービスは2月からau・スマートパスでも順次公開される。

KDDI代表取締役社長の田中孝司氏によると、∞Laboはかなりの赤字事業となっている(先月、ソーシャルランチのバイアウトで少し回収はできた)が、これからもまだまだ資金を投入する予定だという。

第4期の募集は本日から開始され、2月22日が締切だ。また、新たに「HTML5枠」が新設される。HTML5枠はHTML5を使ったサービスや、HTML5を活用するためのツールを提供するサービスを対象に募集を行うとのこと。

その他、∞Labo卒業生を支援するために「エンジニアプール」を創設し、ここに参加しているスタートアップに仕事を発注していくそうだ。第一弾として、本日のイベントのオープニングムービーは第2期参加チームである「エウレカ」が作成したという。

大幅な赤字を抱えながらも、スタートアップを支援するKDDIの活動に今後も注目していきたい。

最後に、ソーシャルランチのバイアウトはKDDIがマネタイズを急がせたわけではないと田中氏が語っていたことを付け加えておこう。

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TechCrunch Japan

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