オンラインM&Aマッチングの「TRANBI」が約11億円を調達、後継者問題の解決へ事業承継を促進

オンライン上で事業の売り手と買い手をマッチングする事業承継・M&Aマーケット「TRANBI(トランビ)」。同サービスを展開するトランビは8月28日、VC3社および複数のM&A仲介会社より総額約11億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

調達した資金は事業拡大へ向けた組織基盤の強化、サービス開発およびマーケティング強化に用いる計画。今回トランビに出資した企業は以下の通りだ。

  • SBIインベストメント(SBI AI&Blockchain 投資事業有限責任組合)
  • 西武しんきんキャピタル
  • 三菱UFJキャピタル
  • あがたグローバルコンサルティング
  • アイ・シー・オーコンサルティング
  • ストライク
  • 辻・本郷 ビジネスコンサルティング
  • 名南M&A
  • フォルテワン
  • 優和コンサルティング

中小企業の経営者の高齢化などに伴う事業承継問題は、日本の大きな社会問題のひとつだ。経済産業省が昨年公開した資料によると「今後10年の間に70歳(平均引退年齢)を超える中小企業・小規模事業者の経営者は約245万人となり、うち約半数の127万(日本企業全体の約3割)が後継者未定」だという。

一方で同資料には「休廃業・解散企業の5割は黒字」とあるように、事業を他の人に任すことができれば継続できるものも少なくない。ただし、その事業を任せる人、つまり事業の買い手を探すのが簡単ではなく、多大なコストを要する部分でもあった。

ならばインターネットを使ってオンライン上でマッチングできる仕組みを作ろうというのが、オンラインM&Aサービスだ。

TRANBIのほかにも昨年紹介した「ビズリーチ・サクシード」のほか、アンドビズ(日本M&Aセンターの子会社)の「&Biz」やエン・ジャパンの「MAfolova」。スタートアップが手がける「M&Aクラウド」や「FUNDBOOK」など、関連するサービスが近年一気に増えてきている。

TRANBIは事業の売り手がM&A案件を登録することでスタート。登録した案件が即座に公開され、興味を持った買い手は直接コンタクトを取り事業の売買について交渉する。案件登録やメッセージは無料で、実際に成約に至った場合に買い手が譲渡金額の3%を手数料として支払う。

一般事業主だけでなく、M&A仲介業者、会計士・税理士事務所、金融機関、公的機関など専門家が利用することも可能。その場合は成約時に事業会社から得た手数料の10%をTRANBIに支払う仕組みだ。

2018年7月末時点で同サービスには1万1066社が登録。累計M&A案件数は1417件、累計マッチング数は5410件となっている。

またトランビでは現在60社を超える金融機関、M&A仲介会社と業務提携を締結。今後もこの動きを加速させることで「後継者問題に揺れる中小企業のM&Aによる事業承継を促進し、国内経済・地域活性化に寄与する全国的なネットワークの構築を目指してまいります」としている。

投稿者:

TechCrunch Japan

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