NFTに仮想通貨は不要だが仮想通貨にはNFTが必要

スクリーンショットでも保存できるデジタルアートに何億円も払うのは、観光に行ってビルが立ち並ぶ通りをうろうろするようなものだ、と感じるようなもので、ほとんどの人は理解できないだろう。Google(グーグル)の画像やストリートビューで簡単にアクセスできるのだから、魅力がないのも当然だ。

この例えは、非代替性トークン(NFT)が突然注目を集めていることにまつわる困惑について、大まかにではあるが適切に説明していると言える。ブロックチェーンで構築されるこのトークンは、デジタル資産に唯一無二の価値をもたらす。つまり、スクリーンショットで保存できる芸術作品でも、オリジナル作品を所有しているのは1人だけということだ。このようなことが実現したこともあり、デジタルアーティストであるBeeple(ビープル)は、自分の作品を数日前に6900万ドル(約75億円)で売却した。

このトピックがStartups Weekly(スタートアップ・ウィークリー)ニュースレターに掲載されるのは、このことが初期段階と後期段階にあるスタートアップの勢いが増している仮想通貨の動きに影響を与えるかもしれないためだ。私が今週Equity(エクイティ)で論じたように、NFTが普及することで、平均的なビットコイン保有者だけでなく仮想通貨にあまりなじみのない人でも、通貨の保有を検討するようになる可能性がある。NFTを販売するプラットフォームでは通常、仮想通貨(通常はイーサリアム)を使って購入することが必要になる。このことを、人間には所有している資産を保護して、その資産をずっと所有していたいという欲求が備わっている一方で、人生には何が起こるかわからないという事実と合わせて考えてみよう。デジタルアーティストのビープルが作品を売却して6900万ドル(約75億円)を手に入れたという出来事は、大きな金額が動くニュースとなったのは確かだが、これはつまり、仮想通貨の支持者と仮想通貨資産に関するトピックが、一般大衆の話題となったことを示しているのだ。

分散型ネットワークに活路を見いだすオーナーシップが主流になるというのはメタコミュニケーション的であるし、ブロックチェーンとNFTが同じように使いやすくなり、その実力を発揮するまでにはまだ時間がかかるということもはっきりさせておきたい。そうではあっても、NFTが普及するのかという点は考えたくなるものだ。

これはただのスクリーンショットの話ではない。画素の集合体であるデータが、非常に高い価値を持つ可能性があるのだ。ビルが立ち並ぶ通りではなく、ハリウッド・ウォーク・オブ・フェイムになるのだ。日常生活で触れるモノが持っている特有の一面を見いだすことは、消費者にとって魅力的であるとともに、クリエイターにとってもすばらしい話だろう。

このニュースレターの続く部分では、業界で優位に立っているCoupang(クーパン)の競争力の他、収益面をサポートするNASDAQ(NASDAQ)のような存在になることを目指しているスタートアップ、さらにはグーグルに立ち向かうグーグルの開発者について扱う。今週の私のコメントとテック関連のニュースについては、私のTwitterアカウント@nmasc_をフォローしていただければと思う。

「韓国のAmazon」が上場を果たす

韓国のAmazon(アマゾン)と呼ばれることもあるクーパンが、3月第2週から公開株式市場に上場し、取引が始まった。3月11日の時点で、同社の価値は920億ドル(約10兆円)と評価されている

クーパンは創設にあたり、韓国には米国のUPSやFedEx(フェデックス)のようなサードパーティー物流企業が存在していないことに気づいていた。競争がなかったわけではないが、エンド・ツー・エンドの物流企業を構築して膨大な価値を生み出す可能性を確かに存在していた。

収益面をサポートするNASDAQのような存在

Pipe(パイプ)が発するメッセージは魅力的だ。パイプはベンチャーキャピタルを避け、投資ラウンドに名前を付けることはしないが、目標は収益面をサポートするNASDAQのような存在になることだと語る。契約の年間価値に対して一定レートを支払う投資家とSaaS企業との間を同社が取り持つことで、企業が収益を事前に獲得する方法を整備することを最初から目標としていた。毎月継続的に発生する収益を、年間を通して継続的な収益にするものだ。

このスタートアップは3月第2週の資金調達イベントで5000万ドル(54億円)を調達したことは注目に値する。TechCrunchのMary Ann Azevedo(メアリー・アン・アセベド)によれば、2021年の第1四半期には数千万ドル(数十億円)がこのプラットフォームで取引されたという。

画像クレジット:Bryce Durbin

Googleの開発者がGoogleを打ち負かすことは可能か

今週当社が主催したメインのエクイティショーで、参加者3人はさまざまなニュースについて話し合った。その内容は、反トラストに立ち向かうスタートアップとの出会いで数カ月前に掲載した内容へと自然に発展していった。

Neeva(ニーヴァ)は、Googleの広告エンジンの作成者を含む元グーグル社員のチームが設立した注目のスタートアップだ。エピソードの内容は盛りだくさんで、私たちもベストを尽くしたので、ぜひプログラムを聴いて自分がナターシャやダニーを支持するのか、アレックスを支持するのかを考えてみて欲しい。

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画像クレジット:TechCrunch/Bryce Durbin

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Dragonfly)

投稿者:

TechCrunch Japan

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