NY市長がイーロン・マスク氏に人工呼吸器の製造を依頼

ニューヨーク市長のBill de Blasio (ビル・デブラシオ)氏はTesla(テスラ)やSpaceX(スペースX)のCEOを務めるElon Musk(イーロン・マスク)氏に、人工呼吸器の製造を直接頼み込んだ。新型コロナウイルス(COVID-19)対応に追われる病院での不足を緩和するためだ。

18日夜から始まったTwitter上でのマスク氏と、著者でFiveThirtyEight主筆のNate Silver(ネイト・シルバー)氏の議論を受けて、デブラシオ氏がツイートした。

これまで従業員へのメールやソーシャルメディア上で新型コロナウイルスを軽視していたマスク氏だが、3月18日夜に「不足しているのならテスラは人工呼吸器を製造する」とツイートした。シルバー氏は「すでに不足が生じている。どれくらい製造できる?」と返した。

その後マスク氏は「人工呼吸器の製造は難しくない。しかしすぐに製造できるものではない。あなたが言う、現状不足しているのはどこの病院なのか」と尋ねた。このツイートにメディアや公衆衛生当局、議員たちが反応した。議員の中には、オレゴン州には688台の人工呼吸器があると明らかにした共和党議員のJulie Fahey(ジュリー・フェイヒー)氏も含まれる。

そして19日朝、デブラシオ氏は「我々の国は深刻な不足に直面している。可能な限り早く人工呼吸器が必要だ。今後数週間でNY市は何千台もの人工呼吸器が必要になる。できる限り早く確保するが、あなたにお願いすることになるかもしれない!」。

市長室はマスク氏のファミリーオフィス担当者や広報ディレクター、ロビイストに連絡を取った、と秘書のFreddi Goldstein(フレッディ・ゴールドステイン)氏は電子メールでTechCrunchに述べた。「Twitter上の内容からして、マスク氏が手助けしてくれると期待している」とも語った。

新型コロナウイルスに関するマスク氏のツイートや従業員への電子メールは医療福祉やメディア、ビジネス界の人々から批判された。マスク氏の新型コロナウイルスを軽視する態度は悪影響を及ぼすという主張だ。

マスク氏はまた、現在屋内退避指示が出されているアラメダ郡に立地しているにもかかわらずカリフォルニア州フリーモントの工場を稼働させ続けていることでも非難されている。新型コロナウイルスの世界的な拡大のため、屋内退避指示ではバーやジム、レストラン(店内での飲食)を含む必要不可欠ではない事業は閉鎖しなければならない。

テスラの工場や多くの施設がフリーモント内やその周辺にあるが、フリーモントはアラメダ郡内にある。3月17日にアラメダ郡の保安官は「テスラの工場は必要不可欠ではなく、同社は屋内退避指示に従わなければならない」と宣告した。

18日に従業員宛てに送った内部電子メールの中でテスラは、アラメダ郡の屋内退避指示発令中に工場を稼働させることができるかどうかに関して政府のいくつかのソースが出しているガイダンスと相容れないため、フリーモント工場では生産を続けると述べた。

屋内退避指示にもかかわらず、人事部門は従業員に生産、サービス、納車、車両テストを業務としているなら出社するよう伝えた。

CNBCは、郡の指示への協力を協議するためフリーモント市当局がTeslaの工場マネジャーと19日に会う予定だ、と報道した。

しかし18日夜遅くに別のメールが送信された。工場が「必要不可欠な」従業員のために稼働する間、TeslaはCOVID-19の拡大を抑制すべく追加の措置を取るというものだ。

TechCrunchも確認したこのメールでは、フリーモント工場の従業員に終日つけるマスクをTeslaが提供すること、工場内に衛生ステーションを増設すること、可能な限りソーシャルディスタンス(他人との距離)を取れるようオペレーションの配置を変えること、作業エリアの清掃の回数を増やすことを伝えている。

深刻な不足

GMやFordを含む車メーカーが、工場で重要な医療機器を製造しようとホワイトハウスとすでに協議していると報道されている。病院が急いで確保しようとしている医療機器は人工呼吸器だけではない。N95マスクも不足している。

ホワイトハウスは、ヘルスケア職員にとってかなり重要なセーフガードとなると考えられるN95産業用マスクの製造元と協議していると話した。マイク・ペンス副大統領は、新型コロナウイルスに関して毎日開かれるようになった会見で3Mがマスク生産量を1月から月3500万枚に増やしている、と述べた。「生産は急激に増えている」とペンス副大統領は語った。

Honeywellもまたマスク生産を年間1億2000万枚へと増やしている。この増産されているマスクは不足に直面している何千もの病院のほとんどに届いていない。マスクに加え、その他の防護用品などの減少も報道されている。ペンス副大統領は、N95マスクを病院に寄付するようホワイトハウスの呼びかけに建設会社も応じている、と語った。

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。