Slack、来年のIPOを準備中との報道ーー引き受けはゴールドマンサックス

ビジネス向けメッセージツールを提供するSlackは、ロイターの報道によると、来年のIPOの主導役として投資銀行ゴールドマンサックスを選んだ。ロイターのソースは、Slackが評価額“100億ドル超え”達成を期待していると話している。

ウォール・ストリートジャーナルは9月に、Slackが来年上半期のIPOに向け、早ければ第一四半期の公開を視野に入れて“積極的に準備を進めている”と報道した。報道ではまた、Slackはプライベートマーケット投資家による評価額71億ドルを余裕で超える額の調達ができると考えている、とも伝えた。

サンフランシスコとバンクーバーに拠点を置くSlackは5月に、デイリーアクティブユーザー数が800万人だと明らかにした。また、重要な有料サービスのユーザー数は300万人、とも語った。

8月にSlackが4億2700万ドルもの最新投資ラウンドを発表したとき、Slackはニューヨークタイムズ紙に対し、デイリーユーザー数はまだ800万人だと述べた。それでも2017年の夏はその数は半分だった、とも付け加えた。

Slackの投資家にはソフトバンクグループのVision Fund、Dragoneer Investment Group、General Atlantic、T. Rowe Price Associates、Wellington Management、Baillie Gifford、Sands Capitalが含まれ、それより以前の初期投資はAccel PartnersとAndreessen Horowitz (a16z)が実施した。

実際には、Accelとa16zがSlackに投資したとき、SlackはTiny Speckと呼ばれる別の会社で、 “Glitch”というオンラインマルチプレーヤーゲームに長く注力していたが、十分なユーザーを得られず継続できなかった。

創業者のStewart Butterfieldが、彼がTiny Speckのエンジニアや他の従業員と内部のコミュニケーションをとるツールとしてつくったメッセージインフラが今後の事業としてもっと有望かもしれないと思いついたのは、ちょうど会社が衰退の一途をたどっていたときだ。

Butterfieldは方向転換をしようと、これらの初期投資家と資金を戻すことについて話し合いを持った。AccelのAndrew Bracciaは数年前に我々に対しこう語った。「“お金を戻すべきか”について我々は協議した。そして私はStewartにこう言った。もし、君が起業家であり続け、そして何かつくりたいのなら、僕は君を支援する」。

それはBracciaの賢さを物語っている。BracciaはAccelに来る前はYahooで副社長を9年間務め、Butterfieldが共同創業者Caterina Fakeと写真共有のFlickrをYahooに売却した後に、そこでBracciaはButterfieldに出会った。

支援の継続はまた、Butterfieldの持つポテンシャルのみに基づいた信頼の大きな飛躍となった。「いかに価値があり、重要であるか、あるいはいかに速く成長するかということを当時理解していたとは思わない」。Bracciaは数年前に食事を共にしながら認めた。「ただ、そのメッセージインフラがTiny Speckではかなり役立っていて、おそらく他の場所でも同様に役立つのでは、と思った」。

Slackの何千もの顧客にはAirbnbやTime、Samsung、Oracleなどが含まれる。そうしたユーザーを抱えている人気ぶり、それからDropboxやZuora、DocuSignなどを含む2018年に株式を公開した他の購読ベースの企業向けソフトウェア会社のパフォーマンスを考えたとき、Slackがマーケットで広く受け入れられるだろうと思うのは当然だろう。

そうはいっても、米国株式市場の最近の動向からすると、マーケットはシフトしつつあるかもしれない。株価は今日大幅に下がり、市場関係者にとっては胃がキリキリする週だっただろう。実際、予想を下回る雇用統計と、張りつめた米国/中国の貿易摩擦により、ダウ平均株価は今年の儲けを帳消しにするほど低い水準となっている。

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。