SpeakSeeは、聴覚障害者がグループの会話に簡単に参加できるようにする

音声認識とIoTの分野には沢山の取り組みがみられるが、この2つの組み合わせから自然に導かれるある応用は比較的追求されてこなかった。それは聾(ろう)者および難聴者の日常会話を支援することだ。SpeakSeeは狙うのは、セットアップが簡単で皆が自然にコミュニケーションできるような巧妙な設計のハードウェアを提供することだ(当然ながら、クラウドファンディングを利用している)。

このデバイスは、聴覚障害者が、数人のひとたちと会話を行う必要がある際に用いられることを想定されている。会議や、夕食でのおしゃべり、そして道をたずねるなどの用途だ。誰かが話す内容を変換できる音声認識テキスト変換アプリは、既に世の中に存在しているものの、実際のところそれらはあまり目的にぴったりとフィットしていない。

「多くの聴覚障害者は、相手にアプリをダウンロードしてもらい、そしてその携帯電話を口のそばに保持していてもらう依頼に、大きな困難を経験しているのです。こうしたインターフェイス上の限界によって、誰もアプリを使い続けることはありませんでした」と説明するのは、SpeakSeeのCEOで共同創業者のJari Hazelebachである。「しかし、独自のハードウェアを設計することによって、私たちは利用が想定される状況に向けてそれらのカスタマイズを行うことが可能になったのです」。

SpeakSeeの利用は簡単だ。複数のクリップオン式マイクが小さな充電ケースの中に納められていて、ユーザーが会話を行いたくなったら、それらのマイクを話す相手に手渡せば良い。このケースは、マイク用のワイヤレスハブとして機能し、ペアになっているスマートフォンへ音声を中継する。音声は送信されると、クラウドのどこかで素早くテキストへ変換され、結果がペアになった聴覚障害者の携帯電話に表示される。

しかし、重要なのは、それぞれのマイクが、話者の区別と背景の雑音を、知的に処理することだ。

「もちろん、マイクロフォンは複数の人からの発話を受け取ります」とHazelebachは言う。「そこで私たちは、マイクにどの方向から音が来ているかを教えるセンサーを組み込みました。マイク同士がこれらのデータを交換するのです。このことによって、どのマイクがどの人のスピーチを拾うべきかを判断することができるのです」。

結果として、発話者毎に区別された変換結果が得られ、素早くほぼ正確なものとして配信される。上図のようにマイクの色がテキストの背景色として現れるので話者を特定できるというわけだ(応答時間と処理の正確さには常にトレードオフは付きまとうが)。そして参加者にはマイクを装着する以外の手間はかからない(彼らはこのマルチマイクシステムの特許を出願中である)。

Hazelebachの両親は聾者であるり、彼は通常の状況で、対話する能力が如何に制限されてしまうかを見ながら成長した。

マイクは決して小さいとは言えない…しかしそれこそが、これが実際のハードウェアであり、見せかけだけものではないことを示している。

「ご想像の通り、最初にこれをテストして貰ったのは私の両親でした」と彼は語った。「当初は数多くの問題がありましたが、間もなく他の人たちも関わり始めました。私たちは聴覚障害者のブログに投稿したのですが、いつの間にかサインアップした人の数は200人に達しました。そこで私たちは、米国、英国、そしてオランダのグループと、現場でのテストを繰り返してきました。

現在、英語の音声認識はオランダ語やその他の言語よりもかなり先行しているので、変換性能は英語向けのものが優れているが、そうだとしても、デバイスそのものはクラウドサービスが対応する120の言語に対して利用可能な筈だ。テキスト変換は月5時間までは無料で提供される。それ以上の利用は1ヶ月あたり10ドルの定額だ。しかし、もしそれがうまく働くなら、価格以上の価値を提供することになるだろう。

プロトタイプは完成し、現在チームは製品の製造を始めるためのクラウドファンディングを行っている。「私たちは、例えばバッテリーの寿命などを、仕様に合わせるために、電気回路系を改善する必要があるのです。製品の出荷は2019年の2月を予定しています」とHazelebachは述べている。プレオーダー価格はドックと3つのマイクで350ドルに設定されている。

Indiegogoタイプのキャンペーンを支援する際の(特に「購入者」としての)通常の用心と覚悟は必要である。だが製作者たちと話してみて、少なくとも私は、これはマーケットに出すためにあとひと押しを必要としているだけの、きちんと動作する製品であることは確かだと考えている。

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(翻訳:sako)

投稿者:

TechCrunch Japan

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