Spotifyがポッドキャストのサブスクリプションやアラカルト課金のプランを示唆

Spotifyはポッドキャストに対する投資から収益を得る新たな手段を考えていることを再び示した。第4四半期の業績発表でCEOのDaniel Ek(ダニエル・エク)氏は、今後ポッドキャストに広告つききサブスクリプションとアラカルトのオプションのような複数のビジネスモデルが存在することになるとの予測を示唆している。

Spotifyはポッドキャストのプログラム数が220万に増えたことも公表し、ここ数カ月でオーディオフォーマットの需要の増加が見られると述べた。

例を挙げると、Spotifyの月間アクティブユーザーの25%はポッドキャストを聴いており、直前の四半期の22%から増加している。ポッドキャストの消費量も増え、第4四半期の聴取時間は前年同期比で2倍近くになった。

現在、Spotifyプラットフォームでは無料ユーザーも有料ユーザーもポッドキャストを聴くことができ、広告で収益化している。これが同社にとって重要であることには変わりない。同社は最近、ポッドキャストのホスティングと収益化のプラットフォームであるMegaphoneを買収し、ストリーミングに広告を挿入するテクノロジーを他社パブリッシャーに提供すると同時にターゲティング可能なポッドキャストのプログラム数を増やそうとしている。

しかしSpotifyには最近、ポッドキャストを収益化する別の手段を探る動きもある。

たとえば2020年に同社は顧客に対し、ポッドキャスト単体のサブスクリプションに費用を支払うかどうか、支払うとしたらどのようなものにいくら支払うかを尋ねるアンケートを実施した

このとき、アンケートにはコンセプトがいくつか示されていた。

低価格帯のサブスクリプションは、1カ月3ドル(約315円)で広告つきの限定エピソードとボーナスコンテンツを聴けるものだ。これは人気番組の限定コンテンツやその他のボーナスエピソードを提供するStitcher Premiumに似ている。ただしSpotifyが提示しているのは広告つきで、Stitcher Premiumには広告が入らない。

中価格帯はStitcher Premiumにさらに近く、限定番組とボーナスコンテンツがあり広告がないプランが提示されていた。価格もStitcher Premiumと同じく、1カ月5ドル(約525円)となっていた。高価格帯では広告なしのインタビューやエピソードを先行して聴くことができ、1カ月8ドル(約840円)となっていた。

もちろんアンケートはこの種のサブスクリプションに対する消費者の意向を測定するものであり、Spotifyが開発中の新しいプロダクトを示唆するものではない(Spotifyがこのニュースについてコメントを求められたときにこう答えていた)。

しかしSpotifyはポッドキャストに対する相当な投資をどう回収しようと考えているのか、投資家も知りたがっていることは明らかだ。

顧客はポッドキャストに費用を支払うと思うかという質問に対し、業績発表でエク氏は調査対象となるような新しいモデルがいくつかあると思うと答えた。

エク氏は「インターネットでオーディオをどう収益化するか、我々はその長期的な進化の初期段階にいると思います。以前にお話ししましたが、万能な方法はないと考えています。我々にはあらゆるビジネスモデルがあり、それがすべてのメディア企業の未来です。広告つきサブスクリプションとアラカルトのようなものが同じ空間にあり、未来のどのメディア企業もそうなるでしょう」と述べた。

さらに同氏は「Spotifyはそのような戦略とパターンに従うと期待してください」とはっきり補足した。

この答えはSpotifyが最近のアンケートにあったアイデアを検討していることを示唆すると考えられる。消費者は無料ですべてのポッドキャストを聴取したり音楽のサブスクリプションにポッドキャストがバンドルされたりするのではなく、ポッドキャストに費用を支払うようになるということだ。

これは「ポッドキャスト」という言葉の意味を変えることになるかもしれない。現時点ではこの言葉はRSSフィードを利用して無料で配信されている連続もののオーディオプログラムを指している。

もしSpotifyがサブスクリプション以外に費用を支払わないと利用できないポッドキャストやアラカルト方式の課金を選択すれば、それはもはや本当の意味でのポッドキャストではなく、新しいタイプのプレミアムオーディオプログラムだ。

Spotifyが数年にわたって巨額の投資をしてきたことを考えると、同社にとってポッドキャストは十分に成長の余地がある分野だ。SpotifyはこれまでにGimlet MediaやThe Ringer、Parcastなどのコンテンツ制作企業を買収し、Joe Rogan(ジョー・ローガン)氏、Addison Rae(アディソン・レイ)氏、Kim Kardashian West(キム・カーダシアン・ウェスト)氏、DC Comics、Michelle Obama(ミシェル・オバマ)氏、ヘンリー王子とメーガン妃などのトップクリエイターとも契約してきた。Anchorのようなポッドキャスト用ツール、広告テクノロジー、ホスティングサービスも買収した。

広告に加えてサブスクリプションや直接の課金という手段をSpotifyが選ぶとすれば、このように同時に複数の手段で収益化できるのがポッドキャストのアドバンテージとなる。そしてもちろん、音楽ストリーミングのようなライセンス料やロイヤルティも発生しない。

地域の事情や、ポッドキャストコンテンツの聴取と支払いに関する世界中の顧客の好みに合わせ、必要に応じてポッドキャストの課金モデルを調整することもできるだろう。

エク氏は、いずれも近いうちに開始するものではないことも明らかにした。

どのようなモデルになるかについて同氏は「どう実現するかを具体的に検討するのはまだ早いと考えています。しかしその時がくれば、収益構造は音楽とは明らかに異なるものになるでしょう」と述べた。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Spotifyポッドキャスト

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

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TechCrunch Japan

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