WeWorkの共同創業者は会社の支配権を孫子の代まで受け継がせる計画だった

WeWorkの共同創業者のAdam Neumann(アダム・ニューマン)氏は、家族による会社の支配を自分が死んでも終わらせず、ニューマン家の未来の世代にも引き継がせる計画だったとBusiness Insiderが報じた。

同紙によると、ニューマン氏は今年1月の社員向けスピーチで、WeWorkは「現在支配されているのではない。世代に渡って支配されている」と同紙が見たという動画で語っていた。妻のRebekah Neumann氏との間の子供5人は「会社を経営する必要はない」が「会社の道徳的指針にならなくてはいけない」とも語った。

Business Insider紙によれば、ニューマン氏は将来の孫たちについても言及した。「将来、おそらく100年後、あるいは300年後に私の玄孫が会社にやってきて、『ちょっと、私のこと知らない?この会社を支配しているのは私。あなた方のやっていることは、私たちの作りあげたものとはちがう』と言えることが大切だ」と同氏は話した。

突飛な発言に思えるかもしれないが、ニューマン氏にはドラマチックなことを言う才能がある。例を挙げると、今年Fast Company誌の取材に対しWeWorkを希少な宝石にたとえ「ダイヤモンドができるまでにどれだけ時間がかかるか知っていますか?」と話していた。

しかし、WeWorkが綻びを見せ始める前、同氏には自分のパワーを子孫たちに伝えられると信じる理由があった。上場企業の株主でも認識していない人は多いが、同氏を始めとする多くのIT企業の創業者は、デュアルクラス株と呼ばれる仕組みによって創業者らに一般株主より多くの議決権を与える仕組みを作っており、その権利は上場後の一定期間だけでなく生涯にわたる場合や子どもたちに受け継がせることができる場合さえある。

TechCrunchは先月この問題を仮説の1つとして取り上げ、SECの委員長で法律学教授でもあるRobert Jackson(ロバート・ジャクソン)氏の発言を紹介した。昨年同氏は、2004~2018年の間にデュアルクラス株を発行した上場企業の半数近くで、企業インサイダーらが「並外れた数の議決権を永久に」保持しているという現状を語った。

ジャクソン氏は「そうした企業は株主に対して、経営陣のビジネス判断を、5年、10年、50年でもなく、永久に信じることを求めている」と警告した。永久デュアルクラス株は「創業者の子供、子供の子供、さらには孫の子供たちのことも信用しろと言っている。これは、この国の上場企業もみんなの年金プランも、ごく少数のエリート企業インサイダーが永久に支配し、その権利は子孫へと受け継がれていくことを意味している。

そんなことを心配しなくてもWeWorkの例を見るように市場が答を出してくれると思うかもしれない。しかし、どの会社もあんな明らかなミスを犯すわけではないし、ニューマン氏だってもっとうまく立ち回れていたかもしれない。こうしたトレンドを誰かが止めることはできるのか、一般投資家はこうした状況に耐えられるのかが今後の問題だ。

同氏がそんなシナリオを描いたのは彼が異常だったからではない。かといって、正気だったわけでもない。上場後の一定期間、創業者に強い議決権を与えることは、デュアルクラス株擁護派が以前から挙げているさまざまな理由により、多くの人たちにとって理解することが可能だ。しかし、公開企業を支配する権力を子どもたちに与えることは、正気とは言えない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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