Blackboardの共同創業者であるMichael Chasen(マイケル・チェイスン)氏が起業してからまだ1年に満たないClassは、柔軟にカスタマイズして生徒と教員が授業に利用できるZoomのアドオンを開発している。同社の初の製品となるClass for Zoomには管理ツールと指導用ツールがあり、ビデオ会議のエクスペリエンスを向上させる。
以前はClassEDUという名前だった同社は米国時間2月4日、3000万ドル(約31億7000万円)を調達し、調達金額の合計が4600万ドル(約48億6000万円)となったことを発表した。製品の公開前にこれほどの金額を調達したため、同社には製品を調整して改善する余裕があり検証もできる。Zoomにとって初めての小切手を書いたBill Tai(ビル・タイ)氏やEmergence Capitalなど、Zoomを早い時期に支援した多くの投資家がClassに投資している。
Classは調達した資金で現在60人の従業員を100人に増やす。また各国の需要に合うように製品を開発する。米国、ドバイ、日本、ヨーロッパの6000以上の教育機関がClassのウェイティングリストに名を連ねている。
教員はClass for Zoomの指導用ツールを使ってその場で課題やクイズ、テストを出し、リアルタイムで生徒たちに答えさせることができる。管理面では出席管理から生徒がアクティビティに参加した時間の把握まで、さまざまなツールがある。現在ClassEDUは有料のプライベートベータで、60校あまりが利用している。
現時点ではClassのソフトウェアはMacのみで動作するが、ベータ版は近々iPhone、Windows、Androidでも使えるようになる。今四半期末に公開の予定だ。
Classは完全にZoomプラットフォーム上で構築されているが、他のZoom用アプリのようなサードパーティ製品の統合ではなく独立した機能として動作する。Classはバックエンドのオーディオとビデオの機能には無料のZoom SDKを使い、フロントエンドのインターフェイスとエクスペリエンスは独自に開発している。他社に依存するアーリーステージのスタートアップはいずれもそうだが、プラットフォームのリスクには注意が必要だ。
一方で、リスクには価値がともなう。Zoomはなじみのある名前なので、Classを学校に販売する際のハードルは驚くほど下がるとチェイスン氏はいう。学校は2020年から使っているテクノロジーを置き換えることなく、Classを使うことで簡単により良いものにすることができると同氏は説明する。
チェイスン氏は「学校にはZoomの安定性とスケーラビリティがあり、その上に授業のツールを構築して大規模に展開していくつもりです」と述べる。同氏によれば12万5000校以上の学校がすでにZoomを使っており、十分大きいビジネスになる。Classは今のところTeamsやWebexとの統合は計画していない。
Udemyの新社長が数日前に述べた意見と同様に、ClassもEdTechの動向の変化が販売の違いに現れると見ている。
LMS(学習管理システム)の仕事に15年間携わってきたチェイスン氏は「Blackboardのセールスサイクルは6〜9カ月で、eラーニングとは何かを説明しなくてはなりませんでした。(Classでは)ピッチをする必要がありません。1カ月で商談がまとまります。セールスサイクルは製品を紹介している時間のみです」と語る。
Class、そしてeラーニングのソリューションを教育機関に販売するスタートアップにとっての高いハードルは、新型コロナ収束後の実用性だ。教育機関は昔から形式主義でソフトウェアの採用に時間がかかるが、チェイスン氏によればClassの顧客は高等教育でもK-12でも積極的に予算を取っているという。Classの価格は年間1万ドル〜6万5000ドル(約105万円〜680万円)で、クラスの人数により異なる。
チェイスン氏は「予算の問題にぶつかったことは一度もありません。高等教育機関はすでにオンライン学習への第一歩を踏み出して次に歩を進めようとしていますが、K-12は第一歩を踏み出しつつあるところです」と述べた。
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カテゴリー:EdTech
タグ:Class、Zoom、資金調達、eラーニング
画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch
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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Kaori Koyama)