米国大統領ドナルド・トランプは、中国の通信機器メーカーZTEが北米で事業を継続するためには、罰金13億ドルの支払いと、経営陣の大幅刷新が条件だと述べた。
米国商務省は、ZTEがイランと北朝鮮との取引を禁止する法律を破ったとして、米国の企業にZTEへの部品販売を禁止する措置をとった。これを受け、ZTEは今月初めに米国での事業停止を余儀なくされ、極めて厳しい状況に置かれていた。
米国と中国は貿易面で摩擦を抱えており、ZTEは報復措置を受けていた。しかしトランプは今日、ZTEが事業を再開するのなら、それに見合うコストが発生すると述べた。それが13億ドルの罰金であり、経営陣や役員の刷新、高度なセキュリティの確保だ。
トランプはこれより前に、ツイッターでZTEの制裁見直しに言及していた。そして今日、政治的な要素が強いが、ZTEにチャンスを与える理由を明らかにした。
ZTEは7万人超の従業員を抱え、年間売上高は170億ドルを超える。そして中国政府とのつながりが強い。今月私が記事で書いたように、グローバル展開しているこの企業は、米国に大きな収益をもたらしている。消費者向けのサービスに目をうばわれがちだが、Qualcommのように部品を供給しているメーカーも恩恵を受けている企業の一つだ。もしZTE が明日にでもなくなったら、Qualcommにはかなりの打撃となるだろう。
トランプの主張はこうだ。ZTEは“USの部品を購入しなければならない”。つまり、ZTEとの取引は米国の部品メーカーにとって重要なものであると同時に、トランプ政権と中国との関係の中で鍵を握るものであることを意味している。
こうした状況であるにもかかわらず、ZTEに事業を再開させるかは大きな論争の的になっている。というのも、ZTEのように違法な行為があった場合、ほとんどの企業がもう一度チャンスを与えられることはないからだ。
ZTEは、イランと北朝鮮へ違法に輸出し、そのことについて虚偽の報告をして事実を隠蔽しようとした。しかし、最終的に違法性を認めた。トランプ政権の商務長官Wilbur Rossは4月に下記のように述べている。
ZTEは、対象リストについて米政権に虚偽の報告をし、一時猶予中にも虚偽報告を行い、さらには執行猶予中に再び虚偽報告した。ZTEは米国商務省を欺いた。従業員や幹部を懲戒処分にする代わりに、彼らにボーナスを支払っていた。こうしたとんでもない行為は看過できるものではない。
それにも増して、ZTEが中国政府と近い関係にあり、そのZTEの通信機器を米国の通信会社や保安当局が使用するというのは、米国の保安当局にとって長らく懸案だった。
FBI長官Chris Wrayの2月の上院情報委員会での発言は以下の通りだ。
我々は、米国と価値観を共有しない外国政府の息がかかった企業が、米国の通信ネットワーク分野で影響力を持つことに深い懸念を抱いている。
[原文へ]
(翻訳:Mizoguchi)